こんにちは。
建築設備業界に入社したての方、業界に携わることが初めての方。
換気の基本もまだままならないことが多いだろう。
換気の最も基本的な考え方となる自然換気と機械換気。
その中でも機械換気には第1種機械換気、第2種機械換気、第3種機械換気に大別することができる。
今回はこれら機械換気と自然換気のそれぞれの違いについて紹介する。
冒頭でも紹介したが換気方式は大きく自然換気と機械換気に大別することができる。
また機械換気の中にはさらに第1種機械換気、第2種機械換気、第3種機械換気と大別することができる。
つまり換気方式としては大きく4種類に分けることが可能だ。
各換気方式の特徴
自然換気と機械換気の特徴
自然換気は給排気ともにファン(電気の力)を用いない方式となる。
つまり建物外壁部分に開口部があるだけで自然に空気が入ったり出ていったりする。
あくまでも「自然に」であるため実際に空気の出入りが発生するかどうかは周囲の状況次第といった特徴がある。
続いて機械換気について紹介する。
機械換気は給排気の両方もしくはどちらかにファンを設置し、そのファンを用いて換気を行うことである。
ファンを用いるため自然換気とは異なり空気の出入りが強制的に行われることが特徴だ。
第1種機械換気、第2種機械換気、第3種機械換気の特徴
次に機械換気の中に分類される第1種機械換気、第2種機械換気、第3種機械換気についてそれぞれ紹介する。
第1種機械換気は給気、排気ともにファンを用いて換気を行うことをいう。
給排気がどちらも機械的に行われるため室内と屋外(もしくは隣室等)に圧力差が発生しずらいことが特徴だ。
第2種機械換気は給気のみファンを設け、排気は開口部のみとする方式のことを指す。
強制的に給気が行われるが排気は自然に室外へ流出させる。
そのため本当に開口部から全ての空気が逃げ出しているかは建物の状況にもよる。
(建物は完全に隙間がないわけではないことが理由だ)
つまり第2種機械換気を行っている室は基本的に正圧(陽圧)となる傾向にある。
第3種機械換気は排気のみファンを設け、給気は開口部のみとする方式のことを指す。
強制的に排気が行われるが給気は自然に室内へ流出させる。
つまり第3種機械換気を行っている室は基本的に負圧(陰圧)となる傾向にある。
(参考)第2種機械換気、第3種機械換気による空気の力強さを知りたい方は以下の記事を参考に頂ければと思う。
機械換気の使い分け
続いて機械換気の使い分けについて紹介する。
第1種機械換気、第2種機械換気、第3種機械換気を使い分けする理由は主に以下の通りだ。
・人のための換気を行う場合
・臭気対策のため換気を行う場合
・発熱による室内温度上昇防止のため換気を行う場合
・有毒ガス(厨房からの燃焼空気など)除去のため換気を行う場合
・省エネを図る場合
・研究所など有害空気の漏洩防止や空気の清浄度を求める場合
など。
居住者へは酸素を供給する必要がある
経験上よく皆さんも教室などで「空気が薄い」といった経験をしたことがないだろうか。
空気が薄いとはすなわち二酸化炭素濃度が高い(酸素が少ない)ということだ。
建築物衛生法(ビル管法)では室内の二酸化炭素濃度を1,000ppm以下に保つことが可能な機械換気設備を導入することが求められる。
そのため強制的に給気が可能な第1種機械換気もしくは第2種機械換気が用いられることが多い。
(参考)人員に必要な換気量をより詳しく知りたい方は以下の記事を参考にされたい。
臭気対策を行い室内を快適に
臭気が発生しやすい室として分かりやすい例だとトイレだろう。
トイレの換気が不十分な場合はどうしても臭気が室内に滞留してしまう。
また最悪の場合室内から隣室へ臭気が漏洩する恐れすらある。
そのためトイレなど臭気が発生する室は基本的に第3種機械換気による換気方式が採用される。
電気室等発熱対策を行う室に注意
よく事務所などに計画される電気室だが、電気室に設置される各装置は発熱が発生する。
その発熱を処理する方法として空調を行うか換気を行うかといった方法が考えられる。
換気を行う場合は外気の導入温度と電気室内での発熱量を確認した上で換気量を設定することが普通だ。
電気室内で発熱した空気が滞留しないようにするため、特段理由がない限り第1種機械換気が用いられることが多い。
有毒ガス除去のための換気
レストランに行った際によく見かけるだろう排気フードがよい例だ。
排気フードは厨房内のコンロ等厨房機器の上部に設置されることが多い。
特にガスを用いる機器の場合燃焼空気により一酸化炭素が発生する。
一酸化炭素を人が吸うわけにはいかないため厨房に設けられている排気フードにより屋外へ排気される。
主に第1種機械換気もしくは第3種機械換気が用いられることが多い。
換気方式により省エネを図ることが可能
例えば図に示す平面計画があったとする。
事務室1-5および休憩室、倉庫、便所のすべてが第1種機械換気であるとしたらファンの数量は合計で8室 x 2台 = 16台となる。
もし事務室1-5および休憩室が第2種機械換気で便所および倉庫が第3種機械換気であるとすれば8室 x 1台 = 8台となる。
換気方式を少し考えるだけでファンの台数を半減することが可能だ。
研究所や実験施設等特殊用途の場合は注意が必要
研究所や実験施設の設計を行う場合は注意が必要だ。
防護服などを着て有害な空気をある室内で使用する場合。
その室内から絶対に空気を外部へ漏洩させてはならない。
例えば換気口を通じて隣室へ漏洩させるとバイオハザードが起こる可能性がある。
また手術室などある室にある一定の空気清浄度が求められる場合。
他の空気からのよどんだ空気、何らかの微粒子を含んだ空気などをその室に供給してはならないことに注意が必要だ。
まとめ
今回はこれら機械換気と自然換気のそれぞれの違いについて紹介した。
とりあえずは様々な換気方式があるということを覚えていただければと思う。
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