【初心者向け】制気口の大きさの計算方法を紹介 2023.01.292024.01.07 【↓ダクト講座一覧↓】(プルダウン) ダクト設備 (34)【ダクトの基礎】 ①ダクトの役割と仕組み ②ダクトの材料 ③ダクトの吊りと接続方法 ④保温の必要性 ⑤空調ダクトと換気ダクトの違い ⑥様々なダンパー ⑦VDの役割と設置例 ⑧CDの役割と設置例 ⑨MDの役割と設置例 ⑩FDの役割と設置例 ⑪HFDの役割と設置例 ⑫SFDを設けるケース ⑬HFDの設置位置と耐火ダクト ⑭FDを設けるかダクト迂回か ⑮CAVとVAVの役割と設置例 ⑯ガラリの役割 ⑰ベントキャップの役割 ⑱制気口の種類と使い分け ⑲制気口BOXの役割 ⑳制気口の結露防止 ㉑保温内貼り、外貼りの使い分け ㉒ブリーズライン上部のBOX ㉓アスペクト比【ダクトの計画・大きさ】 ①ダクトの大きさの決め方 ②矩形ダクトとスパイラルダクト ③ガラリの大きさの決め方 ④制気口の位置の決め方 ⑤制気口の大きさ計算方法 ⑥制気口の大きさ計算ツール ⑦制気口ボックスの大きさ計算方法【ダクトの描き方】 ①ダクト図の描き方 ②制気口リストの作り方 ③ガラリチャンバーリスト ④ダクトの描き方_枝ダクト こんにちは。空調設備や換気設備を計画するうえで制気口の計画は必須だ。いくら能力を満足する機器やファンを持っていたとしても制気口の考え方ひとつで建物内の快適度は大きく変わる。例えば制気口の風量(面風速)が大きすぎた場合。面風速が大きいほど人が制気口からの風を感じる可能性はどうしても高くなる。そのため制気口周辺に滞在している人からすれば暑い、寒いといった不快感を感じる。空調設備や換気設備は人が何も感じることなく快適だと思わせられるかどうかが重要だ。今回は必要風量の算定から制気口の大きさまでにおける一連の計算方法を紹介する。 コンテンツ (序)対象室の風量を確認今回のモデルケース制気口の位置、数量制気口毎の風量制気口の大きさ(給気)制気口の大きさ(パスダクト)(余談)制気口を一つにした場合まとめ (序)対象室の風量を確認 本編に入る前に対象室の風量の確認方法について少しだけ紹介する。(基本的な風量の計画方法がわかっていないとこの後の内容が理解できないので。) 風量が変動する要因は以下のとおりだろう。・室面積、室容積、室用途居室の場合は室面積が大きくなるほど人員数が増加する。非居室の場合は室面積や容積が増加するほど必要風量が増加する。またトイレといった室用途の場合は一般に10回換気が求められるため風量が増加する。室面積、室容積、室用途を確認した上で対象室の風量を確認する。 (補足)換気量についてより深く知りたい方は以下リンクより確認頂ければと思う。 奥が深い!人員による必要換気量建築設備を始めて間もない方。まだ建築設備業界で働き始めて1年目2年目で右往左往している方。はたまた何年も建築設備に従事されている方。意外といろいろな方が知っているようで知らないような人員による必要換気量の奥深い部分について紹介することとする... 今回のモデルケース 今回使用するモデルケースは図の通りだ。室面積が100m2で人員数は15人とした。一人あたりの換気量は30m3/h・人とした場合対象室に必要な風量は以下となる。30m3/h・人 x 15人 =450m3/h 今回はこの450m3/hの風量を用いて制気口をどのように計画するかを計画する。なお今回は2種換気とし以下の通りとする。給気:対象室内への給気を行う。排気:扉側から隣室(今回は廊下と仮定する)へパスダクトにて計画することとする。 近年の一人当たりの換気量の変化についてより深く知りたい方はこちらをどうぞ。 【初心者向け】必要換気量および室内CO2濃度の計算方法を紹介こんにちは。近年地球温暖化の影響により外気の二酸化炭素濃度(以降CO2濃度)が徐々に上がりつつある。一方で建築物衛生法(ビル管法)では室内の居室の濃度を1,000ppm以下に維持する必要がある。現在以下の法令によれば一人当たりに必要な必要換... 