今回は空気線図上での室内負荷と外気負荷の範囲および室内負荷と外気負荷の計算方法について説明する。
結果だけ先に示すとエンタルピー上室内負荷より冷やした空気を室内負荷とし計算、外気と還気の混合空気から室内空気まで冷やした空気を外気負荷として計算が可能である。
まずは外気負荷と室内負荷の範囲を確認する。
その後それぞれの量を計算する。
まず図の読み方から
横軸に乾球温度で縦軸に絶対湿度を示す。
ごくごく一般的な空気線図なのでわからない方は以下の記事を参考にしてほしい。
ちなみに実際に直面する様々な事象における空気線図から見た考え方についてこちらでも紹介しているので興味がある方はこちらから。
・部屋の隅にできる結露
・コップの結露
・室内負荷と外気負荷
・車で発生する結露
図中に記載の①②③④はそれぞれの空気状態の位置を示す。
①は外気、②は室内空気、③は①と②の混合空気、④は空調機から出た空気であるコイル出口空気
基本的な冷却プロセスとしては①と②の空気を混合させてそのあとに空調機により空気を冷却する。
各温度ごとに空気中に含むことが可能な水分量は決まっているため、空調機の冷却により図中左上曲線に沿って絶対湿度が下がる。
(一般に相対湿度90%~95%程度上で空気が吹き出すとされている)
空調機からの空気は各室負荷の要因により顕熱であれば真横右側へ、潜熱であれば上へ空気線図上移動することとなる。
そのため基本的には図中朱書きで記載しているように
②と④で結んだ範囲が室内負荷となる。
一方で室内負荷以外には外気負荷しかないため②と④で結んだ範囲以外で空気が移動する範囲は外気負荷と扱うこととなる。
計算してみよう
前項までの図ではつまりどの程度が室内負荷で残りが外気負荷であるかがわかりづらかったと思う。
そこで一回例題をもとに計算してみることとする。
①から④の数字は前項の絵と合致させているので見比べながらご確認頂ければと思う。
こちらの図は空調機廻りの絵となる。
計算にあたり以下の内容を境界条件とする。
①外気(OA)・・・70kJ/kgの空気 1,000CMHを導入
②還気(RA)・・・54kJ/kgの空気 1,000CMHを導入
④コイル出口・・・40kJ/kg
まずは③を求めてみることとする。
①と②の空気量がそれぞれ1,000CMHのため1:1の割合となる。
そのため70kJ/kgと54kJ/kgのちょうど中間となるため62kJ/kgとなる。
また③の空気量は①と②の和となるため2,000CMHとなる。
熱量の算出式
実際に室内負荷と外気負荷を出すためには算出するため式を以下に紹介する。
熱量(負荷)=空気比熱 x 空気密度 x エンタルピー差 x 風量
但し
空気比熱・・・1.0J/(g・K)
空気密度・・・1.2kg/m3
エンタルピー・・・kJ/kg
風量・・・m3/h
熱量・・・kJ/h
まずは外気負荷から算出することとする。
先ほどの式より添付計算式となり結果19,200kJ/h
同様に室内負荷は33,600kJ/h
となる。
他の考え方
前項の考え方をすんなりと理解できる方であれば特に問題ないのだが、空気線図は意外とかなり奥深いので、納得がいかない方向けに異なるアプローチで外気負荷を算出してみる。
外気負荷なんだから①と②を結んだ部分が全て外気負荷では?と考える方もいるかと思われる。(かつて自分が同じ意見だったので)
考え方の違いなだけで計算の結果は結果として同じとなる。
①と②を結んだ範囲とする場合は混合空気の考え方がなくなるので風量を外気分を対象とする必要がある。
そのため風量は2,000CMHから1,000CMHにて計算する必要があるということ。
ただ一方でエンタルピー差は⊿8kJ/kgから⊿16kJ/kgとなる。
風量比がたまたま1:1だからだろうと考える方もいるかと思うのでそのあたりは実際にほかの数値を入れて確かめてみるとよい。
まとめ
今回は空気線図から室内負荷と外気負荷の算出まで行った。
エンタルピー上室内負荷より冷やした空気を室内負荷とし計算、外気と還気の混合空気から室内空気まで冷やした空気を外気負荷として計算が可能であることを紹介した。
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