浸透桝とドレン排水量の計算方法を紹介

こんにちは。

ドレン排水は通常雨水もしくは汚水系統として公共下水道へ接続される。
だが公共下水道が計画敷地にない場合はドレン排水は浸透させざるを得ない。
(もしくはドレン排水を浄化槽まで計画するか)
ドレン排水の扱い方は地方自治体の基準に従うべきだ。

今回は浸透桝へドレンを排水する場合における浸透桝の浸透量の計算方法を紹介する。

(参考)ドレン排水量の計算方法は以下の記事からご確認頂ければと思う。

計算根拠

東京都総合治水対策協議会の東京都雨水貯留・浸透施設技術指針に記載されている内容を抜粋して計算方法を紹介する。
また浸透桝で深さ1.5mを超える計画をすることはまず考えづらいため、浸透桝の深さ<=1.5mを前提とする。

(参考)東京都雨水貯留・新棟施設技術指針

計算方法

浸透量を求めるための計算式は以下の通りだ。

単位浸透量(Qf) = C x 比浸透量(K) x 飽和透水係数(f)
但し
Qf:浸透施設1個あたりの浸透量[m3/h]
C  :影響係数 ( = 0.81)
K  :浸透施設の比浸透量[m2]
f   :土壌の飽和浸透係数 ( = 0.14)

比浸透量(K)の値がわかれば単位浸透量(Qf)を算出可能だ。
次項からまずは比浸透量(K)の計算方法を紹介する。

丸形桝

丸型桝の場合は塩ビ桝となることがほとんどだろう。
(わざわざ円形でコンクリートを作る理由がないため。)
だが一応塩ビの場合とコンクリートの場合のどちらも紹介する。
いずれの場合も浸透するように桝下部は砂利敷(砕石)を敷き詰める必要がある。

塩ビ桝の場合は塩ビ桝周囲から排水が逃げ出すことがない。
一方でコンクリート桝の場合にはコンクリ―ト部分へも浸透する前提で計算を行う。

比浸透量の算定計算式
塩ビ桝の場合(1.4970 x D – 0.1) x H + (1.13 x D^2 + 0.638 x D – 0.011)
コンクリート桝の場合(0.475 x D + 0.945) x H^2 + (6.07 x D + 1.01) x H + (2.57D – 0.188)

但し排水桝の直径をD[m]、コンクリート桝の高さをH[m](H<=1.5m)とする。

矩形桝

通常矩形の場合はコンクリート桝での対応となる。
(製品として塩ビ桝がない。)
だが一応矩形塩ビ桝の場合も併せて紹介する。

円形の場合と同様だが塩ビ桝の場合は塩ビ桝周囲から排水が逃げ出すことがない。
一方でコンクリート桝の場合にはコンクリ―ト部分へも浸透する前提で計算を行う。

比浸透量の算定計算式
塩ビ桝の場合(1.676 x W – 0.137) x H + (1.496 x W^2 + 0.671 x W – 0.015)
コンクリート桝の場合(0.120 x W + 0.985) x H^2 + (7.837 x D + 0.82) x H + (2.858D – 0.283)

但し排水桝の一辺をW[m]、コンクリート桝の高さをH[m](H<=1.5m)とする。

計算例

本項では計算例を紹介する。

①計算例その1

・円形の塩ビ桝
・排水桝の深さ0.6m
・排水桝直径0.3m の場合は
浸透量は0.92905L/minとなる。

計算例その2

・矩形のコンクリート桝
・排水桝の深さ1.0m
・排水桝直径0.6m の場合は
浸透量は15.1408L/minとなる。

まとめ

今回は浸透桝へドレンを排水する場合における浸透桝の浸透量の計算方法を紹介した。
雨が降ったりすると浸透桝内が満水となるため何の役にも立たない。
だがどうしても浸透桝でドレンを浸透させる場合の根拠とはなるだろう。
(責任は負いかねるので使用する場合は注意して頂きたい)

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