こんにちは。
今どきどの家庭にでも設置されているエアコン。
そんなエアコンだが10年15年もすれば買い替えの時期がどうしてもやってくる。
エアコンなんて普段買わないしどのように選んだらよいかよくわからない。。。という方も多いだろう。
せっかくの大きな買い物となるエアコン選びには失敗したくないと思って当然だ。
失敗したくないの基準は人それぞれだがその判断基準の一つに電気代があげられるだろう。
エアコンを全く使用しないという家庭は恐らくいないだろうがエアコンが月々の電気代に与える影響はかなり大きい。
またエアコンを製作する企業は昨今よく話題となっている省エネ化を図るためより良いエアコンを作り続けている。
省エネ化 = エアコン性能の向上 = 電気代が安くなる
せっかくエアコンを買うのであれば少しでも電気代が少しでも安くなるエアコン選びをしたいもの。
そんなとき一つの指標になるCOPやAPF(通年エネルギー消費効率)。
今回はこの「COP」、「APF」について誰にでもわかるようゼロから紹介する。
この知識を基によりあなたにとって最適なエアコン選びができるお手伝いができればと思う。
(要するにどのエアコンがおすすめなのかを知りたい方は一番最後まで読み飛ばして頂いて構わない。)
COPとは
COPとは成績係数とも呼ばれる。
COPは冷房(暖房)能力 ÷ 冷房時(暖房時)消費電力で示される。
冷暖房定格運転時においてどの程度の効率で冷暖房を行うことができるかを示した指標だ。
効率がよいほど同じ時間だけ冷暖房を行っても電力消費量が小さいことを意味する。
つまり電気代が安くなることにつながる。
略語 | 正式名称 | 英訳 |
---|---|---|
COP | 成績係数 | Coefficient of Performance |
COPの計算例
左図の場合におけるCOPを算出する。
通常COPは冷房時、暖房時のそれぞれで計算を行う。
COPとCOPの計算方法を以下に記す。
項目 | 計算式 | COP |
---|---|---|
冷房時 | 2,200[W] ÷ 425[W] | 5.18 |
暖房時 | 2,500[W] ÷ 450[W] | 5.56 |
COPが使用される理由
APF(APFについては次項で紹介する)が一般的に普及するまではCOPが一般的に使用されていた。
単に効率がどの程度かを把握するためにはCOPで確認することが比較的容易だからだ。
今でも事業者向けのエアコン(パッケージやビルマルといった設備機器)ではCOPが使用されている。
理由としては建物ごとにどのような運用になることが一概に定められないからだろう。
一方でAPFは実際に1年間エアコンを運転した場合における効率を示す。
つまり実情に近いエアコンの効率を把握することができる。
そのためCOPに代わりAPFが使用されることが多くなった。
APF
APFとは
APFは通年エネルギー消費効率と呼ぶ。
要するに1年を通じてエアコンを使用した場合に年間平均でどのくらいの効率で運用可能かを示す指標だ。
APFはJIS規格(日本産業規格) 9612:2013に基づき算出される。
詳細条件は以下の通りだ。
項目 | 条件 | |
---|---|---|
冷房時 | 暖房時 | |
外気温度 | 東京 | |
設定温度 | 27℃ | 20℃ |
冷暖房期間 | 5/23~10/4 | 11/8~4/16 |
運転時間 | 6:00~24:00 | |
建物構造他 | 木造、南向き |
上記条件に基づき1年間エアコンを運用した場合の効率をAPFと呼ぶ。
そのため前項で紹介したCOPに比べてより信頼度が高い値となる。
APFの確認方法
APFはCOPと異なり簡単に求めることができない。
その代わりにAPFがカタログに記載されていることがほとんどだ。
(一般にAPFの表示義務が生じているため)
例えば左図の場合は通年エネルギー消費効率の欄を確認すると6.6と記載がある。
つまりAPF=6.6となる。
またその際の消費電力量期間合計は630kWhと記載がある。
