こんにちは。
設備設計を行って間もないころはよく各設備機器がどんな役割なのかわからないことがある。
その中でも全熱交換器と外気処理パッケージの違いがよくわからない方も多々いらっしゃることだろう。
それもそのはずでどちらも外気を取り入れるための機器だからだ。
今回は全熱交換器と外気処理パッケージの違いについて紹介する。
まずは全熱交換器について紹介する。
図に示す通り全熱交換器には4種類のダクトが接続される。
・外気(OA)
・給気(SA)
・還気(RA)
・排気(EA)
全熱交換器1台で外気を取り入れて排気を行う役割がある。
また全熱交換器にはファンが2台およびエレメントと呼ばれるものが組み込まれている。
エレメントは給気側(外気、給気)と排気側(還気、排気)の熱交換を行う役割がある。
熱交換のイメージは図の通りだ。
例えば外気が35℃で室内の空気が26℃だとする。
その時35℃の空気をそのまま室内へ取り込むと室内に35℃の空気が漂うことになる。
一方室内の26℃という空気をそのまま排気してしまうのはもったいない。
そこで排気を少しでも役に立てようとした機器が全熱交換器だ。
全熱交換器を用いることで室内の空気と外気の熱のやり取りを行う。
すると外気は室内温度に近づき排気はより高い温度になる。
例えば外気取入空気が35℃から30℃へ下がるといった具合だ。
35℃の空気が室内へ流入するよりも30℃の空気が室内へ流入する方が不快感が少ないのはイメージしやすいだろう。
また外気取入温度が下がることにより室内機(エアコン)の運転も変わってくる。
35℃の空気が常に流入する場合はその分その空気を常に冷やし続けなければいけない。
一方で30℃の空気であれば35℃の空気よりも室内機(エアコン)が頑張らなければいけない量というものも低減されることになる。
上記の通り熱交換器は室内の熱と外部の熱を交換する役割がある。
外気処理パッケージとは
次に外気処理パッケージについて紹介する。
外気処理パッケージは全熱交換器とは大きく異なり空調を行うことが特徴だ。
全熱交換器の場合は室内の空気と外気の熱を交換する。
そのため熱交換器通過後の外気の温度は常に一定になるわけではなく外気状態は室内状態により左右される。
一方で外気処理パッケージは室外機と専用の室内機により外気の空調を行う役割がある。
外気を一定の温度に下げてから室内へ供給する。
そのため室内への供給温度は常に一定となる。
供給温度を操作することができるため全熱交換器の場合よりもより室内温湿度を一定に維持しやすい。
また温度ムラが少ない分不快感も低減することができる。
全熱交換器と外気処理パッケージのメリット
前項までで全熱交換器と外気処理パッケージの特徴を紹介した。
続いてそれぞれのメリットを紹介する。
それぞれのメリットは以下の通り。
全熱交換器のメリット
・外気処理パッケージに比べコストが安い
・全熱交換器は室外機を持たないため設置スペースが小さい。
・室内の空気と熱交換を行うため省エネ性に優れる。
外気処理パッケージのメリット
・全熱交換器に比べ室内の温度ムラを抑制できる。
・室内の不快感を抑制できる。
・空調を行うため全熱交換器に比べ結露が発生しづらい。
全熱交換器と省エネ
省エネについて少し紹介する。
全熱交換器はファンのみのわずかな動力で室内の熱と屋外の熱を交換することができる。
そのため比較的容易に室内の熱負荷を低減させることが可能だ。
一方で外気処理パッケージの場合は空調により外気を冷やしたり暖めたりする。
そのためその空調にかかる動力が必要になる。
そのため全熱交換器は省エネ性に優れることとなる。
まとめ
今回は全熱交換器と外気処理パッケージの違いについて紹介した。
全熱交換器の役割
・熱交換器は室内の熱と外部の熱を交換する。
外気処理パッケージの役割
・外気処理パッケージは室外機と専用の室内機により外気の空調を行う。
また全熱交換器のメリットとデメリットは以下の通りであることを紹介した。
全熱交換器のメリット
・外気処理パッケージに比べコストが安い
・全熱交換器は室外機を持たないため設置スペースが小さい。
・室内の空気と熱交換を行うため省エネ性に優れる。
外気処理パッケージのメリット
・全熱交換器に比べ室内の温度ムラを抑制できる。
・室内の不快感を抑制できる。
・空調を行うため全熱交換器に比べ結露が発生しづらい。
個別熱源とする場合全熱交換器とするか外気処理パッケージとするか選択肢が分かれるところだ。
クライアントの要望に合わせ計画をすることが重要だろう。
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