通気管が必要な理由

こんにちは。
設備設計を行っていてあまり話題になることがない通気管。
その割には通気管がないだけで室内環境が悪化するので厄介な存在だ。

通気管は何も設計時だけの問題ではない。
既に運用されている建物においても何らかの形で通気管が閉塞していることも多い。
排水管は下水道とつながっている。
そのため通気管が正しく計画されていないだけで下水の臭いが室内に蔓延する。

通気が正しく計画されているかによりそこに住む人々が快適性に大きく影響する。

今回は通気管が必要な理由について紹介する。

通気管の計画イメージを示す。
状況にもよるが基本的に1の配管に2つ以上の排水がつながっている場合に通気を設ける必要がある。
また排水たて管にも同様に通気管を設ける。

通気管がないとどうなるか

通常各排水にはトラップが設けられている。
トラップ部分に水をためる構造とすることで下水道からからの臭気を食い止めている。
これを封水という。

①他の衛生器具から排水があふれ出す その1

ある衛生器具から排水されるともともと排水管内で滞留していた空気がどこかへ押し出されることになる。
その際に通気管が設置されていないと空気の行き場がなくなる。

横引き排水管が満水となると空気が他の衛生器具の封水側へ作用する。
移動した配管の空気分だけ一時的に他の封水の水位が上がる恐れがある。

②他の衛生器具から排水があふれ出す その2

実は排水があふれ出す事例としては排水たて管が起因している場合もある。
上階から排水が行われた場合にもともとあった排水管内の空気が押し出される。

排水たて管からの排水は排水横管よりも圧倒的に排水流速が速い。
排水管内の空気の押し出される速度も速い。
そのため下階の封水が悪さをしてしまい排水があふれ出す恐れがある。

③封水が切れる

排水が行われた後に封水が切れる恐れもある。

排水が行われた後にどこかのタイミングで図のように排水が途切れる。
ただもともと排水管内の排水が満水だった場合は排水を流すためにどこかから空気を引っ張らなければならない。

通気管がない場合は封水を通じて空気を引っ張るほかない。
そのため結果的に封水が切れることとなる。

運用時に封水が切れる例

設計時に通気管を適切に設けていない場合は前項の現象が生じやすい。

他にも運用時においては何らかの原因で通気が閉塞した場合だ。
閉塞すると結局は通気管がないことと同じなので封水が切れる。

長期間排水をしていない場合には徐々に封水が気化し封水が切れる。

(おまけ)時間経過により封水が切れる

通気管を適切に設けていても封水が切れることがある。
そのうちの一つが時間経過により水分が蒸発してしまうことだ。

以下で紹介されている実験によれば1日2mm~5mm程度水位が減少する。
そのため何日も水廻りを使用していないと封水が切れる恐れがある。

まとめ

今回は通気管が必要な理由について紹介した。
通気管はいつも見逃されやすいほどおまけのような存在だろう。
だがそんな通気管にも重要な役割があることを認識いただければと思う。

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