エアコンと電気代 -年間電気代算出方法を紹介- 2023.01.072024.01.07 こんにちは。よく設備設計に携わっていると施主側から以下のような質疑を受けることがあるかと思う。今回計画する建物にある空調設備の電気代は年間いくらかかるのか。設備設計に携わるのであれば設備機器の導入コストのみならず維持費についても試算できるようにしておく必要がある。その中でも今回はエアコンの電気代算出方法について算出手順を紹介する。 コンテンツ エアコンの定格消費電力年間のエアコン稼働時間全負荷相当運転時間電気代の単価エアコンの年間電気代(従量料金のみ)試算まとめ エアコンの定格消費電力 電気代を試算するにあたりエアコンの定格消費電力を把握する必要がある。定格消費電力を調べる方法は例えば以下の通りだ。①カタログから確認。②機器の仕様書から確認。 年間のエアコン稼働時間 次に年間のエアコンの稼働時間を確認する。今回は事務所想定で平日の定時時間(9時-18時)のみエアコンが稼働することとする。 年間の勤務日数を245日とした場合年間勤務時間 = 9[h/日] x 245[日/年] = 2,205[h/年] となる。 全負荷相当運転時間 例えば年中エアコンを動かした場合を想像する。真夏や真冬であればエアコンは100%の力で運転することになる。(適正にエアコンの選定がされていればだが)一方で春や秋といった中間期においては熱負荷がほとんど発生しないためエアコンは100%で運転しない。 これを示したものが上図になる。これは年間の運転時間とその時のエアコンの負荷率(運転の力の度合い)を降順に並べたものだ。前提条件としては事務所想定で平日の定時のみエアコンを年間使用した場合になる。ピーク負荷が発生する時間帯はほとんど一瞬でありほとんどの時間はエアコンの負荷率がかなり低い傾向となる。 全負荷相当運転時間とは1年間におけるエアコンの負荷率100%の総運転時間のことだ。例えば先ほどの図であれば全負荷相当運転時間はエアコンの稼働時間のおおよそ30%となる。そのため前項で紹介したエアコンの運転時間を2,205[h/年]とすれば全負荷相当運転時間は661.5[h/年]となる。 電気代の単価 次に確認が必要なものが電気代の単価だ。ここでいう単価は従量料金のことで基本料金は含まない。基本料金はエアコンのみならず建物全体で決まった金額を支払うことになる。そのためエアコンのみの電気代を算出する場合は従量料金のみで試算する。(先方へ資料として提出する際はその旨を特記しておくことが望ましい)また契約電力や契約のプランにより従量料金が変動するので注意が必要だ。必要に応じて電気設備設計者に確認を行うことをお勧めする。ここでは電気代従量料金は16円/kWhとする。 エアコンの年間電気代(従量料金のみ)試算 前項までの内容を一式確認したのちにエアコンの年間電気代を試算する。各条件は以下の通り・定格消費電力 : 1.0[kW]・全負荷相当運転時間 : 661.5[h/年]・電気代従量料金 : 16[円/kWh] 各数値を乗じることで年間の電気代を算出することが可能だ。今回の場合だと 1.0 x 661.5 x 16 = 10,584[円/年] となる。 まとめ 今回はエアコンの電気代算出方法について算出手順を紹介した。手順①エアコンの定格消費電力の確認②年間のエアコン稼働時間の確認③全負荷相当運転時間の確認④電気代単価の確認上記情報を揃えることでエアコンの電気代(従量料金のみ)を試算することが可能だ。当然試算方法の一例に過ぎないので他により精度が高い方法や計算方法にこだわりがあればそれを優先して構わないだろう。
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