【これならわかる】角ダクトとするか丸ダクトとするかの判断方法

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こんにちは。

設計を行うときにどのダクトサイズから角ダクト(矩形ダクト)としようかなどと迷うことがあると思う。
設計者個人の判断により例えば300φもしくは350φまでは丸ダクト(スパイラルダクト)を用いて、それ以上となるような場合には角ダクトにするなどと分けていることも多いだろう。
建築設備業界では様々な物事をまだまだ感覚的に決めていることも多い。

今回は角ダクトと丸ダクトの判断方法を紹介する。

角ダクトの特徴は主に以下の通りだ。
①市販では取り扱っていない
②面積比的に大きな風量を扱うことが可能
③様々なサイズに加工が可能

①市販では取り扱っていない

丸ダクトと異なり市販では手に入らないことが大きな特徴だ。
矩形ダクトの場合はフランジの部分の仕様やダクト自体の縦横比など比較的自由に作ることができる。
そのためダクト製作会社へダクトの注文を行う必要がある。

②面積比的に大風量

同じ面積でも丸ダクトの場合は有効に使用できない部分がどうしても発生する。
一方で角ダクトであれば左図に示す通りスペースの有効活用が可能だ。
300φと300×300の場合だと1.27倍程度スペースの有効活用が可能となる。

これは同じ風速の場合1.27倍分大きな風量を扱うことができることにつながる。
(角ダクトの方が厳密には圧損が大きいため1.27倍よりも若干扱える風量は低いが)
特に天井裏の納まりにシビアな場合は角ダクトの方が有利となる。

③様々なサイズに加工が可能

角ダクトの場合は様々なサイズから選択が可能だ。
特に天井内の納まりを考える時にダクトのサイズの自由度は有利に働くだろう。
但しダクトのサイズはアスペクト比1:4のルールの範囲内とすることは注意してほしい。

丸ダクトの特徴

丸ダクトの特徴は主に以下の通りだ。
①市販されているためどこでも購入が可能
②角ダクトに比べ圧損が小さい
③楕円とすることはできない

①市販されているためどこでも購入可能

角ダクトとは異なり規格が統一されているためどこでも同じダクトを手に入れることが可能だ。
(あまりにも大きなサイズは販売されていない場所もあるかと思うが)
小風量を扱う場合はダクトの調達が楽だろう。
また市販されて一般に流通しているということはそれだけ使用頻度が高いということだ。
つまり長方形ダクトに比べて丸ダクトの方が施工難易度が低いといった特徴がある。

②角ダクトに比べ圧損が小さい

角ダクトに比べて丸ダクトの方が圧損が小さい特徴がある。
以下に例を紹介する。

項目丸ダクト角ダクト
ダクトサイズ450φ400 x 400
断面積0.1590m20.1600m2
風量2,300 [m3/h]2,300 [m3/h]
面風速4.02 [m/s]3.99 [m/s]
圧損0.0047[mmAq/m]0.054 [mmAq/m]

有効面積がおおむね近似している丸ダクト(450φ)と角ダクト(400×400)で試算してみる。
(丸ダクトの方が若干断面積が小さい。)
それぞれのダクト内に同じ風量(2,300m3/h)を与えたときの面風速も概ね同じだ。
(丸ダクトの方が若干風速が大きい。)
それにもかかわらず圧損を確認すると各ダクトの方が約1.15倍圧損が大きいことがわかる。

③楕円とすることはできない

丸ダクトは正円でしか用いることができない。
物理的に押しつぶせば楕円になるかもしれないがダクトにすき間ができる可能性があるため原則は正円での使用となる。

丸ダクトと角ダクトのコスト

次に丸ダクトと角ダクトのコスト比較を行う。
機械設備積算業務マニュアル(令和元年)を参考とする。
なお今後値段が変わったとしても同じ材料を用いている以上丸ダクトと角ダクトのコストの関係性は変わらないだろう。
なお丸ダクト、角ダクトではそれぞれ現場加工、現場据付手間が変わるため複合単価で比較を行う。