APFの値が大きいほど消費電力量期間合計が小さくなる傾向となる。
つまり消費電力量期間合計が小さいほど電気代も安くなる傾向となる。
年間の電気代を試算してみよう
前項で紹介したAPF(通年エネルギー消費効率)を使用して簡易的な年間の電気代を試算する方法を紹介する。
消費電力量期間合計の信頼性
試算する前にまずは消費電力量期間合計の信頼性について紹介する。
多くの家庭の場合消費電力量期間合計の数値まで到達することが少ないと考えられるからだ。
現実的に冷房:5/23~10/4、暖房:11/8~4/16の期間中毎日18時間エアコンを常に使用するだろうか。
毎日使用している方は消費電力量期間合計の値がより信頼性の高いものとなるが、ほとんどの家庭の場合はそこまでの時間使用することは少ないだろう。
電気代試算
以下の2つの条件の場合における電気代を試算・比較する。
項目 | 条件 | |
---|---|---|
パターン① | パターン② | |
冷房能力 | 2.2kW | |
年間運転時間 | 100時間/年 | |
電気代単価 | 27円/kWh | |
APF(通年エネルギー消費効率) | 5.9 | 5.0 |
例えば二種類のエアコン(能力2.2kW(6畳用))を最も外気温が高い8月に100時間使用した場合を想定する。
一方のエアコンのAPF(通年エネルギー消費効率)が5.9、もう一方を5.0とする。
また電気代の単価は27円/kWhとする。
(公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が、「新電力料金目安単価」として示している値)
電気代を算出するまでの計算は以下の式で求められる。
電気代[円] = 消費電力量[kWh] x 電気代単価[円/kWh]
消費電力量[kWh] = エアコンの能力[kW] x エアコンの使用時間[h] ÷ APF(通年エネルギー消費効率)
上記の式よりエアコンに係る電気代を計算すると
APF=5.9のエアコンは電気代が約1,000円
APF=5.0のエアコンは電気代が約1,200円
約20%も電気代が変わる。
項目 | 条件 | |
---|---|---|
パターン① | パターン② | |
消費電力量 | 2,200W ÷ 5.9 x 100h = 37.288kWh | 2,200W ÷ 5.0 x 100h = 44.000kWh |
電気代 | 37.277kWh x 27円/kWh = 1,006円 | 44.000kWh x 27円/kWh = 1,188円 |
平均負荷率
先ほど紹介した試算は真夏のピークの運転時間と想定し計算を行った。
だが、実際にはピーク時でない場合はエアコンも100%の力で運転し続けるわけではない。
実際にエアコンが動いたり止まったりを繰り返して運転されることを目にすることも多いだろう。
一般に年間を通じての平均負荷率は40%程度だといわれる。
(出典:建築設備手帖)
(エアコンは年間を平均すると40%程度の力で運転しているという意味)
メーカーが記載している消費電力期間合計を基に以下に試算してみる。
実際に試算すると期間消費電力についても年間平均負荷率が40%程度であることがわかる。
つまりある程度の期間に係る消費電力並びに電気代を試算する際は40%を乗じて計算した方が実態に即した計算となる。
項目 | 条件 |
---|---|
①年間運転日数 | 冷房:5/23~10/4(134日)、暖房:11/8~4/16(160日)の計294日/年 |
②日運転時間 | 06:00~24:00の計16時間/日 |
③年間運転時間 | ①294日 x ②16時間 = 4,704h/年 |
④全負荷相当運転時間 | 期間消費電力合計630kW x APF6.6 x 定格消費電力2.2kW = 1,890h/年 |
⑤年間平均負荷率 | ④1,890h/年 ÷ ③4,704h/年 = 40.02% |
※全負荷相当運転時間・・・エアコンが100%の力で何時間動いたかを示す指標
高い性能のエアコンは機器費用が高い
