地中熱ヒートポンプの熱交換器タイプ

こんにちは。

官公庁の施設をはじめ建物の省エネ化を図る際に、最近では地中熱ヒートポンプの導入検討を行うことが増えてきた。
地中熱ヒートポンプによる空調方式はまだまだ普及していないこともあり、どのように検討したらよいかわからないことも少なくない。
特に、省エネ計算上で地中熱ヒートポンプを評価する際には地中熱熱交換器タイプを計算する必要がある。
これは、地中熱の熱交換効率から地中熱ヒートポンプの効率を計算するものではあるが、どのようにしたら熱交換器タイプが決定されるかが不透明である。

今回は省エネ計算上における地中熱ヒートポンプの地中熱熱交換器タイプの傾向について紹介する。

省エネ計算上の地中熱ヒートポンプの種類

地中熱ヒートポンプの種類について、省エネ計算上では大きく中央熱源用(水-水の熱交換用)のヒートポンプチラーと個別熱源用(水-冷媒の熱交換用)のヒートポンプの2種類に大別される。
また、オープンループによる地中熱交換方式(タイプA~F)とクローズドループによる地中熱交換方式(タイプ1~5)に分けられる。
さらに各方式の熱交換効率によりオープンループについては6段階(タイプA~E)とクローズドループについては5段階(タイプ1~5)に細分化される。

標準入力法
1 ウォータチリングユニット(水冷式地中熱タイプ1)
2 ウォータチリングユニット(水冷式地中熱タイプ2)
3 ウォータチリングユニット(水冷式地中熱タイプ3)
4 ウォータチリングユニット(水冷式地中熱タイプ4)
5 ウォータチリングユニット(水冷式地中熱タイプ5)
6 ウォータチリングユニット(水冷式地中熱タイプA)
7 ウォータチリングユニット(水冷式地中熱タイプB)
8 ウォータチリングユニット(水冷式地中熱タイプC)
9 ウォータチリングユニット(水冷式地中熱タイプD)
10 ウォータチリングユニット(水冷式地中熱タイプE)
11 ウォータチリングユニット(水冷式地中熱タイプF)
12 パッケージエアコンディショナ(水冷式地中熱タイプ1)
13 パッケージエアコンディショナ(水冷式地中熱タイプ2)
14 パッケージエアコンディショナ(水冷式地中熱タイプ3)
15 パッケージエアコンディショナ(水冷式地中熱タイプ4)
16 パッケージエアコンディショナ(水冷式地中熱タイプ5)
17 パッケージエアコンディショナ(水冷式地中熱タイプA)
18 パッケージエアコンディショナ(水冷式地中熱タイプB)
19 パッケージエアコンディショナ(水冷式地中熱タイプC)
20 パッケージエアコンディショナ(水冷式地中熱タイプD)
21 パッケージエアコンディショナ(水冷式地中熱タイプE)
22 パッケージエアコンディショナ(水冷式地中熱タイプF)

地中熱ヒートポンプのタイプと省エネ効果

地中熱ヒートポンプ(ここではタイプ1~5に絞る)は下表に示す相当最大熱交換能力に応じてタイプ1からタイプ5に分類される。
一般的にタイプ1が省エネ効果が大きく、タイプ5は省エネ効果が小さい傾向にある。

タイプ1~5の判定
タイプ1 相当最大熱交換能力30未満[W/m]
タイプ2 相当最大熱交換能力30以上50未満[W/m]
タイプ3 相当最大熱交換能力50以上70未満[W/m]
タイプ4 相当最大熱交換能力70以上90未満[W/m]
タイプ5 相当最大熱交換能力90以上[W/m]

地中熱熱交換器タイプケーススタディ

ケーススタディ概要

本稿では、6地域かつクローズドループ方式(タイプ1~5)における地中熱熱交換器タイプのケーススタディを行う。
熱交換器タイプを選定するにあたっての変数は「地盤の有効熱伝導率」および「熱交換器長」「冷暖房能力」「消費電力(今回はCOPで算定する)」であるため、各変数を変更した場合における熱交換器タイプの推移を確認する。

具体的には検討①としては地盤の有効熱伝導率の変動による熱交換器タイプの推移を確認する。
検討②では
熱交換器長による熱交換器タイプの推移を確認する。
ただし、
冷暖房能力やCOPは熱交換器長に比例させての検討とする。
検討③では
熱交換器長100mあたりの冷暖房能力による熱交換器タイプの推移を確認する。
検討④では
COP(冷暖房効率(成績係数))による熱交換器タイプの推移を確認する。

ケーススタディの概要
検討① 地盤の有効熱伝導率の変動による熱交換器タイプの推移
検討② 熱交換器長による熱交換器タイプの推移
(冷暖房能力やCOPは熱交換器長に比例させる)
検討③ 熱交換器長100mあたりの冷暖房能力による熱交換器タイプの推移
検討④ COP(冷暖房効率(成績係数))による熱交換器タイプの推移

検討①地盤の有効熱伝導率の変動による熱交換器タイプの推移

まずは地盤の有効熱伝導率を変更することによる熱交換器タイプの推移を確認する。
境界条件として、6地域・地中熱交換器長は100mとし、定格冷暖房能力は5kW、定格消費電力1kWとした。
結果、地盤の有効熱伝導率が上昇するほど、相当最大熱交換能力が低下し、熱交換器タイプがタイプ5からタイプ2へ近づくことを確認した。

検討②熱交換器長による熱交換器タイプの推移

まずは熱交換器長による熱交換器タイプの推移を確認する。
境界条件として、6地域・地盤の有効熱伝導率は1.0W/m・Kとし、定格冷暖房能力は地中熱交換器長m÷20m/kW、定格消費電力地中熱交換器長m÷100m/kWとした。

結果、地中熱交換器長が変動しても相当最大熱交換能力へはほとんど影響がなく、熱交換器タイプも変化しないことを確認した。

検討③熱交換器長100mあたりの冷暖房能力による熱交換器タイプの推移

次に、熱交換器長100mあたりの冷暖房能力による熱交換器タイプの推移を確認する。
境界条件として、6地域・地盤の有効熱伝導率は1.2W/m・Kとし、熱交換器長は100m、COPは5とした。

結果、熱交換器長100mあたりの定格冷暖房能力小さいほど熱交換器タイプが向上した。
また、熱交換器長100mあたりの定格冷暖房能力と相当最大熱交換能力が正比例することを確認した。

検討④COP(冷暖房効率(成績係数))による熱交換器タイプの推移

最後に、COP(冷暖房効率(成績係数))による熱交換器タイプの推移を確認する。
境界条件として、6地域・地盤の有効熱伝導率は1.2W/m・Kとし、熱交換器長は100m、定格冷暖房能力は5kWとした。

結果、COPの上昇に伴い、相当最大熱交換能力は低下し、地中熱交換器タイプが向上されることを確認した。

ケーススタディ総括

前項までのケーススタディより6地域における熱交換器長100mあたりの定格冷暖房能力およびCOP、有効熱伝導率と相当最大熱交換能力の相関を整理した。

結果、熱交換器長100mあたりの定格冷暖房能力が小さいほどかつ、地盤の有効熱伝導率が小さいほど、COPが大きいほど、相当最大熱交換能力が小さくなり、地中熱交換器タイプが向上した。

まとめ

今回は省エネ計算上における地中熱ヒートポンプの地中熱熱交換器タイプの傾向について紹介した。
設計段階で様々な地中熱交換器タイプを検討する際の参考にしていただければと思う。

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