丸ダクトサイズ複合単価ダクト内最大風量複合単価
100φ4,050 [円/m]60 [CMH]67.5 [円/CMH]
150φ4,910 [円/m]180 [CMH]27.3 [円/CMH]
200φ6,440 [円/m]390 [CMH]16.5 [円/CMH]
250φ7,570 [円/m]720 [CMH]10.5 [円/CMH]
300φ9,350 [円/m]1,170 [CMH]8.0 [円/CMH]
350φ10,970 [円/m]1,770 [CMH]6.2 [円/CMH]
400φ12,360 [円/m]2,520 [CMH]4.9 [円/CMH]
450φ14,430 [円/m]3,460 [CMH]4.2 [円/CMH]
500φ16,830 [円/m]4,600 [CMH]3.7 [円/CMH]

丸ダクトは通常1mあたりの複合単価として算出する。
今回は100φから50mm刻みに500φまで確認を行った。
一方で角ダクトは通常1m2当たりの複合単価として算出する。
使用している材料の量で比較したいところだが前項までで紹介した通り丸ダクトと角ダクトで圧損が異なる。
実際にダクトの中を通す流体は空気であるため圧損が1.0[mmAq/m]以下かつ最大の風量(10m3/h刻み)のときにおける風量あたりの複合単価を算出することとした。
結果ダクト径が大きくなるほど風量当たりの複合単価は小さくなることが確認できた。

角ダクトサイズ複合単価
~450 mm8,740 [円/m2]
451~750 mm8,960 [円/m2]
751~1,200 mm9,590 [円/m2]
1,201~1,500 mm9,640 [円/m2]
角ダクトサイズ複合単価ダクト内最大風量複合単価
100×1003,496 [円/m]70 [CMH]49.9 [円/CMH]
150×1505,244 [円/m]230 [CMH]22.8 [円/CMH]
200×2006.992 [円/m]500 [CMH]14.0 [円/CMH]
250×2508.740 [円/m]910 [CMH]9.6 [円/CMH]
300×30010,488 [円/m]1,490 [CMH]7.0 [円/CMH]
350×35012,236 [円/m]2,250 [CMH]5.4 [円/CMH]
400×40013,984 [円/m]3,220 [CMH]4.3 [円/CMH]
450×45015,732 [円/m]4,420 [CMH]3.6 [円/CMH]
500×50017,480 [円/m]5,850 [CMH]3.0 [円/CMH]

角ダクトについても丸ダクト同様に風量あたりの複合単価を算出した。
丸ダクトと同様にダクトのサイズが大きくなるほど風量あたりの複合単価が小さくなることが確認できた。

上記に丸ダクト、角ダクト別かつ風量毎の複合単価相関図を記す。
角ダクトと丸ダクトの近似曲線がほぼ同一の傾向を示した。
そのため丸ダクトと角ダクトの風量あたりのコストはほとんど変わらないことが示唆される。

結局のところ角ダクトと丸ダクトをどう使い分けるか

結局のところ角ダクトと丸ダクトをどのように使い分けたらよいのか紹介する。

①建築設備設計基準

建築設備設計基準によれば「ダクトは原則として長方形ダクトとする。ただし、吹出口に接続する末端部および梁貫通部は天井納まり等を確認の上円形ダクトの仕様も検討する。」と記載がある。
そのため原則は制気口周辺のダクトを除き角ダクトで検討を行う。
納まりが難しい部分については丸ダクトを使用するとよいだろう。

②納まり

前項でも紹介したが納まりの観点から角ダクトとするか丸ダクトを決めることが望ましいだろう。
丸ダクトの方が面積を取りやすい傾向にあるため特に梁下では長方形ダクトとした方が望ましい。
また天井裏の梁下で使用できる最大のダクト径までを丸ダクトとすることもよいだろう。

③調達難易度・施工難易度

調達難易度・施工難易度だけを考えれば圧倒的に丸ダクトの方が容易だろう。
そのため角ダクトを全く使用する必要がないような建物では丸ダクトだけで計画することで恩恵を受けられる。
調達手間が省ける上に施工難易度を求められないからだ。

まとめ

今回は角ダクトと丸ダクトの判断方法を紹介した。

本記事を参考に建物に合わせて角ダクトと丸ダクトのどちらが適切かを判断いただければと思う。

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