給湯器 -電気とガスのどちらが省エネ?-

こんにちは。

給湯器の計画を行う際、ガス給湯器と電気湯沸器のどちらで計画を行うべきか迷うことが多々ある。
事務所用途であれば、多量のお湯を使う室があることはほとんどない。
そのため、事務所の場合は電気温水器を用いることが多いだろう。
しかし、シャワー室など、多量のお湯を使用するような室が計画される場合は、電気温水器というわけにはいかないことも事実である。

今回は給湯器について、電気とガスのどちらが省エネであるかを紹介する。

給湯設備は中央給湯方式と個別給湯方式に大別される。
中央給湯方式とは、建物の一箇所にボイラーなどの水の加熱源を設置し、建物内の必要箇所へお湯を供給するシステムを示す。
一方で、個別給湯方式とは、給湯が必要な箇所毎に給湯器を設置し、お湯を供給するシステムを示す。
なお、今回は個別給湯方式を前提としてそれぞれ紹介する。

給湯器の種類

電気温水器

電気温水器とは、電気を使用して水を温める機器であり、お湯を随時溜めつつ、必要に応じお湯を供給する機器である。
容量によっても異なるが、ある程度貯湯することができるため、電気式瞬間湯沸器よりも電気容量が小さい傾向にある。
しかし、連続して出湯すると、湯切れを起こす可能性がある。

電気式瞬間湯沸器

電気式瞬間湯沸器とは、電気を使用して、お湯を供給する機器である。
需要に応じて水からお湯へ即変換するため、電気容量が非常に大きいことが特徴である。
そのため、電気の受電容量が大幅に増大する要因となる。
また、連続して出湯しても、湯切れを起こす心配はない。

エコキュート

エコキュートとは、電気を使用して水を温める機器であり、お湯を随時溜めつつ、必要に応じお湯を供給する機器である。
容量によっても異なるが、ある程度貯湯することができる。
また、室外機を使用してお湯を作るため、電気温水器よりも効率が良い。
ただし、室外機を設置する必要があるため、ある程度の設置スペースが必要となる。

ガス給湯器

ガス給湯器とは、ガスを燃焼させてお湯を作る機器である。
電気をほとんど使用しないため、建物内の電気容量を大幅に低減することができる反面、ガス配管が必要となる。

電気熱源給湯器の消費電力量とCO2排出量

電気熱源の給湯機器の場合、消費電力量は原則として投入熱量=消費電力となる。
一般的に給湯器の1号とは1L/minの水を25℃加熱させることである。
その際に必要な熱量は下表の式で求められ、1.74kWである。
そのため消費電力も1.74kW必要となる。

給湯器1号に必要な熱量
熱量[kJ/h] = 水比熱[kJ/kg・K] x 水密度[kg/L] x 温度差[℃] x 流量[L/min] x 単位変換[min/h]
 4.186[kJ/kg・K] x 1[kg/L] x 25[℃] x 1[L/min] x  60[min/h] = 6,279kJ/h = 1.74[kW]
※(参考) 1kW = 3600kJ/h

しかし、エコキュートの場合は、室外機を使用し、投入熱量に対して1/3程度(COP=3の場合)の消費電力で水を温めることができる。
つまり、本来であれば消費電力が1.74kWとなるところが、1/3の0.58kWで済む。

のちに、ガス給湯器との効率を比較するためには、電力量をCO2排出量へ換算する必要がある。
CO2排出量換算することで電気とガスの効率を比較することが可能となる。
CO2排出量の計算方法は下表のとおりである。

CO2排出量の計算方法
消費電力量[kWh] x CO2排出係数[t-CO2/kWh]

参考:東京電力エナジーパートナー(株)のCO2排出係数(令和4年度実績):0.000376[t-CO2/kWh]

1.74kWをCO2排出量へ換算すると下表のとおりとなる。

CO2排出量
電気温水器
瞬間湯沸器
1.74[kWh] x 0.000376[t-CO2/kWh]
= 0.000654[t-CO2] = 0.654[kg-CO2]
エコキュート
COP=3.5
1.74[kWh]÷3.5 x 0.000376[t-CO2/kWh]
= 0.000187[t-CO2] = 0.187[kg-CO2]

参考:東京電力エナジーパートナー(株)のCO2排出係数(令和4年度実績):0.000376[t-CO2/kWh]

ガス給湯器の消費電力量とCO2排出量

ガス熱源の給湯機器の場合、消費電力量は原則として投入熱量=消費電力となる。
一般的に給湯器の1号とは1L/minの水を25℃加熱させる。
その際に必要な熱量は1.74kWである。
そのためガス消費量も1.74kW必要となる。

ガスは大きく都市ガスとプロパンガスへ大別される。
都市ガスとプロパンガスでは発熱量が異なる。
そのため、使用するガスによって、CO2排出量が異なる。
都市ガスとプロパンガスのCO2排出量の計算方法は以下のとおりである。

都市ガスのCO2排出量の計算方法
ガス消費量[m3] x CO2排出係数[kg-CO2/m3] = ガス消費量[m3] x 2.05[kg-CO2/m3]
ガス消費量[m3] = ガス消費量[kWh]  ÷ 12.821[kW/m3]

参考:東京ガス(都市ガス13A)のCO2排出係数:2.05[kg-CO2/m3]

プロパンガスのCO2排出量の計算方法
ガス消費量[kg] x CO2排出係数[kg-CO2/kg] = ガス消費量[kg] x 2.99[kg-CO2/kg]
ガス消費量[kg] = ガス消費量[m3] x 1.99[kg/m3]
ガス消費量[m3] = ガス消費量[kWh] ÷ 27.778[kW/m3]

ガス消費量が1.74kWのときの都市ガスとプロパンガスのCO2排出量は以下のとおりである。

都市ガスのCO2排出量
CO2排出量[kg-CO2] = 0.1357[m3] x 2.05[kg-CO2/m3] = 0.278[kg-CO2]
ガス消費量[m3] = 1.74[kWh]  ÷ 12.821[kW/m3] = 0.1357[m3]
プロパンガスのCO2排出量の計算方法
CO2排出量[kg-CO2] = 0.1246[kg] x 2.99[kg-CO2/kg] = 0.373[kg-CO2]
ガス消費量[kg] = 0.0626[m3] x 1.99[kg/m3] = 0.1246[kg]
ガス消費量[m3] = 1.74[kWh] ÷ 27.778[kW/m3] = 0.0626[m3]

給湯器別のCO2排出量

1号の給湯器を1時間使用したときにおける給湯器別のCO2排出量を下表に示す。
エコキュートが最もCO2排出量が少なく、次いでガス給湯器のCO2排出量が小さい結果となった。

給湯器熱源消費電力量/ガス量CO2排出量
電気温水器電気1.74[kWh]0.654[kg-CO2]
瞬間湯沸器
エコキュート(COP3.5)電気0.50[kWh]0.187[kg-CO2]
ガス給湯器都市ガス1.74[kWh]0.278[kg-CO2]
LPガス1.74[kWh]0.373[kg-CO2]

まとめ

今回は給湯器について、電気とガスのどちらが省エネであるかを紹介した。
エコキュートを使用する場合は電気のほうがCO2排出量が小さい結果となり、次に、ガス給湯器のCO2排出量が小さい結果となった。

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