空気線図が読めるようになる! (コップの結露)

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前回から説明している空気線図の読み方について。
まだまだベーシックな部分にしか触れていないが今回はなぜ結露が発生するのだろうといった部分に着目し説明する。

空気線図について前回までの説明については以下で紹介しているので参考にしていただければと思う。

ちなみに実際に直面する様々な事象における空気線図から見た考え方についてこちらでも紹介しているので興味がある方はこちらから。
・部屋の隅にできる結露
・コップの結露
・室内負荷と外気負荷
・車で発生する結露

そもそもなぜ結露が起きるのか

昔前はなかなか結露なんて起きなかった家庭も多いだろう。(窓面の結露はしょっちゅうであっただろうが)
というのも最近の建物では気密性が増しており建物の中と外の空気の行き来がそもそもなくなりつつあるからだ。

現に今の熱負荷計算においても特に気密性が保たれている場合は隙間風による熱負荷を見込まなくてもよいこととされている。
それくらい気密性が進歩し室内温熱感での不快感がなくなる一方で、結露といった次の問題が露呈される格好となったわけだ。
結露について実際には窓面のみならずいたるところで散見されているかと思う。

家庭にもよるかとは思うが、キッチン廻りでの結露も実際に発生したり室内の隅にある壁面が結露していたということも。。。
また誰もが間違いなく経験したことがあることとしてコップが結露したということ。
これについては後程説明するがこれだけ結露は我々にとって身近な存在なのだ。

結露の何が悪いのか

よく結露がよくないことをただただ言われるがままに鵜呑みにしている方も多いだろう。
そんな方はそもそも結露の何が悪いのかを全く理解していないことが多い。
決して理解する必要はないが、雑学程度に知っておくと今後どこかで話題に上がったときに恥をかかずに済むだろう。

というわけでそんな結露がなぜ害悪扱いされているのか。

結露が起きたところで水滴が発生してそのうち蒸発して何ともないだろうと考える方も多いかと思う。(実際に自分も同じ考えだった。)
そんな中結露が悪いとされる理由は以下の通りだ。

①カビが生える
結露水が窓面などからだんだんと滴り落ちて床面にたまる格好となる。
当然時間がたてば蒸発こそそのうちするが水の滞留時間が長いほどカビが生える温床になりやすい。

②電源コードがショートして火事になる
前項の延長線上ではあるが結露水がたまった床面付近に電源ケーブルなどある場合で、そのケーブルが木津ついている場合はそこから電気故障などのトラブルに見舞われてしまう。
最悪火事が起こる場合もある。

③ぜんそくなど病気を助長する。
これも前項の延長線上ではあるがカビが生える部分にいることで病気を促進してしまう場合がある。
例えばすでにぜんそく等を持っている場合。
ぜんそくを持っている方はカビなどに対してかなり敏感だと思う。
自分もカビが生えていた空間に長時間いただけで気管支炎を患わってしまったのでカビがどれだけ体に対して害悪な存在であるかを身をもって理解しているつもりだ。

こういった理由から結露が起こる時点でろくなことはないと想像にたやすいだろう。

コップの結露の仕組みと時間

次はだれもが経験したことがあるコップの結露についてだ。
よく氷などが入ったキンキンに冷えた冷たい飲み物をコップに入れて少しすると、コップの表面が結露していたなんてことは誰しもが経験する道だ。

まずはこの仕組みついて説明する。
今回も前回同様に空気線図を用意した。
一例ではあるが以下を条件とした。
室内温湿度_26℃50%
コップ内_0℃100%
(厳密には液体については湿度を%では定義しないが同一グラフ内で見比べた方がわかりやすいため100%として記載した)
まさにキンキンに冷えた飲み物を室内で飲むあの爽快さを想像してほしい。

そんなキンキンに冷えた飲み物の周囲の温度変化を追記した。
コップ周辺の空気温度はだんだんと飲み物と同じ温度になろうとする。
ただ室内の空気が持つことができる水分量には限界があるため今回のケースだと15℃を下回り始めると、徐々に保持しきれなくなった水分がコップにくっつく格好となる。
(別の言い方をすると湿度100%を超える分については結露する)

コップ表面が結露するまでの時間(試算)

次にそれが一体飲み物を入れてからどのくらいの時間で結露するのかを試算してみることとする。

普通のコップであれば約150ml程度だろうか。
一方でコップの表面積は0.08m x π x 0.1mH =0.026m2程度だとする。
コップのガラス材質の熱貫流率は 6W/(m2・K)程度だとする。
(実際にはもっと大きいだろうが単板3mm程度想定)
コップと室内の温度差は25℃

上記よりコップ表面に伝わる熱量は
6W/(m2・K) x 0.026m2 x 25 ⊿℃ =3.9W

1℃温度が変化するために必要な時間は
150ml ÷ 3.9 W = 38秒

15℃で結露するので結露するまでの時間は
38秒 x (26℃ – 15℃) = 418秒 ≒ 7分
となる。

(求め方が少し変則的だがコップ内の温度が一様に変化するとすれば、熱量保存則よりコップ周囲に伝える熱量も同じはずである。実際にはその熱量は大気へ開放されることとなる上に、そもそも計算方法は現行存在しないと思われるため簡略化した。)

実際には温度が変化する過程で他の熱負荷要因等もあるため概略値ではあるが、端的に言えば飲み物を入れれば、すぐに結露はするとわかる。
また今回は6W/(m2・K)としたが実際にはもっと薄いグラスなんてざらにあるのでその分更に結露するまでの時間は短いといえよう。

まとめ

結露の仕組みと結露するまでにかかる時間を説明した。
コップ表面温度が下がることで、飽和空気となり、それ以上冷却されることにより結露が起こる。
またコップの結露にかかるまでの時間は長くてもせいぜい7分程度だった。
次回はコップ以外の結露について説明したいと思う。

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