設備設計と設備機器搬入 -最低限必要な寸法を紹介-

こんにちは。
設備設計を行っているとどうしても大型機器を建物内に設置する必要があることが多い。
特に吸収式冷温水発生機を導入する場合やボイラーを設置する場合だ。
そんな時によく気になること。
それは機器の搬入に必要なスペースをどの程度見込めばよいかということだ。
機器を設置するために必要なスペースは建築設備計画基準で述べられている。
しかし搬入に必要なスペースについては記述がない。
そのため建設現場の経験がない方からすればどの程度搬入スペースを見込むべきか迷うことも多いだろう。
今回は設備機器の搬入にあたり最低限必要な寸法および搬入時のイメージを紹介する。

機器搬入に最低限必要な寸法(扉部分)

まず最初に気にする部分が扉の部分での設備機器搬入に必要な寸法だろう。
屋内に設備機器を設置する以上は必ず扉を介して機器を据付けることとなる。

そもそもどうやって機器を搬入するかを紹介する。
機器の搬入にあたりまずは床を保護するために板を敷く。
更にその上に機器を滑らせるように人力で運べるようにするために鉄管をたくさん設置する。
その後クレーンなどを用いて鉄管の上に機器を設置する。
その設置した機器を人力で押すことで鉄管が転がり機器が滑って移動していく。

そのためまず最初に機器の下には約200mm程度のスペースは必要になる。

続いて機器外形の周囲に200mm程度は最低限設けた方がいいだろう。
というのも人力で機器を滑らせながら押す。
そのため全くスペースがないと構造体を傷つけてしまう可能性がある。
それを避けるために多少なりともクリアランスを設けた方がよい。

 

機器の移動方法

次に機器の移動方法について紹介する。
前項で機器の移動には鉄管を用いると紹介した。
機器の移動方法は実に原始的ではあるが理にかなっている。
鉄管を転がしていくと機器のお尻の方にあった鉄管が不要となるため機器の先頭へ手で再設置する。
これによりひたすら機器を滑らせながら移動させる。

機器の進行方向を変更するとき

続いて紹介する内容が機器の進行方向を変更するときだ。
進行方向を変更するためには図示する通り鉄管の向きを変更させる必要がある。
鉄管の向きを変更させることで自然と機器が進む向きを変えることができる。

例えば90°進路を変更したい場合は鉄管の向きを徐々に変更しながら機器を行ったり来たりさせる。
そうしてその場で方向転換を行うことができる。

GLとFLの高さが異なる場合

GLとFLの高さが異なる場合はFLと同じ高さとなる様に仮設のステージを設ける。
機器を斜めに吊り降ろすことはできないのでそのステージの上に機器を設置する。
そのあとは前項までで紹介した通りの方法を用いる。

屋内の搬入経路上に段差がある場合

うづいて屋内の搬入経路上に段差がある場合について紹介する。
方法は様々だがそのうちの一例を紹介する。
段差がある手前まで機器を滑らせる。
そのあとマシンフックと呼ばれる設備機器を吊るためのフックにホイストと呼ばれる機器を設置する。
そのホイストを用いて機器を吊り段差とフラットにするように仮設で機器を置くためのスペースを設ける。

この際に注意したいこと。
それはマシンフックは設計時に見込みあらかじめ据付をしておく必要があるということだろう。
マシンフックは構造体に対して設ける必要がある。
そのためため事前にそれだけの耐荷重を想定していないと建物が崩落してしまう恐れがある。
マシンフックの吊り方は様々だが例えばこちらのようなものだ。
またホイストについてもこちらの検索結果を確認すると何となく理解できるかと思う。

まとめ

今回は設備機器の搬入にあたり最低限必要な寸法および搬入時のイメージを紹介した。
実際の搬入の方法は施工業者により様々だと思われるが、最低限搬入が可能な計画を設計段階から見込んでおくことをおすすめする。

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