【初心者必見】ファンコイルユニットの配管径計算方法

こんにちは。
中央熱源方式で作図をする際にいつも困ることがあるだろう。
それは配管径の算定方法がわからないということだ。
図面を作図するうえで配管径の記載は必須だ。
特に比較的多くの台数を導入することがあるファンコイルユニットの場合は計算が複雑になりやすい。
今回はファンコイルユニットの基礎知識とファンコイルユニットを導入する場合における配管径の算定方法を紹介する。

ファンコイルユニットとはいわゆる室内機のようなものだ。
但しよく家庭でよく見かける室内機(エアコン)とは少し異なる。
家庭でよく見かける室内機は冷媒管により室外機と接続する。
その室外機と室内機により室内の空気を冷やしたり暖めたりする。
対してファンコイルユニットは建物全体を賄う熱源機器と接続する。
接続方法は冷媒管ではなく冷水配管や温水配管で接続される。
そのため表面的な見た目は似ていてもファンコイルユニットとエアコンとでは大きく異なる。

ファンコイルユニットの冷温水流量の算定方法

次にファンコイルユニットの冷温水量の算定方法を紹介する。
まずカタログや建築設備設計基準に記載のファンコイルユニットの項から冷房能力および暖房能力を確認する。
ファンコイルユニットの場合型番が300,400,600,800などと記載されることも多い。

 

例えば各室内設定温度を夏期26℃、冬期22℃とする。
また冷水の入口水温を7℃、温水の入口水温を55℃、出入口温度を7℃とする。
その時のファンコイルユニットの定格冷房能力と定格暖房能力は左表の通りとなる。
(建築設備設計基準参照)

また冷房、暖房能力と出入口温度差の関係から本ファンコイルに必要な冷暖房時の流量および決定流量は左表の通りとなる。

なお必要流量は以下の式で算出される。
必要流量[L/min] =能力[kW] x 3,600÷ (4.18 x 60 x温度差[]) 

結果今回の場合でいえば
各ファンコイルユニットに必要な流量はFCU300から順に
5.9[L/min]7.8[L/min]11.7[L/min]15.6[L/min]となる。

ファンコイルユニットが複数ある時の流量と配管径

前項でファンコイルごとに流量を算出した。
その流量を用いてファンコイルが複数ある時の流量と配管径の算出を行う。

図のようにファンコイルユニットが直列に並んだ時の流量を算出する。
今回はリバースレタン方式、2管式とした。
リバースレタン方式について詳しく知りたい方はこちらを確認されたい。
また2管式について詳しく知りたい方はこちらから。

前項よりFCU-300の流量を5.9[L/min]FCU600の流量を11.7[L/min]とする。

そのためFCU-300FCU-600が合流したところの流量は
5.9[L/min]+11.7[L/min]=17.6[L/min]となる。
このようにして配管内を流れる流量を合算し算定していく。

続いてその時の配管径について紹介する。

通常冷温水管を用いる時は配管用炭素鋼鋼管()を用いることが多い。
建築設備設計基準では配管種別に流量とその時の配管径が記載されている。

配管径の表と先ほどのファンコイルユニットの流量より以下の通りとなる。
FCU-300・・・15A(5.9L/min)
FCU-600・・・20A(11.7L/min)
FCU-300+FCU-600=20A(17.6L/min)

熱源機側の流量とファンコイルユニットの合計流量の関係性

ここまで読み進めていただいた方からすれば不思議に思うところが1点あるだろう。
それはファンコイルユニットの流量を積み上げたときの合計流量>熱源機の必要流量となることだ。
熱源機を算定する場合は室負荷を積み上げたうえで若干の余裕係数を見込んで算定する。
ファンコイルユニットも熱源と同様に室負荷から機器を選定する。
だがファンコイルユニットの場合は1日の最大負荷から算定することが特徴だ。
一方で熱源機は各代表時刻における室負荷の集計から機器を選定することが特徴だ。

これだけだと少しわかりづらいので一例を紹介する。
例えば南北に長い建物で中廊下があり東と西の両側に居室があるとする。
ファンコイルユニットの場合はそれぞれの室に設置される。
東側の居室は直射日光があたる朝方が最も室負荷が高い傾向がある。
一方で西側の居室は直射日光が当たる夕方が最も室負荷が高い傾向となる。

この時東側の居室に設置されるファンコイルユニットは朝方の室負荷を基に選定する。
西側の居室に設置されるファンコイルユニットは夕方の室負荷を基に選定することとなる。 

次に熱源機算定について紹介する。
熱源機はファンコイルユニットとは異なり各代表時刻における室負荷の集計から機器を選定する。
例えば夕方においては西側居室の室負荷は高いが東側居室の室負荷は低い傾向を示す。
夕方においてはこの集計値以上の熱源機の能力は必要がないためだ。

このような理由から
熱源機の必要流量>ファンコイルユニットの必要流量
となりやすい。

これが前項までで紹介した流量計算と口径計算を行う際に影響する。
ファンコイルユニットの必要流量と配管径の関係が熱源機側を超えてしまう可能性がある。
そんな時は流量と配管径の関係について設計者判断で一方的に決めてしまって以降にかまわない。
ただ考え方として熱源機が持っている能力(流量)以上は配管内を流れることがないはずだ。
そのため熱源機側の流量、配管径を上限として配管径を選定しても問題ないことになる。

まとめ

今回はファンコイルユニットの基礎知識とファンコイルユニットを導入する場合における配管径の算定方法を紹介した。

ファンコイルユニット 

1.概要:家庭用エアコンとは異なり建物全体を賄う熱源機器と接続。
2.流量算定方法:ファンコイルユニットの能力から計算し算定。
3.配管径算定方法:ファンコイルユニットの流量を合算し算定。
注意:流量と配管径は熱源機の仕様が上限。

大規模な建物や特殊な用途の建物であるほどファンコイルユニットを見込む傾向がある。
そんな時にも本稿が役に立っていただければと思う。

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