こんにちは。
中央熱源方式を計画する場合において、ほとんどの場合は空調機を計画することとなる。
空調機自体を計画するのはよいが、建物内の顕熱、全熱の割合からSHFを利用した空調機の吹出温湿度の算定方法がいまいちわからないという方も多いだろう。
空気線図を用いた場合は、SHFの記載があるため、なんとなくは読み取ることが可能だが、いつも手元に空気線図があるわけでもない。
今回は、吹出温湿度とSHFについて紹介する。
SHFとは、Sensible heat factorと表現され、顕熱比を示す。
顕熱比とは顕熱と全熱の割合から求められる比である。
顕熱とは、主に空気の温度上昇に影響する熱である。
また、潜熱とは、主に空気の絶対湿度の上昇に影響する熱である。
これらの顕熱と潜熱を合わせた熱を全熱と呼ぶ。
つまり、SHF = 顕熱 ÷ 全熱 で求められる。
計算式 |
---|
SHF = 顕熱[W] ÷ 全熱[W] |
SHFの意味については以下の記事で紹介しているため、ご確認いただければと思う。
空調設計において、室内温湿度を一定に保つためにはSHFに対しての理解が必要不可欠である。
空調を行う際には、SHFに基づき設計を行う。
例えば、室内に人がたくさんいるのにもかかわらず、空調機の吹出温度が高いと、設計時の想定よりも室内相対湿度が上昇する傾向にある。
また、室内に人がほとんどいないのにも関わらず、空調機の吹出温度が低いと、室内の相対湿度が低下する。
空調機の吹出温湿度からSHFを求める方法
前提条件の確認
まず、前提条件として、室内設計温湿度を決定する必要がある。
また、室内設計温湿度の比エンタルピーを確認する。
例えば、室内温湿度が26℃50%のときの比エンタルピーは52.9kJ/kgとなる。
次に空調機からの吹出温湿度を確認し、併せて比エンタルピーも確認する。
例えば、吹出温湿度が15℃90%のときの比エンタルピーは39.3kJ/kgとなる。
前提条件の設定(例) | ||
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室内温湿度 | 26℃、50% | 52.9kJ/kg |
空調機吹出温湿度 | 15℃、90% | 39.3kJ/kg |
SHFの求め方
前項で紹介した通り、SHFは顕熱と全熱の比から求めることができる。
顕熱は温度だけの変化であるため、温度差から顕熱が算出される。
一方で全熱は温度だけではなく、湿度の変化も対象となる。
そのため、全熱は比エンタルピー差から全熱が算出される。
つまり、温度差とエンタルピー差の割合からSHFを算出することができる。
計算式で示すと、SHF = 温度差[℃] ÷ 比エンタルピー差[kJ/kg]となる。
例えば、SHF=1であれば、温度差と比エンタルピー差は等しい値を示す。
SHF=0.9であれば、温度差が0.9に対し、比エンタルピー差は1.0となる。
計算式 |
---|
SHF = 顕熱[W] ÷ 全熱[W] |
SHF = 温度差[℃] ÷ 比エンタルピー[kJ/kg] |
計算例
以下に計算例を2例紹介する。
計算例①
計算式 |
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温度差[℃] = 26 – 15 = 11 |
比エンタルピー差[kJ/kg] = 52.9 – 39.3 = 13.6 |
SHF = 11.0 ÷ 13.6 = 0.81 |
計算例②
計算式 |
---|
温度差[℃] = 28 – 15.5 = 12.5 |
比エンタルピー差[kJ/kg] = 55.3 – 40.6 = 14.7 |
SHF = 12.5 ÷ 14.7 = 0.85 |
まとめ
今回は、吹出温湿度とSHFについて紹介した。
SHFを根本さえ理解できれば、空気線図なしでも吹出温湿度の算定が可能であるとわかるだろう。
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