空気線図が読めるようになる! (部屋の隅にできる結露)

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前回に引き続き今回も結露について説明する。
前回を確認されていない方は先に以下のページを確認することをお勧めする。
今回の内容は室の隅に発生する壁面の結露について。
どういった仕組みで壁面が結露するのか、および結露までにかかる時間を試算してみることとする。

ちなみに実際に直面する様々な事象における空気線図から見た考え方についてこちらでも紹介しているので興味がある方はこちらから。
・部屋の隅にできる結露
・コップの結露
・室内負荷と外気負荷
・車で発生する結露

室内の隅で結露が起こる理由

結構奥が深い結露について。
そんな結露だがなぜ室内の隅に限って結露が起こるのだろうか。
理由としては基本的にどんな建物でも同じだが、室の隅はなかなか気流が回りにくいことがあげられる。
気流が行き渡らないことで空気が滞留しその空気が壁面と熱伝達を行ってしまい、結果飽和空気が生まれることで結露してしまう。
とりわけ起こりやすい室用途としては厨房や厨房近辺にある更衣室。また冷蔵庫なども挙げられる。
そんな結露だが極力部屋の隅も換気を行うなど何らかの対策をしないことには避けることがそもそもできない。
それが設計者としてもつらいところでクレームが来た時に対応が面倒だったりする。

室の与条件

そんなわけで今回の検討モデルを示す。
前項で説明の通り空気が滞留することで結露が発生してしまうため室内左半分に室内機を設置し、室内右半分には空気が滞留する空間としてみた。

後程室の室の隅と書いたがまずはもっと緩やかな条件の場合を検討してみることとする。
添付の絵の場合だと窓面からペリメーター2mが空気の滞留空間と仮定する。(滞留の字が間違っているが気にしない)
あと本当に2mかが気になる方は気流シミュレーションをして確かめていただけると助かる。
冬期をイメージしており、外気が-5℃で50%、室内が22℃40%と仮定した。

結露発生までにかかる時間 その1

イメージとしては添付の通り。
外皮を拡大したが基本的には内断熱を行っている。
とはいえ窓があるためおおよそペリメーター負荷は100W/m2程度。

今回の検討モデルの室面積が10m x 10m = 100m2だとすれば、先ほどの空気滞留空間は 10m x 2m = 20m2となる。
滞留空気に与える熱負荷は 100W/m2 x 20m2 = 2,000Wで、その熱量が常に滞留空気と熱交換していることになる。

そこで次は滞留空気の容積から、実際ン結露が発生するために必要な時間を試算する。

まずは滞留空気の容積を求める。
容積 = 10m x 2m x 2.7mH =54m3 = 54,000,000mL
電力1Wは1mLを1℃あげるのにかかる時間が1秒とされているため以下から求められる。
滞留空気が1℃変化するために必要な時間 = 54,000,000mL ÷ 2,000W =27,000秒 ≒7.5時間

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これだけを確認する限りでは特に結露が起こらなさそうな結果となった。

結露発生までにかかる時間 その2

前項では期待していた結果が全く得られなかったので次は範囲をもっと絞って検討する。
部屋の隅に着目した。

室の隅であればより熱負荷ある格好になる上に容積も小さいため前項よりも条件が悪化するはずだ。
実際に壁体の熱貫流率を仮定し求めてみると10cm角の空気滞留領域において0.485Wの熱交換が常に発生することとなる。

一方で室の隅の容積は 0.001m3=1,000mLであるため温度変化と時間の関係は以下の通り。
1,000mL ÷ 0.485W = 2,062秒 ≒34.4分

15℃くらいで結露が発生するとすれば
約30分 x (22℃ -15℃) = 3.5時間
これなら納得のいく格好となった。

要するに一日中換気が全くなされない空気が滞留する領域があればおおよそ日中昼過ぎには結露が発生する可能性があるということになる。

まとめ

今回は室の隅にある空気に着目し結露が発生するまでにかかる時間を検討した。
結果室の隅においては概ね3.5時間程度で結露が発生する試算となった。
あくまでも試算ベースであり、実際には他の要因によりこの時間も大きく変わることは容易に想像できるが結露の要因の一つの指標になればと思う。

(注意いただきたいことはそもそも結露までの時間について確立されていないため実際とは大幅に異なる可能性がある)

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