排水桝と現地調査 -設計時に確認するべきこと- 2023.02.232024.01.07 こんにちは。設計初期には必ず現地調査を行う。建物内の現地調査では各部屋の仕様や使われ方を調べる必要がある。一方で建物外ではインフラがどのようなルートで埋設されているかを調べる。図面と目視の両方でインフラの位置を確認することが普通だ。ただ排水桝については他のインフラ設備とは異なりより詳細に調べる必要がある。理由としてはもし排水桝の情報と図面に相違があると排水ができない可能性があるからだ。今回は設計時における排水桝調査で確認するべきことと現地調査に必要な道具を紹介する。 コンテンツ 排水桝とは何か排水桝の仕様 -確認事項-①マンホール蓋の仕様②排水管の土被り、管径、排水の方向③地盤高さの確認現地調査に必要なもの①マンホールフック②コンベックス(メジャー)③レーザー距離計④バール⑤軍手⑥フリクション⑦図面⑧スマホ⑨付箋注意点まとめ 排水桝とは何か 排水桝とは排水管の要所に設けられる点検口のことだ。普段目に見える部分とすれば排水用のマンホールがある部分に排水桝が設置されている。排水設備基準によれば排水桝の設置間隔は管径の120倍以内だ。そのため上記の間隔以内に少なくとも排水桝が設置されているはずだ。 (参考)排水桝の設置間隔についてより詳しく知りたい方は以下の記事からご確認いただければと思う。 排水桝間の最長距離 -間隔の制約を紹介-こんにちは。今回は意外と知らない方も多いであろう内容について紹介する。それは排水桝間の距離の制約についてだ。特に敷地内に設置する排水桝についてはあまり気にしたこともない方も多いかもしれない。今回は排水桝間の最長距離について紹介する。ちなみに... 排水桝の仕様 -確認事項- 排水桝の仕様について調査が必要な項目を以下に紹介する。 ①マンホール蓋の仕様 調査項目(蓋) 確認方法 大きさ ○○φ 仕様 鋳鉄製・樹脂製 耐荷重 ○○kN まずはマンホールの仕様を確認する必要がある。理由としては現状のマンホール蓋の荷重設定が適切であるかどうかを確認する必要がある。また鋳鉄製か樹脂製のどちらであるかも確認した上で設計へ反映する必要がある。例えばポンプアップ排水が接続される場合、樹脂製蓋だと蓋が吹っ飛ぶ可能性がある。 マンホール蓋の大きさを始めマンホールが鋳鉄製なのか樹脂製なのかを調査するまた耐荷重についてもマンホールにもし明記があれば調査を行う。(参考)マンホール蓋の耐荷重については以下の記事でも紹介しているので興味がある方はご確認いただければと思う。 配管の埋設深さと桝蓋 一般部と車両通行部の違いこんにちは。人が生活する建物には基本的にどんな建物にも水廻りがある。水廻りへの給水や水廻りからの排水は公共上水道や、下水道から供給されることがほとんどだ。これら上水や下水は私たちが普段歩いている地中に埋められている。そのため衛生設備の外構計... ②排水管の土被り、管径、排水の方向 調査項目(排水管)確認方法土被り流入:○○mm流出:○○mm管径流入:○○mm流出:○○mm配管材陶管、塩ビ管排水の方向持参の図面に図示 排水管についても調査が必要だ。排水管の設置高さによって既存の排水桝が再利用可能かどうかに影響する。排水まずは土被りを排水管流入、流出それぞれ確認する。管径と配管材も調べる必要がある。配管材は排水の許容排水量へ影響する。排水の方向はどこに排水管がつながっているかを把握するために必要な情報だ。 (参考)土被りについて以下の記事で簡単に紹介しているので興味のある方はご確認いただければと思う。 配管の埋設深さと桝蓋 一般部と車両通行部の違いこんにちは。人が生活する建物には基本的にどんな建物にも水廻りがある。水廻りへの給水や水廻りからの排水は公共上水道や、下水道から供給されることがほとんどだ。これら上水や下水は私たちが普段歩いている地中に埋められている。そのため衛生設備の外構計... (参考)また配管材ごとの許容流量については以下の記事で紹介している。 【必見】排水勾配と排水量がわかる-マニングの公式-はいこんにちは。普段排水の計算をしていて行政などからマニングの公式やクッターの公式を用いて計算するよう指導された経験はないだろうか。そのように指導された場合建築設備設計基準に記載の計算方法と異なるため困ってしまう方も多いかと思う。また純粋に... ③地盤高さの確認 地盤高さの確認も必要だ。前項でせっかく排水管の土被りを調べたとしても地盤の高さがわからないと排水管の絶対的な高さがわからない。ただし既存図などから地盤の高さを把握できるも多い。そのため図面がある場合は図面を優先することとしてもよいだろう。 現地調査に必要なもの 次に現地調査に必要なツールを紹介する。 ①マンホールフック マンホールを開けるためのツールは必須だ。フック上になっておりマンホールの隙間や取っ手に引っ掛けて使用する。購入はこちらから。 ②コンベックス(メジャー) 配管の深さ調査時やマンホール蓋の大きさを確認する際に使用する。自動で巻き取れるものかつ金属製が望ましい。購入はこちらから。 ③レーザー距離計 コンベックスでなくても自動で長さを計測してくれるレーザー距離計があってもよいだろう。但し排水桝内に水が溜まっている場合は測定できないのでコンベックスも持参することをお勧めする。また使用時は排水桝内に落とさないように注意されたい。購入はこちらから。 ④バール マンホールオープナーであかない場合にはバールがあると大変便利だ。てこの原理で持ち上げることができるためより小さな力でマンホールを開けることができる。購入はこちらから。 ⑤軍手 作業時には安全のためにも軍手があった方がよい。現地調査を行う際は一人だけということはないだろうから複数枚購入することをお勧めする。購入はこちらから。 ⑥フリクション 調査内容書き込みのためにフリクションがあると便利だ。何度も書いたり消したりできるためおすすめだ。購入はこちらから。 ⑦図面 排水桝を調査するために該当する敷地の図面や排水桝の位置がわかる図面を持参することと進めする。イメージとしてはその用紙に直接記入するイメージだ。 ⑧スマホ 写真が撮れるものであればなんでも構わない。排水桝の外観や内部構造を写真でとっておくことで後々の現地調査報告書作成時に役に立ってくれる。 ⑨付箋 写真を撮る際に使用する。排水桝の写真を複数枚とるとどの写真がどの排水桝かが分からなくなる。そのためにも写真を撮る前に付箋で排水桝の番号を適当に書く。結果後々の資料整理の際に役立つ。購入はこちらから。 注意点 公道部分の排水桝を調査する際は必ず事前に下水道局へ相談することをお勧めする。公道部分は敷地内の所有者の財産ではなく下水道局側で管理されている場合であることがほとんどだからだ。場合にもよるが下水道局側先導で排水桝の確認を行ってくれることもある。 まとめ 今回は設計時における排水桝調査で確認するべきことと現地調査に必要な道具を紹介した。現地調査は実際に現地へ赴く必要がある。そのため実際に何回も行えるものではないので事前準備を周到に行ったうえで現地調査を行うことをお勧めする。
コメント