壁体の表面温度 -比較的簡易な計算方法を紹介-

こんにちは。
設計時には意外と気にしないことも多い壁体の表面温度。
普段から気にしないが故にどのように壁体の表面温度を求めたらよいかがなかなかわからない方も多いだろう。
だが例えば建物用途が特殊で結露の観点から窓表面の温度を求めることも実情としてある。
他にも表面温度を求める必要があるケースはあるだろう。

今回は壁体の表面温度について比較的簡易な計算方法を紹介する。

壁体の表面温度と今回の計算条件

壁体の表面温度とは図中の赤点線部を示す。
室内の空気と触れる前の壁面の温度のことだ。
壁面の表面温度は室内の温度や屋外の温度とは異なる。
例えば窓を触ってみればわかりやすいだろう。
室内の温度とは異なり窓の表面温度は季節により暖かかったり冷たかったりするはずだ。

今回は上図における室内側の壁面表面温度の計算方法について紹介する。
なお屋外と室内の熱伝達抵抗率はそれぞれ0.043478[m2・K/W]、0.111111[m2・K/W]とする。
(熱負荷計算で通常用いられる数値)

熱伝達抵抗率の計算

次に求める事項が各部材の熱伝達抵抗率だ。
熱伝達抵抗率に求めるにあたり各部材の厚さと熱伝導率を把握する必要がある。
例えば石膏ボードであれば熱伝導率は0.170[W/m・K]となる。
石膏ボードの厚さが0.0125[m]の時、石膏ボードの熱伝達抵抗率は
0.0125 ÷ 0.170 = 0.0073529[m2・K/W]となる。

このように石膏ボード以外についても求める。
すると各材料の熱伝達抵抗率合計は1.311029[m2・K/W]となる。

なお余談だが熱伝達抵抗率の値が高いほど断熱性能が高いことを示す。

また各熱伝導率や熱伝達抵抗率はメーカーの数値や熱負荷計算を行う際のマニュアル等に記されているので参考にされたい。

内壁の表面温度の計算

前項より各材料の熱伝達抵抗率合計は1.311029[m2・K/W]。
また室内側の内表面熱伝達抵抗率は0.11111
[m2・K/W]だ。
この2つの値および室内と屋外の温度を用いて内壁の表面温度を計算する。
計算式は以下の通りとなる。

内壁の表面温度[℃] = 室内温度[℃] – (室内外温度差[℃] x ( 内表面熱伝達抵抗率[m2・K/W] ÷ 熱伝達抵抗率合計[m2・K/W]))

例えば屋外温度が0℃、室内の温度が26℃の時を計算する。
26[℃] – ( 26[℃] x (0.111111
[m2・K/W] ÷ 1.311029[m2・K/W]))
=26[℃] – ( 26[℃] x  0.08475 [-])
=
26[℃] – 2.2035[℃]
=23.7965[℃]
となる。

例えば屋外温度が36℃、室内の温度が26℃の時は
内壁の表面温度は26.848℃となる。

透明ガラス6mmの場合の表面温度

続いて透明ガラス6mmの場合における室内側の窓表面温度を求める。
透明ガラスの熱伝導率は0.78[W/m・K]でガラス厚は0.006[m]
熱伝達抵抗率は0.007692[m2・K/W]となる。
全部材の熱伝達抵抗率は0.162281[m2・K/W]で内内表面熱伝達抵抗率は0.111111[m2・K/W]。
結果室内側の窓表面温度は8.198[℃]となる。

まとめ

今回は壁体の表面温度について比較的簡易な計算方法を紹介した。
設計においては表面温度を求める頻度は比較的少ないかと思う。
それでも表面温度の求め方について原理程度は理解しておくことで、ふと急に計算の機会を求められた際に役に立つはずだ。

また本稿で紹介したソフトウェアのはこちらのリンクよりダウンロードが可能なため、興味がある方は確認頂ければと思う。

 

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