BPIの向上に伴う省エネ効果(BEIの値)

こんにちは。

近年では、建物の脱炭素化の促進のため、省エネ法においても、より一層厳しい基準が設けられた。
つまり、今後の設計においては、より省エネに配慮した計画を行う必要がある。
しかし、省エネ法を満足するための省エネ技術の導入の幅(量)については、いまいちわかっていない方も少なくはない。

省エネ技術の中でも、外皮性能の向上は設備システム全体のボリュームに影響を与える。
そのため、ある程度のグレード感を持った外皮性能の担保は、省エネ法を満足するうえでは必要不可欠である。

今回は、外皮性能の向上に伴う省エネ効果(BEI)について紹介する。

外皮性能と省エネ法

BPIとは

外皮性能は省エネ法ではBPIと表現される。
BPIは無次元であり、BPIの値が小さいほど、外皮性能が高いことを示す。
また、2025年度時点においては省エネ法では直接的にBEIの基準値については設定されていない。
しかし、後述するとおり、BPIが向上することで、空調負荷が低減され、空調容量へも影響を与える。
さらに、省エネルギー性能(BEI)が向上する。

BPIとは
外皮性能を測るための指標。
BPI=1.0は、基準建物における基準値を示す。
ただし、省エネ法ではBPIに関する規制は設けられていない。
(外部認証を行う場合を除く。) BPIが小さいほど外皮性能が高いことを示す。

BPIと空調容量

BPIの低減量とそのときの外皮の仕様変更による熱負荷の低減量からBPIと空調容量の変動について確認を行う。
実際には建物により熱負荷傾向が大きく異なるため、あくまでも参考値となる。

サンプル建物
BPI 1.07
BEI 1.00
非空調コア 東面
ペリメーター 西面が主と想定
窓性能 単板ガラス

建築研究所より一般公開されているサンプル建物(事務所用途、延べ面積約10,000m2、モデル建物)を使用した。
また、非空調コアは東面であることから、空調対象室の主なペリメーターの方位は西面と考えられる。
また、外皮については、単板ガラスと複層ガラスが混在していたため、比較を容易とするため、すべて単板ガラスへと変更した。
このときのBPIは1.07となりBEIは1.00となった。

窓性能の変更
BPI0.91
BEI0.98
非空調コア東面
ペリメーター西面が主と想定
窓性能Low-eガラス(2LsA06)

窓性能をLow-eガラスに変更した場合におけるBPIとBEIはそれぞれ、0.89と0.98となった。(BPIについては、▲0.16ポイント低減)
ただし、BEI算定にあたっては、実際に熱源容量が変化しているため、熱源容量を加味したうえで、BEIを再度算出する必要がある。

こちらの記事よりガラス面の向上による夏期最大熱負荷の低減について、紹介している。
この記事によれば、単板ガラスからLow-eガラスへの変更により10,573Wから8,200Wへと低減している。(22.4%の低減)
この低減の量については実際には、ガラス面負荷以外の室内負荷や外気負荷についても対象としている。
そのため、ガラス性能変更分だけの低減率よりも小さく見積もっていることとなる。
しかし、実際に熱源選定の際には、方位によって、負荷特性が異なり、その負荷特性を考慮したうえで、熱源選定を行う。
そのため、本検討では22.4%を用いることとする。

BEIの低減量0.16に対して、熱源容量が22.4%低減すると仮定すれば、BEI0.01低減することに1.4%熱源容量が低減することとなる。

BPIの向上によるBEIの変化

BPIを向上に伴うBEIの変化について紹介する。
BPIが0.01向上することに、熱源容量を1.4%低減させて検討を行うこととした。
また、熱源の単体COPは変更がないように、消費電力や燃料消費量を変更することとした。

BPIとBEIの推移
Case BPI BEI
Case0 BPI=1.07 BPI=1.00
Case1 BPI=0.91 BPI=0.97
Case2 BPI=0.87 BPI=0.96
Case3 BPI=0.85 BPI=0.96
Case4 BPI=0.82 BPI=0.95
Case5 BPI=0.76 BPI=0.95

BPIの低減に伴い、BEIも低減する傾向が見られた。
しかし、BPIの数値がある程度小さくなると、BEIの数値の変動が小さくなる傾向となる。

まとめ

今回は、外皮性能の向上に伴う省エネ効果(BEI)について紹介した。
BPIが向上することにより、BEIも向上することが確認できた。
具体的にはモデル建物法においては、おおよそ5%程度のBEIの向上が見られた。

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