こんにちは。
ビル管法(建築物衛生法)の事前検査などで加湿量が足りていなかったりなどと指摘を受けた経験はないだろうか。
加湿量自体は満足していてもまれに飽和効率が満足していないことがある。
その際に加湿が満足に計画できていないと判断されるケースがある。
そんなことにならないようにも加湿量のみならず飽和効率についても頭の片隅に置いておくことをお勧めする。
今回は特に気化式加湿における加湿および飽和効率の基本から空気線図を用いた飽和効率のイメージを紹介する。
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そもそも加湿とは加湿器を通して相対湿度を上昇させることを示す。
例えば加湿前の空気の相対湿度が20%だとしたら加湿器を通じて相対湿度が40%になる。
こういった具体に相対湿度を上昇させることを加湿という。
(本来は絶対湿度を上げることが加湿であるが簡略化のため相対湿度と表現した)
加湿についてより深く知りたい方は以下のリンクから確認頂ければと思う。
飽和効率とは
続いて飽和効率について紹介する。
加湿によって無条件に相対湿度を100%まで上げられるわけではない。
加湿器そのものにも性能があり加湿量を満足していたとしても加湿器側が実は対応できていない場合がある。
その上限を飽和効率と呼ぶ。
飽和効率とはある相対湿度の空気を相対湿度何%まで上げることができるかといった効率のことを示す。
例えば加湿前空気の相対湿度が20%で飽和効率が60%の場合はどのようになるか一例を計算してみる。
相対湿度が20%であり100%になるまでには相対湿度は80%あることとなる。
一方で飽和効率は60%であるため80%に60%を乗じると48%となる。
もともとの相対湿度20%を加算すると相対湿度が68%となる。
この加湿器では加湿前空気の相対湿度20%の空気を相対湿度68%までしか上げることができないといったこととなる。
当然加湿前空気の相対湿度が40%など条件が異なれば加湿後空気の相対湿度は可変する。
当然加湿量と風量の関係から相対湿度を求めることができるが加湿量関係なしに飽和効率により相対湿度に上限があることを押さえておきたい。
空気線図で確認してみよう
前項で示した例を空気線図で示してみる。
例えば26℃20%の空気を加湿してみる。
飽和効率が60%だとすれば 20% + (100% – 20%) x 60% = 68%となる。
その場合の乾球温度は結果的に16.5℃となる。
加湿量関係なしに相対湿度が68%が限界といったことになる。
続いて加湿前空気が20℃40%と前回とは少し異なる条件で計算してみる。
前回同様飽和効率は60%とすれば加湿後相対湿度の限界は76%となる。
結果乾球温度は14.8℃となる。
このように加湿前空気の相対湿度が異なることで飽和効率による加湿後の相対湿度が可変することとなる。
まとめ
今回は気化式加湿における加湿および飽和効率の基本から空気線図を用いた飽和効率のイメージを紹介した。
実際空調設計において飽和効率を考慮することはほとんどないかと思うが加湿量のみならず飽和効率により加湿量の限界があることを認識いただければと思う。
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