ファンの選定に必要な静圧とは

今回は静圧について

静圧って何かが非常に難しい内容。
とはいえ建築設備で使用する静圧の意味はごく一部なので一度概略さえ理解できればそこまで難しいというほどでもない。
静圧について説明したのちにファンの選定方法まで説明する。

静圧とは

例えば扇風機を想像してみよう。

扇風機には羽根がついていてそこから直に風が必要箇所へ供給される。
そこでもし扇風機に先端に穴の開いた100mの四角い箱を取り付けてみたらどうなるだろうか。
もしその箱自体に抵抗の全くないと仮定したら何mの箱を取り付けたとしても先端から扇風機の持っている風量が確認できるはず。

ただごくごく一般に想像してみるととても扇風機の風が出るようには考えられないだろう。

だとすると扇風機の風は一体どこへ行ってしまったのか。
質量保存の法則から言えば扇風機から出た空気がその箱の途中で消えてしまうことはありえない。
であれば扇風機自体がその風量を送風できていないとしか考えられない。
これが建築設備で使用する静圧と呼ばれるものである。(空気を押す力だと考えるとわかりやすいかもしれない)
通常ファンにはダクトが接続され、ダンパーや制気口を付属する。
これらの抵抗を考慮したうえでファンの能力を決定する必要がある。

抵抗の決め方

抵抗を決める前に抵抗としてどんなものがあるかを整理する。

実際に空気が供給されるまでには様々な弊害が待ち受けている。
例えば外気を取り入れる部分ガラリやVCに該当するが通常雨が入らないように開口率を設ける。すると単純に風速が変わるため抵抗となりえる要素である。
またファン手前に設置するフィルター。網目状になっているためガラリと同じ理屈で抵抗となる。
次にダクト。ダクト自体も実は抵抗となる。ダクトが単純に長ければ長いほど抵抗となる。
ダクトの曲がりの部分も風が流れる向きが変化するため抵抗となる。
他にもダクトでいえばダクトが分岐する部分やダクトの形が変わる部分も抵抗となる。
ダンパー類も同じだ。羽根状になっているためそっくり抵抗となる。
吹き出す部分の制気口も抵抗となる。(同じく羽根がくっついているため)

 

正しい求め方は設計基準に記載のある内容やIPACを用いる方法が間違いない。
だが単純に時間がかかは上に複雑なので筆者は以下の数値をよく用いる。

ダクト長さ・・・1Pa/m
ダクト曲り・・・ダクト長さx1Pa/m
VC・・・・・・・40Pa/個
ガラリ・・・・・40Pa/個
制気口・・・・・20Pa/個
ダンパ類・・・・20Pa/個
VAV・・・・・・50Pa/個
フィルター・・・10
0Pa/個
(除塩フィルター)・・・200Pa/個

さらに経年劣化等の安全率を必要に応じて乗ずる。

 

ファンの選定方法

よくカタログを見るとPQ線図を見かけると思う。

Pが静圧を指しQが風量を指す。
Pの数値が上がるほどファンの吐出量が減少することがわかると思う。
基本的にはグラフ内に記載の曲線以下に納まるように選定すればよい。

 

実際に設計をする上でP-Q線図におさまらない場合の対処方法はこちらを参照してほしい。
「ファンに必要な静圧が足りない場合」

まとめ

静圧とは簡単に言うと空気を押す力と例えられる。
ダクトが長いほどファンの必要静圧は上昇し他の抵抗(ダンパ)などによっても更に上昇する。
その静圧と実際に必要な風量をカタログに記載のPQ線図から選定すればよい。

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