こんにちは。
機器本体からの振動を抑えるため防振装置を導入することがある。
防振装置は主に、建築躯体と建築設備機器の間に設置され、建物の振動を極力抑える役割をする。
一般的に振動を抑えるためには、ゴムやスプリングを防振装置として採用し、振動を吸収する。
しかし、振動を吸収する代わりに設備機器本体が揺れるようになる。
つまり、防振装置を採用する際には設備機器本体が揺れ、二次的な被害が発生しないように配慮する必要がある。
今回は、防振装置を採用する際に気をつけることについて紹介する。
防振装置とは
防振装置を左図に示す。
防振装置とは、二種類の架台から構成される。
その二種類の架台の間にゴムやスプリングなどの防振材を設置することで、衝撃を吸収する役割がある。
設置イメージ
防振装置は建築躯体と建築設備機器の間に設置される。
建築躯体と建築設備機器の間に設置することで、建築設備機器からの振動の伝播を防振装置で吸収することが可能となる。
防振装置を設置する際に気をつけること
防振装置を設置すると設備機器が揺れる
防振装置を設置すると設備機器が揺れるようになる。
そのため、設備機器の揺れに配慮した設計を行う必要がある。
項目 | 防振装置無 | 防振装置有 |
---|---|---|
振動の伝播 | 大きい | 小さい |
設備機器の揺れ | 小さい | 大きい |
水平震度
地震が発生した際には、同じ横揺れでも、防振装置を使用している機器のほうが横揺れが大きくなる。
そのため、大きな揺れを考慮したうえで、設計用水平震度の設定を行う必要がある。
設計用水平震度とは、設計上どのクラスの地震までに対して、耐えられるようにするかといった、設計用の設定値のことである。
大きく、「特定の施設」と「一般の施設」分類され、「重要機器」と「一般機器」で細分化される。
(設計用水平震度は施主と相談して決定することが多い。)
設計用水平震度 | |||||
設置場所 | 機器種別 | 特定の施設 | 一般の施設 | ||
---|---|---|---|---|---|
重要機器 | 一般機器 | 重要機器 | 一般機器 | ||
上層階、屋上 | 機器 | 2.0 | 1.5 | 1.5 | 1.0 |
防振支持の機器 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 1.5 | |
水槽類 | 2.0 | 1.5 | 1.5 | 1.0 | |
中間階 | 機器 | 1.5 | 1.0 | 1.0 | 0.6 |
防振支持の機器 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.0 | |
水槽類 | 1.5 | 1.0 | 1.0 | 0.6 | |
1階・地下階 | 機器 | 1.0 | 0.6 | 0.6 | 0.4 |
防振支持の機器 | 1.0 | 1.0 | 1.0 | 0.6 | |
水槽類 | 1.5 | 1.0 | 1.0 | 0.6 |
機器の転倒防止金具
防振装置を設置することで、設備機器が揺れるようになる。
そのため、機器の転倒防止金具についても揺れに配慮した器具とする必要がある。
普通であれば、下図に示すような転倒防止金具を設置する。
しかし、上図のように固定をしてしまうと機器本体が揺れなくなるため、防振装置を設置しても、振動の軽減を図ることができない。
したがって、金具の代わりにワイヤーを使用して、設備機器の揺れに対して遊びを残す事が多い。
ドレン管
意外と盲点であることが、ドレン管に遊びを残していないことである。
例えば、室内機(床置)の場合においては、室内機からの発生するドレンに対して排水管(ドレン管)を接続する必要がある。
設備機器は揺れる一方で、ドレン管に遊びがないと、最悪の場合ドレン管が破断してしまう恐れがある。
実際には透明ホースを使用することで配管に遊びをもたせる。
まとめ
今回は、防振装置を採用する際に気をつけることについて紹介した。
防振装置の利点を最大限生かせるような配慮を行うことで、防振装置の効果をより活かすことが可能となる。
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