消火水槽有効水位の算定方法 2022.06.192024.01.07 はいこんにちは。普段何の不思議もなく容量を算定している消火水槽の容量。というのも設計段階では必要水槽容量に1.2倍を乗じて安全側で水槽容量を見込むことが多いことからなかなか問題になることが少ない。とはいえ消防法規に関わる事項であることから本来どのように消火水槽の有効容量を算定するかは知っておいてもよいかと思う。平面的な有効面積(フットプリント)は単に水槽部分の表面積と基本的には等しいためあまり苦労しない。ただ一方で断面的な有効水位は思ったよりも有効とみなされない範囲が大きいため注意が必要だ。今回は消火水槽の基本的事項から必要水量および消火水槽の有効水位の算出方法を紹介する。 コンテンツ 消火水槽とは何か屋内消火栓毎の必要流量と許容流量、消火水槽の必要容量消火水槽の有効水位の算出方法消火水槽の必要容量を算出する際の注意事項まとめ 消火水槽とは何か そもそも消火水槽とは何かといったこ戸を紹介する。一例として屋内消火栓を建屋に設置する際の系統イメージを図示した。屋内消火栓は通常水源が必要であることから建物の最下部となる場所に水源を設置する。この水源が専ら消火用に用いられることから消火水槽と呼ばれる。なお今回は屋内消火栓を一例として紹介するがスプリンクラー設備を設ける場合や屋外消火栓を設ける場合においても消火水槽が設けられる。 屋内消火栓毎の必要流量と許容流量、消火水槽の必要容量 次に屋内消火栓毎の必要流量を紹介する。比較的使用頻度の多い易操作1号消火栓および広範囲2号消火栓の場合について紹介する。 【配管内最大流量】各階に屋内消火栓が2か所以上設置される場合の消火ポンプ内の必要流量は以下の通り。易操作1号消火栓 = 150L/min x 2 = 300L/min広範囲2号消火栓 = 90L/min x 2 = 180L/min各階に屋内消火栓が1か所のみで2か所の屋内消火栓が同時使用されない場合は以下の通りとなる。易操作1号消火栓 = 150L/min x 1 = 150L/min広範囲2号消火栓 = 90L/min x 1 = 90L/min【配管径毎の許容流量】続いて配管径毎の許容流量を紹介する。上記に図示した通りだが配管径毎に流すことができる流量が決められている。そのため同時開放数 = 2の時の各配管径は以下となる。易操作1号消火栓 = 65A広範囲2号消火栓 = 50A同時開放数 = 1の場合は以下の通り。易操作1号消火栓 = 40A広範囲2号消火栓 = 40A【消火水槽の必要容量】最後に消火水槽の必要容量について紹介する。同時開放数 = 2の場合は以下の通り。易操作1号消火栓 = 2.6m3 x 2 = 5.2m3広範囲2号消火栓 = 1.6m3 x 2 = 3.2m3同時開放数 = 1の場合は以下の通り。易操作1号消火栓 = 2.6m3 x 1 = 2.6m3広範囲2号消火栓 = 1.6m3 x 1 = 1.6m3 消火水槽の有効水位の算出方法 消火水槽を躯体水槽似て設ける場合だが大きく分けて2通りが考えられる。1つ目が釜場を設けない場合。釜場を設けないことで構造的には複雑な形状とならないことが最大の特徴だがその分有効水位が減少してしまう。(後述)2つ目が釜場を設ける場合。釜場を設けることで有効水位を比較的確保しやすい。但し釜場を設けない場合と比較すると細かな基準が多々あるため計画自体に注意が必要となる。 まずは釜場を設けない場合について紹介する。釜場を設けない場合は上図のような躯体の水槽となる。消火ポンプ吸込み側の配管下部にフート弁と呼ばれる弁が設置される。フート弁よりも水位が下がると物理的に消火ポンプが水を吸い込まなくなる。つまり有効水位は水表面上部からフート弁上部までとなる。フート弁上部までの高さの算出方法だが消防法により決められている。前項で算定した配管径に2.65倍を乗じて算出する。そのため易操作1号消火栓の場合は65A x 2.65 = 172.25mmとなり広範囲2号消火栓の場合は40A x 2.65 = 106.00mmとなる。この計算で求められた水位は有効水位としては認められないこととなる。 続いてが釜場を設置する場合だ。基本的な考え方は釜場を設置しない場合と変わらない。配管径の2.65倍の水位が有効水位とは認められない範囲となる。但し気を付けるべきはそれ以外の部分で釜場の大きさ自体に制限があるため注意されたい。断面的には一方が配管径の5倍以上のスペースを設けることでもう一方は最低でも配管径の0.5倍以上のスペースを設けることとされている。 また平面的には図示の通りとなる。断面と平面はリンクしている。そのため4面中一方が配管径の5倍以上のスペースでそれ以外の方位が配管径の0.5倍以上のスペースを設けることとされている。つまりこれ以上のスペースを釜場として設けておかないと釜場があるとみなされないことになる。 消火水槽の必要容量を算出する際の注意事項 余談だが消火水槽の必要容量を算出する際に見落としがちな注意事項を以下のリンクから照会しているので気になる方は参照頂ければと思う。 躯体水槽容量の算定方法今回は躯体水槽容量の算定方法について。よくいろいろな人が間違える躯体水槽の要領算定方法。よく現場段階で水槽の容量が確保できない旨指摘されたり、水槽容量が大きすぎたりすることがあると思う。というのも通常の水槽とは異なり水槽の水平投影面積の算出... まとめ 今回は消火水槽の基本的事項から必要水量および消火水槽の有効水位の算出方法を紹介した。消火水槽の容量を算定するうえで消防法規に関わる意外な盲点があるため十分注意して計画されたい。
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