空気線図が読めるようになる! 相対湿度と絶対湿度の違い

【↓空気線図講座一覧↓】(プルダウン)

こんにちは。
設備設計を初めて間もないころや学生で環境工学といった授業等の際によく出てくる相対湿度と絶対湿度といったキーワード。
湿度なのに2種類もあるのかなどと困惑している方が多いかと思う。
というのもそんな言葉を聞く前までは湿度としか呼んでいなかったからだ。
さらに問題なのは相対湿度と絶対湿度について説明を受けてもなかなか理解まで及ばないことだ。
今回はそんな相対湿度と絶対湿度について基本的な意味やイメージおよび空気線図を示して改めて紹介する。

飽和水蒸気量の概要

まず、相対湿度と絶対湿度の理解に必要不可欠な飽和水蒸気量について紹介する。

飽和水蒸気量とは、ある空気1kgに含むことができる最大の水分量(水蒸気量)を示す。
なお、乾球温度ごとに飽和水蒸気量が決まっていることが特徴である。
また、乾球温度の上昇に伴い飽和水蒸気量も増加する性質を持つ。

結露が発生する条件

結露が発生する条件としては水分量(水蒸気量)が飽和水蒸気量を上回ることである。
水分量(水蒸気量)が飽和水蒸気量を上回る要因としては大きく以下の二点が挙げられる。
一つ目が、物理的に水分量(水蒸気量)が増加する場合である。
例えば、水分量(水蒸気量)が物理的に増加した場合が考えられる。
二つ目が、乾球温度の低下などにより飽和水蒸気量が減少する場合が挙げられる。

相対湿度と絶対湿度

相対湿度

相対湿度はある空気1kgに含むことができる飽和水蒸気量のうち実際に含んでいる水分(水蒸気量)の割合のことをいう。
例えば1kgの空気の飽和水蒸気が0.5kgの場合で、水分量(水蒸気量)が0.2kgの場合は0.2kg÷0.5kg=40%となる。
水分量(水蒸気量)が0.4kgの場合は0.4kg÷0.5kg=80%となる

絶対湿度

絶対湿度はある空気の水分量(水蒸気量)を示す。
例えば1kgの空気に含まれる水分量(水蒸気量)が0.2kgの場合は0.2kg/kgとなる。

水分量(水蒸気量)が0.4kgの場合は0.4kg/kgとなる

温度が変化した場合の飽和水蒸気量のイメージ

温度が上昇した場合

まずは、温度が上昇した場合のイメージを示す。

温度上昇前の水分(水蒸気)の容器の大きさを0.4kgとする。
また温度上昇前の水分量を0.2kgとする。
このときの相対湿度は0.2kg ÷ 0.5kg = 40%となる。
また、絶対湿度は0.2kg/kgである。

温度が上昇すると水分(水蒸気)の容器が大きくなる。
例えば温度上昇後の水分(水蒸気)の容器の大きさを0.8kgとする。
容器が大きくなった場合においても、水分(水蒸気)の量自体は0.2kgから変化しない。
そのため相対湿度は0.2kg ÷ 0.8kg = 25% となる。
一方で絶対湿度は0.2kg/kgから変化はしない。

温度が低下した場合

次に、温度が低下した場合のイメージを示す。

温度低下前の水分(水蒸気)の容器の大きさを0.6kgとする。
また温度上昇前の水分量を0.2kgとする。
このときの相対湿度は0.2kg ÷ 0.6kg = 33%となる。
また、絶対湿度は0.2kg/kgである。

温度が低下すると水分(水蒸気)の容器が小さくなる。
例えば温度低下後の水分(水蒸気)の容器の大きさを0.4kgとする。
容器が大きくなった場合においても、水分(水蒸気)の量自体は0.2kgから変化しない。
そのため相対湿度は0.2kg ÷ 0.4kg = 50% となる。
一方で絶対湿度は0.2kg/kgから変化はしない。 

温度が低下し続けると

温度が低下し続けると、水分(水蒸気)よりも水分(水蒸気)の容器のほうが小さくなるタイミングがある。
水分(水蒸気)<容器 となると、容器から水分(水蒸気)が溢れ、結露が発生する。

なお結露について気になる方は以下を参照されたい。

空気線図で変化を見てみよう

前項で紹介した内容を実際に順番に空気線図で確認することとする。
まずは空気線図の読み方に慣れていない方もいるかと思うので簡単に読み方を紹介する。

空気線図は横軸に乾球温度を示し縦軸に絶対湿度を示す。
また青で記載した曲線が相対湿度となる。

さらに深く空気線図を知りたい方は以下を参照されたい。

まずは温度が上昇した場合を紹介する。
26℃50%を温度変化前とし、絶対湿度は0.0104kg/kgで飽和水蒸気量は0.0215kg/kgとなる。
相対湿度は 絶対湿度0.0104kg ÷ 飽和水蒸気量0.0215kg/kg ≒50% となる。

温度が仮に30℃まで上昇したとすると温度上昇に伴い水分(水蒸気)を含むことができる量が増加し、
飽和水蒸気量は0.0273kg/kgまで増える。
飽和水蒸気量増加後の絶対湿度は温度が26℃の時とは変わらず0.0104kg/kgである。
一方で相対湿度は 絶対湿度0.0104kg ÷ 飽和水蒸気量0.0273kg/kg ≒40% となる。

続いて温度が下がった場合を紹介する。
26℃50%を温度変化前とし、絶対湿度は0.0104kg/kgで飽和水蒸気量は0.0215kg/kgとなる。
相対湿度は 絶対湿度0.0104kg ÷ 飽和水蒸気量0.0215kg/kg ≒50% となる。

温度が仮に22℃まで低下した場合、温度下降に伴い水分(水蒸気)の容器が縮小し、
飽和水蒸気量は0.0167kg/kgまで減少する。
飽和水蒸気量減少後の絶対湿度は温度が26℃の時とは変わらず0.0104kg/kgである。
一方で、相対湿度は 
絶対湿度0.0104kg ÷ 飽和水蒸気量0.0167kg/kg ≒63% となる。

最後に温度が大幅に下がった場合を紹介する。
26℃50%を温度変化前とし、絶対湿度は0.0104kg/kgで飽和水蒸気量は0.0215kg/kgとなる。
相対湿度は 絶対湿度0.0104kg ÷ 飽和水蒸気量0.0215kg/kg ≒50% となる。

温度が仮に10℃まで下降した場合、温度低下に伴い水分(水蒸気)の容器が縮小し、
飽和水蒸気量は0.0078kg/kgまで減少する。
相対湿度は 絶対湿度0.0104kg ÷ 飽和水蒸気量0.0078kg/kg >100% となる。
そのため空気が一部結露し相対湿度は100%となる。
またそのときの絶対湿度は0.0078kg/kgとなる。

まとめ

今回は相対湿度と絶対湿度について基本的な意味やイメージおよび空気線図を示して紹介した。
相対湿度は飽和水蒸気量に対する水分量の割合を示し、絶対湿度は水分の量そのものを示すことを紹介した。
空気については目に見えないものなのでなかなか理解が難しいかもれしないが徐々に慣れていっていただければと思う。

また空気線図についてさらに学びたい方は以下の書籍がおすすめだ。

コメント