建築設備でよく使用するドライエリアとは -ドライエリアの意味や役割を紹介-

こんにちは。

建築設備設計初心者がまず聞きなれない建築に関する専門用語がたくさんある。
その一つが「ドライエリア」だ。
ドライエリアと言われればウェットエリアもあるのかなどと思われる方もいるだろう。
はたまた乾いた空間とはいったい何なのかと思考回路がフリーズする方も少なくない。

今回は比較的よく使用される建築用語の「ドライエリア」について意味や役割を紹介する。

左図にドライエリアのイメージを紹介する。
ドライエリアとは地面を掘り形成した屋外空間のことだ。
ドライエリアは地盤レベルよりも低い位置に設置される。
つまり地下部分に設置される。
また多くの場合はコンクリートで囲うようにドライエリアを形成することが多い。

ドライエリアの英訳

ドライエリアは和製英語だ。
英語では「Areaway」という。
そのためドライエリア自体にはそこまで直接的な意味はない。

ドライエリアの役割

①建築的に採光を確保

ドライエリアを設ける一つの理由としては地階への採光を確保するためだ。
窓のない空間に長時間滞在したことがある方もいるだろう。
窓のない空間に一日中いると気が滅入る。
窓がない地下室はまさにそんな空間だ。
これを回避するためにもドライエリアに面するように居室を設け、居室に窓を確保することがある。

②熱源機器等の搬入経路を確保

最近ではあまり見かけることが少ないが、熱源機器を地下階に設置する場合にドライエリアを設けることがある。
特に中央熱源の吸収式冷温水発生機などの大型機器を建物地下階に設置する場合はドライエリアの設置がほぼ必須だ。
エレベーターでは大型機器の搬入はできないからだ。
熱源機器の搬入経路にドライエリアを設ける際はほとんどの場合において設備諸室が熱源機械室に面している必要があることにも注意が必要だ。

③地下階の換気経路を確保

地下階の換気経路を確保する場合にもドライエリアが設けられることがある。
ただ実情としては前項で紹介した大型機器の搬入や採光といった理由がないとドライエリアが設けられることはほとんどないだろう。
換気経路だけであれば一部のスペースをDS(ダクトスペース)として確保すれば地上階で給排気を行うことが可能だからだ。

だがせっかくドライエリアが設けられているのであれば地下階で給排気を確保することも一つだ。

但し地下階で居室に対し給排気を行う場合に保健所へ事前に確認しておくことをおすすめする。
(特に特定建築物となる場合。)

特定建築物に該当する場合は建築確認申請時に給排気の位置について保健所から指導されることがあるため注意が必要だ。

④小型空調機器の設置

せっかくドライエリアが設置されているのであれば小型空調機器(パッケージエアコン)を設置することも考えられる。
こちらも前項同様に小型空調機器の設置だけのためにドライエリアが設置されることはほとんどない。

空調機器をドライエリアに設置する場合の注意点はショートサーキットが起こらないように配慮することだ。
あまりにも多くの室外機を設置するとショートサーキットにより空調が効かない恐れがある。

まとめ

今回は比較的よく使用される建築用語の「ドライエリア」について意味や役割を紹介した。
ドライエリアの意味や使い勝手を認識しておくことでスムーズに設計を行うことができるだろう。

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