排水における二重トラップとは -禁止されている理由を紹介-

こんにちは。
普段排水の計画をするときにたまによく間違えることがある二重トラップ。
二重トラップが禁止されていることは設備設計を行っていれば誰でも知っていることかもしれない。
それでも間違えることも少なくないので今回は二重トラップの概要と二重トラップが禁止されている理由を紹介する。

二重トラップとは

図に示すように二重トラップとはトラップが2つ直列に並んでしまうことをいう。
トラップとはいわゆる水が常時溜まるようにする構造のことでありこの水は封水と呼ばれる。
この封水は排水管から室内への臭気の漏洩を防ぐ役割を持っている。

二重トラップが禁止されている理由

二重トラップを設置することで起こる問題はトラップとトラップの間の空気と外界との空気のやり取りが一切できなくなることだ。

通常排水を計画するときには通気管を計画する。
通気管は正常に排水を行うために必須な配管だ。

通気管があることで上図のように排水された際に配管内の負圧を防止することができる。
配管内が負圧になると(配管内の空気と配管の外の空気のやり取りがない状態)水が流れにくくなる。
水が流れにくくなれば排水が詰まる可能性は高まることになる。

また後述するが封水が切れる。
封水が切れると室内に臭気が蔓延してしまう。

なお通気管の役割についてさらに知りたい方はこちらから。

配管内の空気が外部とやり取りできないことで水が流れにくくなる一例を紹介する。

よく子供のころに無意識でこんなことをやっていた方も多いだろう。
コップを逆さにしても水が落ちない現象だ。
これはコップ内の空気がコップの外の空気と一切の空気のやり取りがないせいで結果的にコップが水を支えてしまうからだ。

コップを逆さにしたときにおこる現象と同じ現象が二重トラップ間の配管内で起こってしまう。
二重トラップとするとなかなか水が流れないことが起こり得るのだ。

ところで二重トラップとした場合において二重トラップ間に通気管を設ければ解消するのでは?と思われた方もいるだろう。
実はそれもまた望ましくない。
二度目のトラップの際に排水の勢いが死んでしまって二度目の排水トラップ通過後に排水が詰まってしまう可能性があるためだ。
トラップを介して排水するということはその時点で重力で流れていた排水がいったん止まることとなる。
トラップは室内への臭気蔓延防止のために仕方なく設けるものだ。
そのためトラップは最小限必要なものではあるがトラップを設けるほど詰まりやすくなってしまうことに注意されたい。

さて、先ほど紹介した封水が切れる理由について紹介する。
先ほども紹介したが封水とはトラップ内にたまっている水のことだ。
その溜まった水が何らかの理由によりなくなってしまうことで排水管からの空気が室内に蔓延してしまう原因となる。

例えば二重トラップ間で排水が行われた場合を想定する。
排水されると排水管内は水で満たされる。
排水完了間際になると図のように封水までも一緒に流れてしまう。
これはトラップ間で空気が介入する余地がないからだ。
排水管内が真空状態になることはないためもっとも空気を持ってきやすいところ、つまり封水があるところから空気をもってきてしまう。
結果封水が切れてしまう。

まとめ

今回は二重トラップの概要と二重トラップが禁止されている理由を紹介した。
二重トラップを行ってしまうと高い確率で排水に何らかの不具合が起こってしまう。
そのため排水計画を行う際は十分注意されたい。

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