こんにちは!
皆さん今まで空調設備を設計しているうえで以下の問題に直面したことはないだろうか。
「ファンの静圧が足りなくてどうしたらいいのだろうか」
ファンの静圧が足りず困る場面は幾度となくやってくる。
特に建物のフットプリントが大きい場合だ。
横引きダクトが長すぎるためにダクト圧損が大きすぎて足りない場合がほとんどだろう。
ダクトの静圧不足については実際には以下の5点から対処することとなる。
①ファンの番手を上げる。
②ブースターファンを設ける。
③系統を分ける。
④ダクトの長さを見直す。
⑤ダクト径を大きくする。
上記3点について順番に説明をする。
そもそもファンの静圧についてなんぞやという方はこちらを参照されたい。
こちらが最も簡単な方法だろう。
ファンの番手を1番手上げることで対応が可能だ。
【機器表での表記】
ちなみに標準仕様書においても空調設備機器表に記載の番手は以下表示ではなく以上表示のため変更ともならない。
【納まりに注意】
但しファンの番手を上げることで納まりに直結するため注意されたい。
ファンの番手を上げるということはファンの能力を上げるということ。
となるとファンのサイズがそっくり大きくなってしまう。
あまり問題なることは多くはないかと思うが念のため注意が必要だ。
【電気容量】
ファンの番手が上がることによりあるファン風量と静圧で比較した時にファンの回転数が下がる方向となる。
そのため通常は電気容量が変わらないか下がる傾向になるため電気容量についても基本的には心配することはない。
【騒音】
騒音についても先ほどの電気容量と同様だ。
ファンの回転数が下がる方向になるため全体的に見れば騒音値は下がる方向になる。
ブースターファンを設置する
次になかなか理解が難しいことがブースターファンを設置すること。
簡単に言うと他のファンを直列に設置することで静圧が不足している分を補うことだ。
基本的には直列にファン二台が設置されることとなるためファンの連動が必須になる。
【そもそもどんな状況でブースターファンを設置するのか】
例えば全熱交換器に対してブースターファンを設置するケースが多いかと思う。
全熱交換器の最大風量はせいぜい1,000CMH程度。
それに対し1,000CMH時の最大静圧は200Pa程度しかないだろうか。
前項で示したファンの番手を上げる余地がないためブースターファンを設置する必要がある。
【連動について】
連動が必要ということは基本的には電源種別を同じにしておく必要がある。
何を言っているかというと単相と三相の連動はできないことはないが、連動させるためには途中でトランスを設置してあげる必要がある。
単純にトランスを設けること自体がもったいないので電源種別は揃えておこう。
系統を分ける
次に考えられることは系統を分けること。
先ほどの全熱交換器の例では1,000CMHで200Pa程度が限界だとお話ししたかと思うが、風量を500CMHx2台にしたらどうだろうか。
全熱交換器のP-Q線図を確認されれば分かるが、最大静圧は風量が1,000CMHの時よりも明らかに大きくはないだろうか。
もし台数を増やすことが可能だとしたら系統を分ける(台数を増やす)ことにより静圧問題を解消することが可能かもしれない。
ダクトの長さを見直す
意匠側に言われるがままにダクトを永遠と横引きしていないだろうか。
その場合はそもそもの計画がおかしなことになっている可能性があるため見直しをお勧めする。
ダクト図作成にあたり他のダクトとがたくさん密集している部分があったりダクトの黄砂がたくさんある計画となっている場合はそもそも納まっていない可能性まで考えられる。
どのみち納まらない図を描くくらいであれば最初からよりシンプルなプランにした方がよい。
実際には極力排気や給気が必要な位置付近にベントキャップやガラリを設けること。
計画自体もシンプルになる上に納まりで苦労することも減るだろう。
ダクト径を大きくする
最後の紹介する方法はこちら。
ダクト径を大きくする方法。
ダクトの径を大きくすることでダクト1mあたり圧損が小さくなる。
ダクト長さ分そっくり効いてくるため必要静圧を相当低減することが可能だろう。
但しここでも注意点がありダクトの径を大きくすることで天井内のおさまりが不利側に働くということ。
最終手段ではあるかと思うので極力その他の方法で対応することが望ましい。
まとめ
今回は静圧の関係からファンを選定できない場合の対処法について説明した。
ファンの静圧は意外と盲点になりやすいため設計段階から十分に余裕を持つことをお勧めする。
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