【建築設備】1日の使用水量(上水・雑用水)の算定方法

こんにちは。

建物の設計を行う際に必ず必要な情報。
その一つが1日の使用水量だ。
使用水量を整理しないと給水管の引込口径や受水槽の方式の場合は受水槽容量の算定ができない。
基本的な設備計画の基礎的な内容であるため必ず押さえておきたいポイントだ。

今回は1日の使用水量の算定方法を紹介する。

1日の使用水量を算定するまでの算定フローを紹介する。

STEP-1ではまず人員種別ごとの1日の建物利用人数を設定する。
建物の利用人数は設計者、施工者側ではわからないことも多い。
そのため設計条件として発注者側から条件を提示してもらうことが多い。
他にも例えば厨房がある場合には厨房使用水量も設定する必要がある。

STEP-2ではSTEP-1で設定した人数に対し単位水量を設定し、水量を積み上げる作業を行う。
単位水量は建築設備設計基準や空気調和衛生工学便覧による数値を参考とすることが多い。
その他にも水道局側で公開されている設計指針に基づき単位水量を設定する場合もある。

STEP-3ではSTEP-2で積み上げた水量を集計し1日あたりの使用水量を算定する。

STEP-1 与条件の整理

まず最初に行うべきことは建物の利用人数をしっかりと把握することだ。
庁舎であれば従業員数や外来者数を整理する必要がある。
学校であれば教職員の人数および学生の人数を整理する。

その他にも厨房や飲食店がある場合には別途調整する必要がある。

STEP-2 1人あたりの使用水量を整理

その1 建物用途別使用者別水使用量

建築設備設計基準や空調衛生工学便覧に記載されている一人当たりの水使用量に基づき1日の水使用量を積み上げる。
計画している敷地を担当する水道局によっては別途一人当たりの水使用量を定めている場合がある。
そのため水道局へも事前に確認が必要だ。
以下に建築設備設計基準に記載されている内容を抜粋して紹介する。

建物用途
[-]
使用者種別
[-]
水使用量
[L/d・人]
庁舎常勤職員40 ~ 80
外来者40 ~ 80
学校職員,生徒70 ~ 100

出典:建築設備設計基準

建物用途
[-]
使用者種別
[-]
水使用量
庁舎職員厨房使用量20 ~ 30 [L/人・食]
学校プール40 ~ 100 [L/人]

出典:建築設備設計基準

その2 雑用水を使用する場合

雨水や中水を水源とする雑用水を用いる場合は上水使用量と雑用水使用量をそれぞれ整理する必要がある。
以下に空気調和衛生工学便覧に記載されている建物別上水、雑用水使用割合を紹介する。

建物用途上水 [%]雑用水 [%]
一般建築30 ~ 4060 ~ 70
住宅65 ~ 8020 ~ 35
病院60 ~ 6634 ~ 40
デパート4555
学校40 ~ 5050 ~ 60

出典:空気調和衛生工学便覧

STEP-3 日使用水量の整理

建物別、使用者別の使用水量を算出した後はそれぞれを合算し日使用水量を整理する。
以下に計算例を示す。

【境界条件】
建物用途:庁舎
使用者別の人数:職員数200人/日、外来者10人/日
その他:社員食堂有(職員全員が使用すると想定)、雑用水有

水種別使用者種別人数単位水量合計水量
上水職員200 [人]60[L/人・日] x 35[%]4,200[L/日]
外来者10 [人]60[L/人・日] x 35[%]210[L/日]
社員食堂200 [人]25 [L/人]5,000[L/日]
上水合計9,410[L/日]
雑用水職員200 [人]60[L/人・日] x 65[%]7,800[L/日]
外来者10 [人]60[L/人・日] x 65[%]390[L/日]
雑用水合計8,190[L/日]
上水雑用水合計17,600[L/日]

上水と雑用水の割合は空気調和衛生工学便覧よりそれぞれ35%、65%とした。
また社員食堂として厨房に用いられる水種別は上水のみだ。
(衛生上雑用水は使用できない)
そのため上記の計算となる。

まとめ

今回は1日の使用水量の算定方法を紹介した。
建物ごとに計算方法が異なることも多い。
基本が身についていれば特殊な条件となった場合においても応用が利く。
そのためぜひとも身につけたい。

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