制気口の位置、数量 制気口の位置や数量については設計者の判断で決めてしまって問題ない。ただ以下の点だけは注意されたい。室内の空気がある程度均一に循環されるような位置に制気口を設置すること。 例えば同一方位に給気と排気の制気口を設けたのでは室内の空気は循環しないだろう。そのため例えば以下の通りとすることが望ましい。 給気と排気が逆の方位に計画されているため比較的室内全体の空気が循環しやすい。なお先ほどの説明したが制気口の数量や位置は設計者判断による。そのため本図はあくまでも一例となる。 (補足)制気口の位置は以下のリンクを参考に決めることが望ましい。興味がある方はご確認いただければと思う。 【総合図】制気口の位置の決め方こんにちは。総合図を作成する際に特に制気口の設置位置や照明の設置位置、その他火災報知機や室内機の設置位置など何を優先するべきかがよくわからないという方はいないだろうか。特に狭い室内に複数の器具が鬩ぎあう場合は兎にも角にもスペースの取り合いに... 制気口毎の風量 次に制気口毎の風量を設定する。給気風量は全体で450m3/hだ。今回は制気口を2個設けることとして計算する。制気口1個あたりの風量は450m3/h ÷ 2個 = 225m3/h・個となる。パスダクト用の制気口も給気側と数量が同じであるため同じく 225m3/h・個となる。 制気口の大きさ(給気) まずは給気側から確認する。前項より風量は225m3/hだ。通常制気口の面風速は2.0m/s ~ 3.0m/sの間で選定する。そのため基本的に面風速を2.0m/sとして計算すれば問題ないだろう。次に制気口の開口率についてだ。一般的なVHSやGVS(VS,HS,VH等も同様)は開口率70%を超えるものがほとんどだ。そのため開口率は70%で計算すれば十分だろう。 これらの与条件が揃った後に次は制気口に必要な面積を算出する。(必要面積)計算式は以下の通りだ。必要面積m2 = 風量m3/h ÷ 3,600s/h ÷ 面風速m/s ÷ 開口率%今回の例でいえば以下の通りだ。必要面積m2 = 225m2 ÷ 3,600s/h ÷ 2.0m/s ÷ 70% =0.045m2つまり0.045m2の大きさを満たす制気口を計画すればよいこととなる。例えば正方形であれば 250x 250 の制気口となる。長方形であれば以下のとおりだろう。150×300、200×250、250×200これらの中から制気口の大きさを選択すればよい。 制気口の大きさ(パスダクト) 次にパスダクト側の制気口の大きさを求める。求め方自体は先ほど同じだ。唯一給気側と変わる点が面風速だろう。通常パスダクトの場合は面風速を1.5m/sにて計画する。(パスダクトはファンを持たないため面風速を上げると実際にパスダクト側から吸気されないことが理由) 先ほどと同じように制気口の必要面積を算出すると必要面積m2 = 225m2 ÷ 3,600s/h ÷ 1.5m/s ÷ 70% =0.060m2 となる。つまり0.060m2の大きさを満たす制気口を計画すればよいこととなる。例えば正方形であれば 250x 250 の制気口となる。長方形であれば以下のとおりだろう。150×400、200×300、250×250これらの中から制気口の大きさを選択すればよい。 (余談)制気口を一つにした場合 余談だが制気口を一つにした場合を確認する。一枚目の写真が給気の場合を示す。風量が450m3/hとなり正方形の制気口を設置する場合は300 x300 となる。 次に二枚目の写真がパスダクトを想定した場合だ。同じく風量が450m3/hで正方形の制気口を設置する場合は350×350となる。 まとめ 今回は必要風量の算定から制気口の大きさまでにおける一連の計算方法を紹介した。たとえ制気口のサイズと風量があっていないとしても設計時、施工時には問題になりづらい。ただ建物の運用が始まってからクレームにつながりやすいため注意が必要だろう。
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