こんにちは。
空調方式として個別熱源を選択する場合はまず省エネ法を心配することはないだろう。
省エネ法といえば現行の法律によれば延面積300m2を超える建物は基本的に省エネ適判にかかる。
そのため家などを除いた事業所等の計画を行う時点で省エネという言葉が一生つきまとう。
それほど省エネは身近なものなのだ。
また最近ではZEBやその派生用語であるZEBreadyなど建物の省エネ化がますます求められてきている。
そんな中設備設計者としては上記課題についてどのような解決するかが問われる。
とりあえず個別熱源の場合現在空調機器の効率を踏まえるとBEI>1.0を超えることは想像しづらい。
そのためいわゆる省エネ法の基準はクリアできていることとなる。
但し前述した通りZEBへの期待が高まる中どのような施策を打ち出せば省エネがより図れるかに着いて知っておくべきだろう。
今回は様々な手法の中でも個別熱源であるパッケージエアコンの性能と空調能力原単位による省エネ効果について紹介する。
個別熱源は主にパッケージエアコンといったものが該当する。
パッケージエアコンには電気式とガス式の大きく2種類に分かれ、電気式にはさらにセパレート形とマルチ形の2種類に細分化することができる。
パッケージエアコンとはまさに家庭用エアコンのイメージをしてもらえれば想像しやすいだろう。
室内機と室外機が1対1で接続されているものを示す。
一方でマルチパッケージエアコンとは1台の室外機に対し複数の室内機が接続されたものを示す。
ややこしいのでここでは詳細は省くが前述したパッケージエアコンには室外機1台に対し室内機4台程度まで接続できるタイプもあるため注意が必要だ。
一方マルチエアコンの場合は室外機1台に対し際限なく室内機を接続できることにある。
モデル建物法においてはパッケージエアコンの場合およびマルチパッケージエアコンの場合のいずれにおいても評価の方法は装置容量と成績係数(COP)によるため区別せずに次項以降でまず計算条件を記したのちに一次エネルギー消費量の傾向について紹介する。
境界条件
なお今回は冷房時に絞って紹介する。今回はインターネット上に無料で公開されているモデル建物法による試算とする。
どのようなツールか気になる方は以下のリンクから確認いただければと思う。
入力項目が多数あるため以下に示す内容以外は初期状態にて試算を行なった。
・個別熱源比率(冷房):100%
・暖房:なし
次項より可変させる項目
・床面積あたりの熱源容量(冷房)
・熱源効率(冷房、一時エネルギー換算)
主に上記2つの項目を変化させた場合にどの程度一次エネルギー消費量(BEImac)が変化するのかを次項以降試算する。
熱源効率と一次エネルギー消費量の相関
まずは冷房時装置容量別の一次エネルギー換算熱源COPと一次エネルギー消費量の相関図を示す。
横軸に一次エネルギー換算COPを示し縦軸に一次エネルギー消費量を示す。
また冷房容量別に試算した。
なお一次エネルギー換算COPがわからない方はこちらで紹介しているので参考にされたい。
冷房装置容量が100W/m2および150W/m2の場合はほぼ変わらない位置にプロットされる結果となった。
また冷房容量が増加すると一次エネルギー消費量も増加することがわかる。
効率が上昇するほど一次エネルギー消費量の低減率が減少する結果となった。
冷房負荷原単位と一次エネルギー消費量の相関
つづいて一次エネルギー換算COP別冷房負荷(≒冷房装置容量)原単位と一次エネルギー消費量の相関図を示す。
横軸に冷房負荷原単位を示し縦軸に一次エネルギー消費量を示す。
冷房時のCOPが低いほど1次エネルギー消費量が上昇する傾向にはあるがいずれの場合も冷房負荷原単位と一次エネルギー消費量の相関としては同じような傾向となることがわかる。
また冷房負荷原単位150W/m2以下は冷房負荷原単位がどれだけ小さくなろうとも1次エネルギー消費量には影響を与えないことがわかる。
まとめ
今回は様々な手法の中でも個別熱源であるパッケージエアコンの性能と空調能力原単位による省エネ効果について冷房時に絞って紹介した。
省エネ適判に使用されるツールそのものを学ぶことでツールに特化した省エネ解決策を見つけることができる。
モデル建物法による省エネ手法はまだまだ限定的なものが多い。
そのためもちろん実際に省エネを考える際はもちろんそれだけでなく様々な要因を複合的に考える必要がある。
省エネ化の足掛かりとしては十分有効な情報かと思うので活用いただければと思う。
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