空調設備設計の基礎 -外気負荷について紹介- 2025.08.16 こんにちは。空調設備設計を行う際には、外気の影響を考慮する必要がある。特に外気負荷は全体の熱負荷のうち、比較的多くの割合を占めることが少なくない。そのため、空調設備設計を行う際や省エネに配慮した設計を行う際には、外気負荷の扱い方に配慮する必要がある。今回は外気負荷について紹介する。 コンテンツ 外気負荷の概要外気負荷とは外気負荷 -冷房負荷-外気負荷 -暖房負荷-参考 空気線図の読み方外気負荷の割合外気負荷の算定外気負荷の算定方法計算例まとめ 外気負荷の概要 外気負荷とは 外気負荷とは、空気調和衛生工学用語辞典では「換気のために外気を室内に供給する際に、外気の温湿度を室内温度に等しくするために要する熱量」と定義されている。 外気負荷とは 換気のために外気を室内に供給する際に、外気の温湿度を室内温度に等しくするために要する熱量 外気負荷 -冷房負荷- 冷房時における外気負荷は室内の比エンタルピーより外気の比エンタルピーが高い場合に発生する。 冷房時において、室内の比エンタルピーより外気の比エンタルピーが低い場合は外気負荷とはならない。理由としては外気を室内へ導入するほど、冷房を行う必要がなくなるためである。 外気負荷 -暖房負荷- 暖房時における外気負荷は室内の比エンタルピーより外気の比エンタルピーが低い場合に発生する。 暖房時において、室内の比エンタルピーより外気の比エンタルピーが高い場合は外気負荷とはならない。理由としては外気を室内へ導入するほど、暖房を行う必要がなくなるためである。 参考 空気線図の読み方 空気線図の読み方についてはこちらの記事で紹介しているため、参考いただければと思う。 【簡単に理解できる】空気線図の基本こんにちは。設備設計にてこれから従事するにあたり最初の関門であろう空気線図の読み方について。空気線図を使いこなすどころかそもそも空気線図が何を示しているかすらよくわからない方もいることだろう。空気線図が使えるようになると様々な空気の状態を空... 外気負荷の割合 建築設備手帳によれば外気負荷の割合は以下の通り記載がある。(東京)外気負荷の割合が比較的多くの割合を占めることがわかる。 冷房 室内負荷 外気負荷 事務所 南向 102 43 西向 105 43 北向 100 43 東向 115 43 外気負荷の算定 外気負荷の算定方法 外気負荷を算定にあたっては空気比熱と空気密度、風量、比エンタルピー差を乗じることで算定が可能となる。具体的には下表に示す式で算定可能である。 外気負荷の算定式 外気負荷[W] = ( 空気比熱 x 空気密度[kg/m3] x 風量[m3/h] x 比エンタルピー差[kJ/kg] ) ÷ 3.6[(kJ/h)/W] 外気負荷[W] = ( 1.2 x 風量[m3/h] x 比エンタルピー差[kJ/kg] ) ÷ 3.6[(kJ/h)/W] 計算例 以下の条件における外気負荷(冷房負荷)を算定する。 冷房負荷の算定 風量 500m3/h 項目 乾球温度[℃] 相対湿度[%] 比エンタルピー[kJ/kg] 室内 26 50 52.9 室外 35 50 80.8 差分 9 – 27.9 風量が500m3/hで、室内外の比エンタルピー差が27.9kJ/kgなので、外気負荷は4,650Wとなる。 外気負荷の算定式 外気負荷[W] = ( 空気比熱 x 空気密度[kg/m3] x 風量[m3/h] x 比エンタルピー差[kJ/kg] ) ÷ 3.6[(kJ/h)/W] 外気負荷[W] = ( 1.2 x 500 x 27.9 ) ÷ 3.6 = 16,740 ÷ 3.6 = 4,650[W] まとめ 今回は外気負荷について紹介した外気負荷は熱負荷計算へ大きな影響を与えるため注意されたい。
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