こんにちは。
普段様々な設計図を眺めていると何のためにこんなところにダンパーがあるの?などと不思議に思ったことはないだろうか。
例えば法的に必要なFDは比較的役割がわかりやすいだろう。
FDは主にダクトが防火区画を貫通する際に用いられる。
そのため防火区画付近に設置されていることがほとんどだ。
その他にもMDも比較的役割がわかりやすい。
MDを用いて風量等を制御するために設けられるからだ。
一方でVDの場合はどうだろうか。
一見すると特に何の役割はないようにも見える。
だが実際にはVDも必要があるからこそ設置している。
今回はVDの役割とその設置箇所例について紹介する。
(参考)VD以外のダンパーについても一通り知りたい方は以下のリンクから確認頂ければと思う。
VDはVolume Damperと表記する。
つまり風量調整用ダンパーだ。
風量調整は主に施工中に行われる。
ダクトやファンを据え付けた後に建物全体の制気口部分で風量を計測、測定する。
その際に風量調整を行いながら設計図で求められている風量に合わせる。
ほとんどの場合は設計図の風量ピッタリとはならない。
そのため実際には設計図の風量±20%程度の間で調整される。
この風量を調整する際にVDがあればダンパーの開度を開いたり絞ったりして風量を調整することが可能だ。
VDがない場合は制気口部分のシャッターで風量を調整するほかなくなる。
だがシャッターだけでは大きく風量を操作できないため風量調整はかなり困難となる。
VDを設けることで風量調整を比較的容易なものとしている。
VDの設置箇所例
次にVDの設置場所例を紹介する。
① ファンの吸込側
ファンの吸込側にVDを設けることが一般的だ。
ファンが設置されているということは、最終的に必ず風量調整を行う必要があるためだ。
② 制気口までのダクト長さが大きく変わる部分
例えば図のようにダクトから次々と制気口へ分岐する場合にもVDを設置することが多い。
VDの設置数量が多ければ多いほど風量調整が容易だが、VDの設置数に比例して費用も増加する。
そのためある程度の領域毎にVDを設置するケースも多い。
③ 空調機に接続される各ダクト
空調機に接続される各ダクト部分にもVDが設置されることが多い。
例えば外気の取入部及び室内からの還気ダクトのどちらにもVDが設置されていない場合それぞれの風量の割合を調整できない。
また外気ダクト、還気ダクトのどちらか一方にしかVDが設置されていない場合にも風量を調整できない恐れがある。
風量が大きい側のダクトにVDが設けられていればよいだろう。
(風量が少ない側のダクトにVDが設けられている場合は風量の調整ができない。)
なお空調機の吐出側にはMDやCAV、VAVが用いられるケースが多いだろう。
まとめ
今回はVDの役割とその設置箇所例について紹介した。
それぞれのダンパーの役割を理解した上でどのダンパーを用いるべきかを判断することをお勧めする。
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