省エネといった観点からは確実に高い性能のエアコンの方がエコだ。
エアコンを同じ時間使用した場合において効率が高い方が消費電力量が小さいためだ。
だが効率が高いエアコンほど初期費用も高額になりがちだ。
そのため前項で紹介したエアコンの使用時間による電気代を試算して、どのエアコンを選択するか判断いただければと思う。
APFの調べ方
ここまでAPFについて紹介したがそもそも調べてもエアコンのAPFが出てこないという場合もあるだろう。
例えばAmazonを見ているとエアコンによりAPFが記載されていない。
そんな時はインターネットで調べるのが手っ取り早い。
例えばAmazonでこちらのリンクを確認すると某メーカーのエアコンが見つかる。
だがこのページにはAPFについては一切記載されていない。
そこで記載されている機器の品番「RAS-AJ22M-W」および「仕様書」という言葉をインターネットで検索する。
インターネットで検索するとこちらのような品番ごとの仕様一覧が見つけられる。
(メーカーや製品によって記載の仕方が異なる)
このページ内のAPFの項目を確認すると5.8という数値が見つかるだろう。
なおAmazonでは「RAS-AJ22M-W」、仕様一覧では「RAS-AJ22M」と若干品番が異なる。
特に品番の語尾に記載されている部分は色であったり、若干の細かな仕様が異なる程度の差だ。
そのためAPFを確認する際には特に問題とはならない。
APF確認にあたっての注意点
APFに基づいてエアコンに購入される方は以下に特に気を付けるべきだ。
同じメーカーの商品であっても○○シリーズや製造年によってAPFが異なることがある。
例えば本稿でも2種類の白くまくんを紹介した。
AJシリーズの白くまくん(6畳用)はAPF:5.8
Xシリーズの白くまくん(6畳用)はAPF:7.5
と同じ白くまくんでも約30%も効率が異なる。
エアコンを選択する際には必ず品番が自分自身が欲しいエアコンと合致しているか確認しよう。
回収年数
回収年数とは
回収年数とはあえて高い設備投資(初期投資)を行うことで何年程度でその初期投資を回収することができるかという指標だ。
例えば通常のエアコン費用(本体・据付込)が6万だとする。
だが一方で効率がより高いエアコンを導入し何年以上使用すれば通常のエアコンよりも安くなるかを回収年数という。
試算してみよう
以下の2ケースで比較してみる。
ケース①
本体価格:76,780円(税込)(2023/10/01時点)
工事費:15,000円(税込)(想定)
合計:91,780円(税込)
ケース②
本体価格:117,220円(税込)(2023/10/01時点)
工事費:15,000円(税込)(想定)
合計:132,220円(税込)
項目 | 条件 | ||
---|---|---|---|
パターン① | パターン② | ||
初期費用 | 本体価格 | 76,780円 | 117,220円 |
工事費 | 15,000円 | 15,000円 | |
合計 | 91,780円 | 132,220円 | |
維持費用 | 期間消費電力 | 730kWh | 548kWh |
電気代 | 730kWh x 27円/kWh = 19,710円 | 548kWh x 27円/kWh = 14,796円 |
上図に経過年数ごとに係る積算費用を示す。
パターン①の方が初期投資は安いが効率は決して良くないため電気代が高い傾向にある。
一方でパターン②は初期投資は高いが効率が良いため電気代が安い。
結果14年でパターン①がパターン②を上回った。
つまり14年で回収できたことになる。
おすすめのエアコン
APFから考える2023年時点でのおすすめエアコン(6畳用)を紹介する。
エアコンの大きさの目安を以下のリンクで紹介しているので興味がある方はどうぞ。
まとめ
今回はこのAPFについて誰にでもわかるようゼロから紹介した。
同じメーカーの商品であっても○○シリーズや製造年によってAPFが異なることがある。
その点に特に注意してエアコンの購入に踏み切っていただければと思う。
コメント