こんにちは。
最近非常によく聞く結露。
特に建物運用時に結露が発生したなどといった事例は非常に多いかと思う。
なぜ結露がそんなにも最近では聞くことが多いのかといえば外部の絶対湿度が年々と上昇していることがあげられる。
絶対湿度が年々どのように変化しているかについては以下の記事で紹介しているため参照していただければと思うが絶対湿度が上がることで露点温度が上昇することが最大の問題だ。
今までの生外気を入れるような空調システムでは必然的に結露が発生してしまう。
そんな状況ではあるのだが外気だけが一概に悪者ではなくそもそもの設備計画の在り方によっても結露の発生のしやすさが変わってくる。
例えば建物入り口の制気口についてだ。
この制気口自体が例えば空調機からの給気である場合においては本来は結露が起こりずらいはずだ。
もちろんその結露の一因として外気が影響することは間違いないのだが外気以外にも計画上の配慮により結露を起こりにくくすることは可能だ。
今回は建物入り口の制気口の結露について紹介する。
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いたってどこにでもあるような建物を描いてみた。
自動ドアを境に外部と室内がつながっている。
(本来は風除室があったりするものだがややこしくなるので割愛する。)
一方で天井内にはダクトが計画されておりそのダクトから制気口を通じて給気されている。
制気口からの吹出し空気を13℃95%と仮定し、外気空気状態を30℃60%とする。
もし外気が室内に侵入すると吹出し空気と外気の絶対湿度差がおおむね倍近くあることからその分だけ結露が発生する恐れがある。
なお外気空気状態の露点温度は21.5℃だ。
なぜ結露するのか
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そもそもなぜ外部に近い部分に設置されている制気口が結露しやすいのかについてだが例えば図で示すように自動ドアを通じて自然換気のように空気が侵入してしまうことにある。
空気が侵入することで絶対湿度が高い(露点温度が高い)空気が制気口付近へ滞留してしまうと制気口表面が結露してしまう。
(暖かい空気は上に行く性質があるため)
細かくは次項以降の改善策とともに結露する要因を紹介する。
改善策と確認すべき事項
まず改善策を紹介する。
①制気口の縁を樹脂製へ変更。
②制気口を誘引形へ変更
③エアバリアの形成
続いて根本的な計画の部分にあたる確認すべき事項を紹介する。
④室内が負圧になっていないかどうか。
改善策①制気口の縁を樹脂製へ変更
まず一つ目の改善策として考えられる案は制気口の縁を樹脂製へ変更することだ。
制気口の機構上どうしても制気口内部は極端に冷えた空気が通ることとなる。
そうなると必然的に制気口自体も冷えてしまう。
その制気口からの熱伝達率を極力小さくするために樹脂製へ変更することで結露が発生しづらくなる。
改善策②誘引形へ変更
続いてが制気口を誘引形へ変更することだ。
極力空気の滞留部分を作らないようにすることで極端に絶対湿度の高い空気を室内の空調された空気とミックスすることでも改善できるケースがあるだろう。
改善策③エアバリアの形成
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もう一つある解決策としては室内に極力外気が入らないようにしてあげればよいということ。
要するにエアバリアを形成するということだ。
室内の空気で外気をシャットアウトしてあげれば外部から空気が入りづらくなる。
確認すべき事項④室内が負圧になっていないか
とはいえ小手先だけで結露を改善するにしても物事には限度があることも事実だ。
例えば極端に室内が負圧になっている場合は前述したエアバリアを形成したとしても室内に外気がどんどんと入ってくる。
そもそも室内はどんな時においても正圧となる様に計画することが結局は一番大切だ。
まとめ
今回は建物入り口の制気口の結露について紹介した。
制気口の仕様を変更したりエアバリアを設けて改善する方法もあり得るがそもそもは建物を負圧に計画することが大きく結露を助長させていることも示唆した。
専門家ではないが今後も絶対湿度はより上昇していくことがあることを考えるとより結露とは真剣に向き合っていく必要があるだろう。
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