【初心者必見】床上排水に必要な床の高さを紹介

こんにちは。

普段設計を行っているとテナントが入る建物や浴室等を計画することがあるだろう。
例えばテナント内に水廻りを計画する場合はテナント下階の工事を避けるために給排水ともに床上で計画することがある。
またマンション等もユニットバス等も同様に床上で給排水を計画することがある。

その時に悩むこと。
それは床上の排水に必要な床の高さだ。
床上の空間は床下の天井裏とは違い十分に天井裏にスペースを設けることができるわけではない。
また床上で給排水を計画する時点で水廻り周辺は床上げが発生する。
部分的な床上げの高さが高いほど使い勝手が悪くなる。
具体的には建築計画上の階段が増えたりスロープが長くなったりなど計画が難しくなる。
そのため必要な床上げの高さについてはある程度シビアな寸法で設計を行う必要がある。

そのシビアな寸法で検討を行うにあたって特に排水管がネックとなる。
まず排水管は給水管に比べて配管径が大きい傾向にある。
次に排水管は勾配を設ける必要があること。
そのため排水管がうまく計画できれば給排水がうまく納まることが多い。

今回は床上排水に必要な高さの計算方法を紹介する。

床上排水のイメージを紹介する。
例えば大便器(床排水)からの排水を床上で排水を行うとする。
大便器設置部分については床レベルが他と異なり排水管分床レベルが上がる。
(図中 WC FL)
床排水の大便器の場合は大便器が床と接している部分から排水管が接続される。
(細かな寸法はカタログや仕様書で確認のこと)
大便器排水管接続部から排水管を床上で横引きする。

床上排水検討時に把握するべき各寸法

前項で紹介した図に床上排水検討時に把握するべき寸法を列記した。

①床下地厚

少なくとも床上排水部分の床は床上げが発生する。
その床上げ部分の床をどうにかして支持しなければならない。
その際に床下地が使われる。
床下地は平面的に並行方向および直行方向に設置されることがほとんどだ。
そのため断面的に床下地が設置される部分は排水横引き管を計画することができない。

②排水横引き管の長さ

排水横引き管の長さにより排水管の勾配による落差が変動する。
排水管の横引き管が長くなるほど床上排水に必要な床上げ高さは大きくなる。
なお排水管の勾配は75A以下の場合1/50勾配、100A以上の場合1/100を目安として計画する場合が多い。

(参考)排水勾配の計算方法について以下の記事で紹介しているので興味がある方はどうぞ。

③排水管径

排水管径も床上げの高さに影響する。
まずは排水管径が大きくなるほど床上のスペースがより必要になることだ。
次に排水管径により排水勾配が変わることから必要な床上げ高さも変わる。
また実際には排水管直管だけではなくエルボ部分も気にする必要がある。
(エルボが排水管に埋まらないようにすることと、床下地にあたらないような寸法を確保すること)

(参考)排水管径と勾配、排水量の関係については以下を参考にされたい。

④保温厚

前項の配管径とも関連するが保温厚さも必要な床上げ高さに影響する項目の一つだ。
標準仕様書によれば75A以下は保温厚さ20mm、100A以上は保温厚さ25mmとなる。

⑤施工誤差

いざ施工仕様としてみると計画通りにいかないことが多々ある。
そのためにも施工誤差を見込んだ計画を行うべきだ。

床上排水_必要床上げ高さ計算例①

計算例①として図中に示す。

床下地厚 = 110mm (a寸法)
 (床仕上げ10mm + 下地50mm x 2 と仮定)

配管横引長さ = 1,000mm(L寸法)

排水管径 = 50A
(エルボ部分のb寸法は58mm)
(50Aのため排水勾配は1/50)
(50Aのため排水管保温厚さt寸法は20mm)

施工誤差 = 10mm

必要な床上げ高さは以下の式で求められる。

H = a + 2b + ( L x 1/50 ) + 2t +10
但し
H = 床上げ必要高さ mm

こちらの式に各変数を当てはめると
H = 110 + 58 x 2 + ( 1,000 + 1/50 ) + 20 x 2 + 10
H = 296mm ≒ 300mm

床上排水_必要床上げ高さ計算例②

計算例②として図中に示す。

床下地厚 = 90mm (a寸法)
 (床仕上げ10mm + 下地40mm x 2 と仮定)

配管横引長さ = 5,000mm(L寸法)

排水管径 = 100A
(エルボ部分のb寸法は112mm)
(100Aのため排水勾配は1/100)
(100Aのため排水管保温厚さt寸法は25mm)

施工誤差 = 10mm

必要な床上げ高さは以下の式で求められる。

H = a + 2b + ( L x 1/100 ) + 2t +10
但し
H = 床上げ必要高さ mm

こちらの式に各変数を当てはめると
H = 90 + 112 x 2 + ( 5,000 + 1/100 ) + 25 x 2 + 10
H = 424mm ≒ 430mm

まとめ

今回は床上排水に必要な高さの計算方法を紹介した。
実際には排水管以外にも給水管が排水管の上部を交差している場合はその分の寸法をさらに見込む必要など様々なケースが考えられる。
ただ基本的な考え方が理解できていればその考え方の応用が利く。
そのためまずは基本を理解いただいた上で直面している問題へ取り組むことをおすすめする。

また、本稿で紹介したソフトウェアのダウンロードはこちらからご確認頂きたい。

コメント