こんにちは。
設計初心者の方からすれば制気口は一体どれを選んだらよいか全然わからないことも多いだろう。
それもそのはずで一口に制気口といってもかなり多くの種類があるためだ。
ただ制気口にもメリットやデメリットがあることも事実。
今回は制気口の種類や使い分けを紹介する。
左図に示す通り制気口には様々な種類がある。
例えばH形の制気口やVHと呼ばれる制気口
アネモやノズルなど本当に様々だ。
ここでは基本的な制気口の種類を紹介する。
VH、H形制気口
制気口はVであったり、H、VH、VHS等様々なローマ字で表現することが多い。
まずつい先ほど紹介したVとHの違いについて紹介する。
項目 | 意味(英語) | 意味(日本語) |
---|---|---|
H | Horizontal | 水平方向 |
V | Vertical | 垂直方向 |
つまりHもしくはVのみであれば縦方向もしくは横方向にスリットが入った制気口となる。
またVHであれば縦方向および横方向にスリットが入った制気口となる。
通常これらのスリット(羽根)を動かすことで多少の風向調整を行うことは可能だ。
VHは一般に吹出口に用いられることが多い。
(風向を4方向に微調整可能なため)
一方でHは設計者にもよるが吸込口として用いられるケースが多いかと思われる。
VHS、GVS形制気口
続いてVHSやGVSのGとSについて紹介する。
項目 | 意味(英語) | 意味(日本語) |
---|---|---|
S | Shutter | シャッター |
G | Grille? | 固定 |
Sはシャッターを示し、Gは固定を示す。
シャッターを設けることで制気口部分で若干の風量調整を行うことができることが特徴だ。
Gが設けられている制気口はVやHのスリット(羽根)を動かすことができない。
特にスリット(羽根)を動かす必要がない吸込口としてよく用いられる。
(参考)制気口の名称について日英対比表
ちなみにだがこれらの頭文字自体は全て英語から成り立っているものだが、いずれも表現も海外ではほとんど通じないので注意されたい。
そのため少なくとも筆者は制気口に使用されるGの由来が全く分からないことご理解いただければと思う。
一応以下に制気口(英語)の対応表を記す。
制気口の名前(日本語) | 制気口の名前(英語) |
---|---|
アネモ(C2) | Round diffuser |
アネモ(E2) | Step-down 3-cone diffuser |
VH | Double Deflection Diffuser |
H | Single Deflection Grille |
BL(ブリーズライン) | Linear Slot diffuser |
バンカールーバー | Jet Diffuser |
NZ(ノズル形) | Nozzle Diffuser |
少し話がそれてしまったので本題に戻る。
写真に示す制気口がブリーズライン(BL)だ。
吹き出すラインの数によって1形(S)、2形(D)などと呼ばれる。
なお
1形=Single
2形=Double
3形=Triple
4形=quadruple
と呼ばれる。
またブリーズライン(BL)と似た製品としてカームライン(CL)がある。
両者の違いは吹出し、もしくは吸込みの風向を調整できるかどうかだ。
ブリーズライン(BL)は風向の調整が可能でありカームライン(CL)は風向調整ができない特徴がある。
そのためブリーズライン(BL)は主に吹出口、カームライン(CL)は吸込口として用いられることが多い。
ブリーズラインを計画するうえで一点注意事項がある。
通常ブリーズラインのライン数は風量と到達距離から決めることが多い。
特に到達距離を設定する場合だが暖房時における到達距離特に考慮することをお勧めする。
暖かい空気は上昇し、冷たい空気は足元で滞留する性質がある。
そのため暖房時は通常求められる到達距離もより多くの距離が必要となることに注意されたい。
続いてノズル形制気口を紹介する。
ノズル形制気口は壁面に比較的設けられることが多い。
特に空調空気を壁面から遠くまで届けたい場合等に使われることが多い。
特にスリット(羽根)なく空気の流れを阻害する装置も特にないことが特徴だ。
制気口の使い分け
制気口の使い分けにあたり判断基準は主に以下の以下だろう。
①一般的な室であるかどうか
②大空間であるかどうか
③ペリメーターであるかどうか
④制気口が結露するかどうか
一般的な室
一般的な室であれば吹出口は一般に用いられるVHSなどでよいだろう。
設計者判断により室内に空気を分散させるためにアネモとすることもある。
吸込口はHSやGVSで十分だろう。
大空間な室
大空間(体育館)などを設計する場合にはまず空調をどのように行うか方針決定が必要だ。
気流を配慮しなくてよい場合はノズル形制気口を使用する場合もある。
また床吹き出し空調を行う場合もあるため空調方式に見合った制気口を選択するとよいだろう。
ペリメーター
ペリメーター部分からの熱取得を気にするようであればブリーズラインがおすすめだ。
外壁沿いにエアバリアを形成することができる。
結露対策
例えば風除室直近に設置する制気口は外気の空気状態の影響を受けやすい。
そのため外気状態によっては結露が発生しやすいことがある。
そのため必要に応じ結露防止形の制気口を検討することをお勧めする。
詳細は以下で紹介しているためより詳しく知りたい方は参考に頂ければと思う。
まとめ
今回は制気口の種類や使い分けを紹介した。
制気口の基本的な性質や特徴を理解した上でどの制気口を使用するか検討いただければと思う。
コメント