ホーム > 空気線図 空気線図が読めるようになる -加湿量の計算方法- 2022.04.152024.01.07 【↓空気線図講座一覧↓】(プルダウン) 空気線図 (21)【空気線図の基本】 ①空気線図の基本1 ②空気線図の基本2 ③エンタルピーとは ④除湿量の計算補法 ⑤加湿量の計算方法 ⑥飽和効率とは ⑦相対湿度と絶対湿度【空気線図上での空調機の動き】 ⑧空調機冷却時の動き ⑨空調機加熱時の動き ⑩室内負荷と外気負荷 ⑪顕熱と潜熱【空気線図上での全熱交換器の動き】 ⑫全熱交換器を用いた場合 ⑫全熱交換器と加湿量【空気線図上でみる結露】 ⑬コーヒーの湯気と結露 ⑭コップの結露 ⑮車の窓に発生する結露 ⑯部屋の隅にできる結露 ⑰過冷却と結露【空気線図上でみる近年の湿度】 ⑱外気相対湿度の推移 ⑲外気絶対湿度の推移1 ⑳外気絶対湿度の推移2 こんにちは。空気線図の読み方についてまだまだ慣れていない方からすれば加湿量の計算はどのように行ったらいいのかわかりづらい部分もあるかと思う。空気線図には縦横以外にも斜めの線が引っ張られていたり曲線まで同時に記載されているがために更に読み方が難しくなっていることが実情だ。そんな難解な空気線図ではあるが加湿量の計算については実はそこまで難しくない。今回はまず加湿の基本的な部分を紹介したのちに加湿前後による加湿量の算出方法について紹介する。 コンテンツ 加湿とは加湿の種類電熱加湿のコスト加湿の種類による空気線図上の空気の動き加湿方式の選定方法加湿量の算定方法まとめ 加湿とは そもそも加湿を行うとどうなるのか紹介する。例えば加湿前の空気の相対湿度は20%とする。その相対湿度20%の空気を加湿器を介すことで相対湿度が例えば40%にすることが可能だ。 相対湿度を上昇させることが加湿するといった意味となる。(厳密には絶対湿度を上昇させ結果相対湿度が上がるのだがややこしいのでシンプルに紹介した。) 加湿の種類 続いて加湿の種類について紹介する。大きく分けて水加湿(水気化式加湿)、上記加湿、電熱加湿に大別することができる。 水加湿が最も一般的に用いられる手法だ。気化した水を空気に噴霧することで加湿を行う方式だ。一方で蒸気加湿は蒸気をあらかじめ作ったうえで蒸気を空気に噴霧する方式だ。一般的な水加湿と比べると蒸気を作る必要がある分コストが上がる。但し水加湿とは異なり単に蒸気を噴霧するわけではなく蒸気ボイラーを用いての噴霧となるため蒸気噴霧量の比例制御が可能といったメリットがある。電熱加湿は最も高級な方式だ。というのも上記加湿同様に比例制御が可能である上に蒸気よりもさらに制御性が高い点にある。但し電熱加湿は電力量がかなりひっ迫することがデメリットだろう。 電熱加湿のコスト 吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。 話は少し脱線するがせっかくなので電熱加湿に必要な消費電力を試算する。例えば5,000CMHで加熱コイル出口空気(電熱加湿入口空気)が22℃12%であり電熱加湿出口空気が22℃40%とする。消費電力 = 空気密度 x 風量 x エンタルピー差で求めることができるので消費電力 = 1.2 x 5,000 x (39 – 27) = 72,000kJ/h = 20kWとなる。20kWといえば100Vの場合だと20Aなので例えば皆様の家の契約電力が20Aであるとすれば家全体の電力をたった1つの加湿器で消費していることとなる。 加湿の種類による空気線図上の空気の動き まず水加湿による加湿後の空気についてだ。水加湿の場合は気化した水を噴霧するだけであるため特にエネルギー上のやりとりは発生しない。一方で蒸気加湿および電熱加湿の場合は実際に熱を加えた加湿方式であるためエネルギー上のやり取りが発生する。温度こそ変わらないもののエンタルピーは上昇することとなるため空気線図上概ね真上に空気が移動する。 加湿方式の選定方法 加湿方式の基本的な決定方法を紹介する。まずビル管法(建築物衛生法)に抵触する建物かどうかを確認する。ビル管法に抵触しない建物であれば法的には加湿は建物に不要ということとなる。 とはいえ冬期に加湿をしないと風邪をひいたり等心配をする方がほとんどだと思うので実情としては見込まれている建物が多い印象だ。そんな時にまず考えられることがポータブル加湿器での対応だ。お客様側で竣工後に用意して頂くこととはなるが最もお手軽な手法だ。ある一定の規模になってくるとポータブル加湿器の数が数えきれないくらいになるため例えば加湿付のパッケージエアコンや加湿器を単独設置する場合、はたまた全熱交換器に組み込む場合などが考えられる。また中央熱源であれば空調機や外調機に組み込むケースも多いだろう。この際に一般的に用いられる加湿が水加湿(気化式加湿)だ。続いてある程度湿度を気にする建物などとなると上記加湿や電熱加湿といった加湿方式を選択することとなる。例えば研究にあたりある一定の温湿度下でないと研究成果が認められない場合だ。上記のような場合には厳格な温湿度制御が必要となるため蒸気式もしくは電熱加湿式が用いられることが多い。 加湿量の算定方法 ようやく本題の加湿量の算定方法について紹介する。なお上記の図は水加湿を前提とした加湿方式に基づき記載しているが蒸気加湿および電熱加湿の場合でも考え方は特に変わらない。必要加湿量は以下の式で示される。加湿量[kg/h] = 空気密度 x 風量[CMH] x 絶対湿度差[kg/kg]例えば加湿前の空気が0.0023kg/kgの絶対湿度を持つ空気だとする。一方で加湿後の空気が0.0065kg/kgの絶対湿度を持つ空気だとし風量が5,000CMHであれば必要加湿量は以下となる。加湿量[kg/h] = 1.2 x 5,000 x (0.0065 – 0.0023) = 25.2kg/hとなる。 まとめ 今回は加湿の基本的な部分を紹介したうえで加湿前後による加湿量の算出方法について紹介した。加湿量については熱量の計算などとは異なり比較的イメージしやすいかと思うのでこれを機にぜひとも身につけていただければと思う。
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