空気線図が読めるようになる! 全熱交換器を用いた場合について紹介

【↓空気線図講座一覧↓】(プルダウン)

こんにちは。
建築設備に従事していて全熱交換器の効率を考える時がよくあるだろう。
その際に空気線図上でどのように変化するのかよくわからない方が多いかと思う。

それもそのはずで温度湿度ともにどちらも足して2で割ってといったそんな簡単な結果とはならないからだ。
もし空気線図を読むことができれば熱交換率についてはそんなに難しい話ではない。
だが空気線図を読めないと上記の課題をどのように解いたらよいかが感覚的にすらわからないはずだ。

今回は全熱交換器があることによって空気線図上においてどのように変化するかを紹介する。

境界条件

【夏期】
外気温度:34.8℃湿度58%とする。(東京想定)室内:2650%とする。(夏期設計温度条件)
全熱交換器の熱交換効率:60%とする。

生データのダウンロードはこちらから。

【冬期】
外気温度:-9.9℃湿度74.6%とする。(北海道稚内想定)
室内:2240%とする。(冬期設計温度条件)
全熱交換器の熱交換効率:夏期同様に60%とする。

ケーススタディ

【夏期】
まず夏期の場合を紹介する。
外気温度:34.8℃、湿度:58%
室内温度:26℃、湿度50%とする
熱交換器を通る前の空気はそれぞれOA(外気),RA(還気)となる。
そのためOA、RAの空気は以下の通りとなる。

OA:34.8℃、58%
RA:26℃、50%

その2点間の直線上に全熱交換器を通った後の空気SA(給気)およびEA(排気)があることとなる。
SA,EAの温度については熱交換効率とOA,RAの温度差により求めることができる。
今回は熱交換効率が60%だ。
そのためSA,EAの温度は以下の通り計算できる。

SA側温度[℃] = 34.8 – (34.8 – 26.0) x 0.6 = 34.8 – 5.28 = 29.52[℃]
RA側温度[℃] = 26.0 + (34.8 – 26.0) x 0.6 = 26.0 + 5.28 = 31.28[℃]

続いて湿度を求める。

室内空気状態と外気空気状態を結んだ直線上に全熱交換器出口側の空気が存在する。

空気線図から湿度を読み取った結果答えは以下の通りとなる。

SA空気状態29.52℃56%
EA空気状態31.28℃57%

【冬期】
続いて冬期の場合を紹介する。
外気温度:-9.9℃、外気湿度:74.6%
室内温度:22℃、外気湿度40%とする

夏期同様に熱交換器を通る前の空気はそれぞれOA(外気),RA(還気)となる。
そのため
OAとRAの空気は以下となる。

OA:-9.9℃、74.6%
RA:22℃、40%

その2点間の直線上に全熱交換器を通った後の空気SA(給気)およびEA(排気)があることとなる。
SA,EAの温度については熱交換効率とOA,RAの温度差により求めることができる。

今回は熱交換効率が60%とした。
そのためSA,EAの温度は以下の通り計算できる。

SA側温度[℃] = -9.9 + (9.9 + 22.0) x 0.6 = -9.9 + 19.14 = 9.24[℃]
RA側温度[℃] = 22.0 – (9.9 + 22.0) x 0.6 = 22.0 – 19.14 = 2.86[℃]

室内空気状態と外気空気状態を結んだ直線上に全熱交換器出口側の空気が存在する。

空気線図から湿度を読み取った結果答えは以下の通りとなる。

SA空気状態9.24℃63%
EA空気状態2.86℃75%

まとめ

今回は全熱交換器があることによって空気線図上においてどのように変化するかを紹介した。
熱交換器前後の空気状態の計算を含め基本的には空気に関することであれば空気線図を用いて計算可能だ。
様々な事例より徐々に空気線図の使い方に慣れていただければと思う。 

コメント

  1. できれば修正ねがいます。 より:

    冬の空気線図で室外と室内の記述が両方室内になってます。

    • ご指摘ありがとうございます。
      ご指摘の通り誤った表現であったため内容修正させて頂きました。
      今後ともあきしょー工房をよろしくお願いいたします。