空調設備設計の基礎 -外気負荷について紹介-

こんにちは。

空調設備設計を行う際には、外気の影響を考慮する必要がある。
特に外気負荷は全体の熱負荷のうち、比較的多くの割合を占めることが少なくない。
そのため、空調設備設計を行う際や省エネに配慮した設計を行う際には、外気負荷の扱い方に配慮する必要がある。

今回は外気負荷について紹介する。

外気負荷の概要

外気負荷とは

外気負荷とは、空気調和衛生工学用語辞典では「換気のために外気を室内に供給する際に、外気の温湿度を室内温度に等しくするために要する熱量」と定義されている。

外気負荷とは
換気のために外気を室内に供給する際に、外気の温湿度を室内温度に等しくするために要する熱量

外気負荷 -冷房負荷-

冷房時における外気負荷は室内の比エンタルピーより外気の比エンタルピーが高い場合に発生する。

冷房時において、室内の比エンタルピーより外気の比エンタルピーが低い場合は外気負荷とはならない。
理由としては外気を室内へ導入するほど、冷房を行う必要がなくなるためである。

外気負荷 -暖房負荷-

暖房時における外気負荷は室内の比エンタルピーより外気の比エンタルピーが低い場合に発生する。

暖房時において、室内の比エンタルピーより外気の比エンタルピーが高い場合は外気負荷とはならない。
理由としては外気を室内へ導入するほど、暖房を行う必要がなくなるためである。

参考 空気線図の読み方

外気負荷の割合

建築設備手帳によれば外気負荷の割合は以下の通り記載がある。(東京)
外気負荷の割合が比較的多くの割合を占めることがわかる。

冷房 室内負荷 外気負荷
事務所 南向 102 43
西向 105 43
北向 100 43
東向 115 43

外気負荷の算定

外気負荷の算定方法

外気負荷を算定にあたっては空気比熱と空気密度、風量、比エンタルピー差を乗じることで算定が可能となる。
具体的には下表に示す式で算定可能である。

外気負荷の算定式
外気負荷[W] = ( 空気比熱 x 空気密度[kg/m3] x 風量[m3/h] x 比エンタルピー差[kJ/kg] ) ÷ 3.6[(kJ/h)/W]
外気負荷[W] = ( 1.2 x 風量[m3/h] x 比エンタルピー差[kJ/kg] ) ÷ 3.6[(kJ/h)/W]

計算例

以下の条件における外気負荷(冷房負荷)を算定する。

冷房負荷の算定
風量 500m3/h
項目 乾球温度[℃] 相対湿度[%] 比エンタルピー[kJ/kg]
室内 26 50 52.9
室外 35 50 80.8
差分 9 27.9

風量が500m3/hで、室内外の比エンタルピー差が27.9kJ/kgなので、外気負荷は4,650Wとなる。

外気負荷の算定式
外気負荷[W] = ( 空気比熱 x 空気密度[kg/m3] x 風量[m3/h] x 比エンタルピー差[kJ/kg] ) ÷ 3.6[(kJ/h)/W]
外気負荷[W] = ( 1.2 x 500 x 27.9 ) ÷ 3.6 = 16,740 ÷ 3.6 = 4,650[W]

まとめ

今回は外気負荷について紹介した
外気負荷は熱負荷計算へ大きな影響を与えるため注意されたい。

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