空気線図って理解するまでがすごく難しい。
縦軸があって横軸があるまでならまだしも
相対湿度は曲線だしエンタルピーは斜線だし。
あんな複雑なグラフ読めないっっって方必見!
空気線図が読めるようになるだけで
空気の冷却加熱プロセスが理解できる上に
例えば空気をどのように制御すれば結露が発生しづらいかなど応用がかなり効く。
なので空調屋さんであれば覚えること必須。
今回はそんな意味不明な空気線図の読み方について説明。
ちなみに実際に直面する様々な事象における空気線図から見た考え方についてこちらでも紹介しているので興味がある方はこちらから。
・部屋の隅にできる結露
・コップの結露
・室内負荷と外気負荷
・車で発生する結露
空気線図の読み方をざっくりと。。。
空気線図とは言うけれども実際の設計では必要なことはこれだけっ。って内容を説明する。
①乾球温度
乾球温度は横軸を指す。建築の業界ではせいぜい-10℃程度から上でも40℃程度を扱うことが多いと思う。
②相対湿度
これが一つ目の理解しづらい要因。
相対湿度はなんと上の図でいう青い曲線を指す。
左上にいくほど相対湿度が高いことを示す。
③絶対湿度
普段の生活ではまず聞くことのない単語。
縦軸で示され、単位はkg/kgというなんともよくわからない単位を用いる。
(そういうものだと覚えてもらえれば十分)
④エンタルピー
エンタルピーとは熱量の単位を示す。
単位はkJ/kgで示され主に空調機器の選定等で用いる。
またエンタルピーがわかるようになれば温度だけが一概に空調負荷の要因にならないことも理解できるようになるはずである。
熱量の算出方法
それぞれの軸が意味することが分かったところで次は熱量の算出方法
これが計算できるようになれば空調機の能力選定が可能。
基本的にはエンタルピーを用いて計算を行う。
上の図を例とすると青丸が全部で2か所あり右上の青丸が外気、左下の青丸が室内の空気状態だとする。
外気と室内のエンタルピー差を30kJ/kgとした場合
外気を室内に1,000CMH導入した場合は以下の式で示される。
1.2(空気密度) x 1,000(風量) x 30(エンタルピー) = 36,000kJ/h
この値を使用して空調機の能力を選定することになる。
kJ ⇒kW 換算係数は3,600なので
36,000kJ/h ÷3,600kJ/kW = 10kWとなる。
従って10kWの能力を持つ冷却コイルがあればよいことになる。
夏の結露
結露する理由を一例ではあるが説明する。
よく結露が発生する要因としては、室内の空気状態と外気の空気状態の差が極端に大きい状態で外気を直接室内に導入するからである。
例えば外気が30℃で100%の空気だと仮定し、室内温湿度は26℃50%だとする。
温湿度差がおおきいため上図(左)のように青丸と赤丸の範囲内で空気の状態が右往左往するわけだが、相対湿度が100%を超えてしまう部分が発生する。
室内単体で考えればその部分で結露が発生してしまう恐れがある。
一方で処理された外気を導入する場合はどうだろうか。
上図(右)のように緑枠の範囲が狭くまた相対湿度が100%を超えている部分がないため室内単体で考えれば結露が発生しづらい。
また外気と室内の比エンタルピーが同じ場合はそれぞれが持っている熱量が同じなので不快にも感じづらい。
上記によらず結露の大半の原因は外界との境界部にあたる温度差等が原因であることがほとんどである。
上記について詳しく説明したページを作成しているので興味がある方はこちらから参照されたい。
冬の結露
次は冬の結露について。
例えば外気が0℃で室内空気が22℃40%だとする。
0℃の空気の方が空気中に保持可能な水分量が少ない。
例えば窓面で結露している様子を思い浮かべてもらいたい。
窓面付近の空気がしばらく滞留しているとだんだんと外気温度に近づいていく。
外気温度に近づいていくということはだんだんと空気中に保持可能な水分量が減るということ。
減った水分量がどこへ行ったかというと窓面に水滴として発生する。
決して窓面に限らず外部に面する壁でも同じことが起きている可能性がある。
そのため対策としてはそういった温度差が大きいところの空気を滞留させないように空気を循環させることが必要だ。
まとめ
今回は空気線図について説明した。
まずは空気線図の読み方について。
次に空調機負荷の算定例および結露の要因を説明した。
本内容の基礎的な内容を参考に様々な空気状態について応用的に計算ができるようになることを望む。
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