こんにちは。
今回の空気線図について紹介する。
空気線図は使い慣れるまでにかなり時間を要する反面一旦使いこなしてしまえば空調に関する様々な検討に対して応用が利くようになるため是非とも覚えていただきたい。
その様々な空気線図の使用方法の中でも今回は特に空調機の加熱時の空気線図上の動き方についてイメージ等踏まえて紹介する。
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一般的な空調機単一ダクト方式による空調のイメージ図を記した。
図示するイメージは空調空気(SA)、還気(RA)、外気(OA)といった3種類のダクトにて構成されている。
続いて空調機の内部構成についての紹介だ。
OAおよびRAをミキシングさせるためのボックス。
またその次には冷温水コイルがある。
冷温水コイルは暖房時においてはOA,RAの混合空気の温度を上昇させるために用いられる。
冷温水コイルの先には加湿器が設置される。
通常暖房時においては湿度が不足しやすいことが懸念される。
湿度不足により風邪をひきやすいこともあり加湿を行う必要がある。
加湿を行った後に空調空気として室内へ供給される。
冷温水コイルによる加熱時の空気線図上の動き方および加湿器による相対湿度上昇について空気線図にて示す。
冷温水コイルによる空気の暖房ついては温度のみを上昇させるため空気線図上右側に動く。
一方で加湿器については熱量のやり取りがないため比エンタルピーと平行に空気が左上へ動くこととなる。
結果として湿度が上がるといったこととなる。
実際に計算してみよう
文言だけで説明してもなかなか難しいかと思うので実際に計算例を交えて紹介する。
与条件は以下の通りとする。
暖房負荷:10kW
送風量(SA):3,000CMH
外気量(OA):1,000CMH
上記より還気量(RA):2,000CMH
室内温湿度:22℃40%
外気温湿度:0℃50%
空気の流れとしては以下の通りだ。(番号は図中に記載の内容を参照されたい)
①の室内空気(RA)と②の外気が空調機内部でミキシングされる。
ミキシングされた空気が加熱コイルを通過し④の加熱コイル出口空気となる。
続いて加湿器を通り⑤の空調空気(SA)が室内へ供給される。
なお空気線図の基本についてわからない方は以下で詳しく紹介しているので参照頂ければと思う。
まず一番最初にすべき事項が室内空気と外気の空気をそれぞれ空気線図上にプロットすることだ。
①室内空気は22℃40%であり②外気は0℃50%であるためそれぞれ上記の位置へプロットされる。
そして①②を直線で結ぶ。
続いて①と②の混合空気である③が設置される位置を計算する。
①および②の温度と風量に着目する。
①:②=1,000CMH : 2,000CMHなので混合空気の温度は
22℃ – (22℃ – 0℃) x 1/3 = 14.7℃
となる。
そのため①と②の直線上で14.7℃のラインと交わる部分が③となる。
その際の混合空気の湿度は結果的に48%となる。
続いて求めなければいけない部分が⑤加湿器の出口空気(SA:供給空気の温湿度)だ。
暖房負荷は与条件より10kW,送風量は3,000CMHとなる。
(ちなみに送風量は通常冷房時の計算によるため本計算では与条件としている)
暖房負荷と送風量の関係より供給空気の温度差を計算する。
暖房負荷[kW] x 単位換算[kJ/kW] ÷ ( 空気密度[kg/m3] x 風量[m3/h]) = 温度差[℃]
10 x 3,600 ÷ (1.2 x 3,000) = 10℃となる。
従ってSAの供給温度⑤は22℃ + 10℃ = 32℃となる。
また供給空気の温度は顕熱のみが作用するため①から右側に平行に直線を引く。
結果⑤の湿度は23%となる。
ここまで出来たら後は簡単だ。
③の混合空気から右側に平行に線を引っ張る。
続いて⑤の空気から比エンタルピーと平行に線を引っ張る。
上記2本の交点が④のコイル出口空気となる。
なお今回の場合は36℃13%となる。
まとめ
今回は特に空調機の加熱時の空気線図上の動き方についてイメージ等踏まえて紹介した。
空気線図の使い方をマスターするまでは1つ1つの計算に苦労することが多いかとは思うが覚えれば様々な用途に使いこなせることができるはずだ。
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