給水ポンプの流量計算と配管径 -給水負荷単位より求める方法を紹介-

こんにちは。

給水配管径や給水ポンプの能力を決定する際、どのような方法を用いて計算を行えばよいか混乱する方もいるだろう。
それもそのはずで平均給水量や最大給水量、瞬時最大給水量など様々な用語が飛び交うため混乱を招くことが多い。

今回は給水ポンプの流量計算と配管径の計算について紹介する。

(参考)
配管径は均等表を用いて計算することも可能だ。
以下の記事で詳しく解説しているため興味がある方は参考にされたい。

給水ポンプの流量計算

給水負荷単位とは

給水ポンプに必要な流量を求める場合は通常給水負荷単位から求める。
給水負荷単位とはどの程度の給水量が必要であるかを単位数で整理したものだ。
そのため給水負荷単位が大きいほど必要な給水量が大きい。
給水負荷単位を下表に紹介する。
給水負荷単位は衛生器具ごとに割り当てられている。
また大便器等は節水型かどうかによっても給水負荷単位が異なる。

衛生器具給水負荷単位
[単位]
大便器洗浄弁Ⅰ型(8.5L以下)8
Ⅱ型(6.5L以下)6
洗浄タンクⅠ型(8.5L以下)4
Ⅱ型(6.5L以下)3
専用洗浄弁5.6-6.5L4
5.5L以下3
温水洗浄便座0
小便器洗浄弁3
専用洗浄弁3
手洗器1
洗面器2
医療用洗面器3
事務室用流し3
台所流し3
料理場流し給水栓4
湯水混合栓3
食器洗い流し5
連合流し3
掃除流し4
水飲器2
散水栓0
散水・車庫給水栓5
洋風浴槽4
シャワー4
ユニットシャワー大便器が洗浄弁の場合8
大便器が洗浄タンクの場合6
湯沸器2

給水負荷単位の算定方法

建物全体の給水量を算定する場合は建物全体の衛生器具の数量を衛生器具ごとに整理する必要がある。
衛生器具の数量を各給水負荷単位を乗じることで合計の給水負荷単位を算出することが可能だ。
以下に計算例を紹介する。
大便器(Ⅰ型)の数量が20個であれば
給水負荷単位8[単位/個]x20[個]で160[単位]となる。
このような要領で他の衛生器具についても同様に単位数を積み上げる。
以下の例では小便器や洗面器も合わせると合計で260単位となる。

衛生器具給水負荷単位
[単位/個]
数量
[個]
合計
[単位]
大便器洗浄弁Ⅰ型(8.5L以下)820160
小便器洗浄弁32060
洗面器22040
合計260

給水負荷単位から必要給水量の算定方法

次に給水負荷単位から同時給水量を求める。
同時給水量は以下のグラフから求めることが可能だ。

横軸に給水負荷単位、縦軸に同時使用流量を示す。
洗浄弁を用いる場合と洗浄タンクおよび庁舎の場合で使用するグラフが変わる。
一般的に洗浄弁の方が同じ給水負荷単位でも同時使用流量が大きい。
これは洗浄弁の方が洗浄タンクに比べて衛生器具の連続使用が可能だからだ。
また庁舎は他の建物用途に比べて比較的衛生器具の使用頻度が低い。
そのため洗浄弁を導入していたとしても洗浄タンクと同様に扱ってもよい。
(同じ理屈で事務所についても同様だ)

給水負荷単位が260単位の場合における必要給水量は以下の通りとなる。

項目必要給水量[L/min]
洗浄弁の場合390 [L/min]
洗浄タンク・庁舎の場合300 [L/min]

給水配管径の算定

前項で求めた必要給水量より給水配管径を求めることが可能だ。
通常給水配管径は流量線図より求める。
前項で計算した必要給水量を基に流量線図より求めた結果は以下の通りとなる。

洗浄弁の場合洗浄タンク・庁舎の場合
[A][A]
塩ビライニング鋼管の場合8080
ステンレス鋼管の場合7575
硬質ポリ塩化ビニル管の場合7575
ポリエチレン管の場合選定不可選定不可

計算例

以下に給水負荷単位から求める場合の計算例を紹介する。

計算例①

計算例①は4階建ての建物を想定した一般的なオフィスだ。
各階に男女のトイレならびに給湯室を設置した例だ。
合計負荷単位は288単位となる。
必要給水量は洗浄弁の場合は412L/min、洗浄タンクの場合は320L/minとなる。
また配管径は洗浄方式や配管材により75A~100Aとなる。

計算例②

計算例②は2階建ての建物を想定した建物だ。
2FにはVIPが使用するトイレが設置されている。
合計負荷単位は108単位となる。
必要給水量は洗浄弁の場合は274L/min、洗浄タンクの場合は170L/minとなる。
また配管径は洗浄方式や配管材により50A~65Aとなる。

まとめ

今回は給水ポンプの流量計算と配管径の計算について紹介した。

給水計算にあたって特に受水槽を設ける場合はポンプの流量計算以外にも1日の使用水量も算出する必要がある。
以下の記事で1日の使用水量を算出する方法を紹介しているので是非参考にされたい。

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