【これならわかる】排水勾配の計算方法

こんにちは。
設計をしていると毎回毎回恒例だが排水の勾配がよくわからなくなることはないだろうか。
設計者や図面によって1/100勾配であったり1%勾配といった呼び方をしていることも一つの原因だろう。
また何メートルの配管で○○mm下がっているから○○%の勾配になるのだろうかなどと頭の中のイメージと実際の勾配との関係性より計算まで結びつかない場合があるかと思う。
そんな排水管に勾配が必要な理由をはじめ、排水管の落差と配管長さの関係から排水の勾配の求め方について今回は紹介する。

(参考)YouTubeで確認

そもそも排水管になぜ勾配が必要なのか

こちらの大便器と排水管の関係を示す。
大便器の底から排水管がつながるようなイメージとなり床下を通って排水管が横引きられる。
(厳密には大便器側の排水管のつながりは少し異なるが)

その際に排水管の横引きに勾配が必要なわけだがその理由を以下に紹介する。
もし排水管に勾配がないとどうなるだろうか。
排水管は原則的に給水のように圧送された水が流れるわけではない。
そのため重力のみを頼りに下水道本管まで導く必要がある。
大便器からの高さによる圧力こそあるものの勾配がないとすぐその排水は詰まってしまう。
そんな恐れがあるために排水には一定の勾配が必要なのだ。
排水管の径と勾配による排水可能量については以下を参照されたい。

排水勾配の計算の方法

続いて排水勾配の計算方法を紹介する。あ例えば図のように排水管が地中に埋まっているとする。
対象とする排水管の長さをL[mm]とする。
一方で排水管の左側末端と右側末端の高低差をx[mm]とする。

上記の条件の時の排水勾配は

排水勾配[-] = x[mm] ÷ L[mm]

となる。

また排水勾配を%表示したい場合

排水勾配[%] = x[mm] ÷ L[mm] x 100

で求めることが可能だ。

排水勾配計算例

前項の文字式のみでは何が何やらよくわからないかと思うのでこちらに計算例を示す。
配管の高低差が150mmで配管長さが20,000mmの場合だ。

この場合の排水勾配は
排水勾配[-] = 150mm ÷ 20,000mm = 0.75/100
つまり100分の0.75勾配となる。

一方で排水勾配を%で記すと
排水勾配[%] = 150mm ÷ 20,000 x 100 = 0.75%
つまり0.75%勾配となる。

続いてもう一例。
配管の高低差が300mmで配管長さが12,000mmの場合だ。

この場合の排水勾配は
排水勾配[-] = 300mm ÷ 12,000mm = 2.5/100
つまり100分の2.5の勾配となる。

一方で排水勾配を%で記すと
排水勾配[%] = 300mm ÷ 12,000 x 100 = 2.5%
つまり2.5%勾配となる。

勾配による配管の高低差

続いては勾配と配管の長さがわかっている場合における配管の高低差の算出方法を紹介する。

配管長をL[mm]としY%の勾配があるとすれば各末端の高低差は

X[mm] = L[mm] x Y% ÷ 100

で表すことができる。

Y%を百分率で表した場合における各末端の高低差は

X[mm] = L[mm] x Y[-]

で表すことができる。

排水管の高低差計算例

今回についても文字式のみならず計算例を示す。
まずは配管長さが15,000mmで2%の勾配がある場合を記す。

配管長さと勾配の関係より高低差は

15,000[mm] x 2[%] ÷ 100 = 300[mm]

となる。

一方で百分率で表すと

15,000[mm] x 2/100 = 300[mm]

で計算可能だ。

もう一例示す。
まずは配管長さが23,000mmで1.5%の勾配がある場合を記す。

配管長さと勾配の関係より高低差は

23,000[mm] x 1.5[%] ÷ 100 = 345[mm]

となる。

一方で百分率で表すと

23,000[mm] x 1.5/100 = 345[mm]

で計算可能だ。

まとめ

今回は排水管に勾配が必要な理由をはじめ、排水管の落差と配管長さの関係から排水の勾配の求め方について紹介した。
様々なシチュエーションから排水の勾配や高低差を求めることがあるかと思う。
普段から計算をしないためそのたびにどのように計算したらよいかわからなくなるものだ。
これを機に計算の仕組みを覚えていただければだんだんと記憶に定着してくるだろう。

排水の勾配計算も重要だがそもそもの配管計画もとても大切だ。
例えば比較的配管が複雑に交差する部分についてはそれぞれの配管の特性を正しく理解した上で
配管計画および勾配の計算を行う必要がある。

またどうしても排水勾配が確保できない場合は排水槽を設ける必要がある。
その場合はあらかじめ排水槽の構造についても理解しておく必要がある。

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