排水勾配が取れないときの対処法 2022.04.052024.01.07 こんにちは。普段設計をしていたり建物の改修時にもよく発生することが多い排水の勾配にまつわる問題。良く起きうることが排水の勾配が足りなくどのように進めればよいか完全に行き詰ったりする。行き詰って時間が勝手に問題を解決してくれればよいのだが当然そんなわけもなく時間がかかればかかるほどどうしようもなくなる。問題を放っておけばまさに負のスパイラルに陥ることは目に見えている。そんな中上記問題の助けになればと思い今回は排水管の勾配が取れないときに試してみるべき解決策について紹介する。 コンテンツ 排水勾配が取れないとはそもそもどういうことか解決策① 排水管径の拡大解決策② ポンプアップを行う解決策③ 排水のルートを変える解決策④ 梁貫通を計画する解決策⑤ 床レベルを変更するまとめ 排水勾配が取れないとはそもそもどういうことか こちらの図に排水が取れない場合のイメージ図を示す。図は大便器からの排水を記した断面イメージだ。大便器へ排水を設け床下を排水管が横引きされている。 横引き管が長ければ長いほど排水管の高さがどんどんと下がってくる。例えば既存の躯体にぶつかるような配管レベルになってしまう。躯体とぶつかるということは配管の勾配を維持できないことにつながりさあどうしようと考えこんでしまうことになる。上記の例以外でも建物の床面積が大きすぎて外構にたどり着くまでにかなりの深さの配管になってしまうことがあげられる。例えばピット部においては配管の深さが深くなるほど土工事の量が増え躯体量も増える。また1F以上の階においては天井高および階高へ影響することとなる。それほど排水の勾配は侮れないのだ。 解決策① 排水管径の拡大 最初の方法は排水管径の拡大を図る案だ。というのも配管径を大きくすることで排水勾配を減らすことができ排水流量を増やすことができるからだ。具体的な排水流量については以下で紹介しているため気になる方は参照されたい。 【必見】排水勾配と排水量がわかる-マニングの公式-はいこんにちは。普段排水の計算をしていて行政などからマニングの公式やクッターの公式を用いて計算するよう指導された経験はないだろうか。そのように指導された場合建築設備設計基準に記載の計算方法と異なるため困ってしまう方も多いかと思う。また純粋に... 但し注意事項としては配管径が大きくなるためその配管径がそもそも納まるかどうかの確認がまず必要だ。またその他の注意点とすれば基本的に一度大きくした排水管径を再度小さくすることは考え難いことだろうか。 というのも配管径を小さくすると小さくしたところに排水が溜まる恐れがあるからだ。 特に排水管内は極力水が溜まる部分を減らしたいところだ。いずれにしても廻りの状況を含めて総合的に考えたいところだ。 解決策② ポンプアップを行う 配管の高さが合わないのであれば端的にポンプアップにより強制的に配管の高さを変更してしまえばよいといった考え方。すごく手軽な手法だが機器を導入するということは維持管理もしなければいけないこととなるため導入は慎重に行った方がよい。 また他にも注意事項がある。既存建物の建屋内に新たに設けることは難しいことだ。特にポンプ用に釜場を設けることとなるため既存の建物だとコンクリート増の荷重が耐えられない恐れがある。また建物内にピットがない場合は採用ができない。 解決策③ 排水のルートを変える 続いての方法が排水のルート見直しだ。特に構造体と排水管の関係性は重要で先に小梁を排水管が通るべきか大梁を排水管が通るべきかにより排水管の高さがかなり変わるケースがある。 それもそのはずで建物にもよるが通常大梁よりも小梁の方が小さいので排水管の高さをその分稼ぐことができる。また新築建物の場合はスリーブを計画したうえで小梁と大梁の関係性を考えると劇的に排水管の高さを変更できることがある。こちらの案の注意点は結果的に異なるルートに排水管が通るため排水管下部にダクトが通らないかどうかを確認されたい。 解決策④ 梁貫通を計画する もしまだ梁貫通を検討されていない方は梁貫通により排水管の高さを解消できる可能性があるため是非検討されたい。注意点は既存建物では新たに梁にスリーブを設けられないことだろうか。スリーブを設けられなければ梁を貫通した排水管は計画できないこととなる。 解決策⑤ 床レベルを変更する 恐らくこれが最終手段だろう。床レベルを変更することだ。排水管を計画するために床レベルを変更する。但しこの変更により様々な弊害が出ることも事実なので可能な限りは避けた方がよい。例えば床レベルを変更することで必ずどこかに段差ができること。また新たに床を作ることとなるため必然的に建築工事が大幅に増えることだろうか。 まとめ 今回は排水管の勾配が取れないときに試してみるべき解決策について紹介した。紹介した通り様々な解消方法があるかと思うが現場により適切な方法が異なるかと思うので状況に合わせて使い分けていただければと思う。
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