設計者が必ず押さえておきたい天井裏の納まり

いままで現場に入ってからダクトが納まらない配管が納まらないなど言われたことあるはずだ。
その際に問題なことが特に何が納まって何が納まらないのかをそもそも設計者が把握していないと判断そのものがなかなか難しい。
今回はそんな天井裏の納まりについて基本的な考え方を紹介する。

建築的要点

まずは建築的な要件から。
確認するべき事項一覧を以下に挙げる。
1.階高
2.天井高さ
3.天井仕上げ材厚さ
4.梁下がり(FLマイナス○○など)
5.梁の大きさ(梁せい)
6.その他

1.階高
まず一番最初に把握するべき事項が階高だ。
階高は天井裏の懐を決定する一番の要因になるかつ、設計後半での変更は大変な変更になってしまうため最も重要だ。

2.天井高さ
天井高さも同様に天井裏のおさまりに影響する。
特に意匠担当は階高も大してない割には天井高さを確保しようとする。
設備的視点からその天井高さが無理なら無理ではっきりと発言することをお勧めする。

3.天井仕上げ材厚さ
かなり細かいが天井の仕上げ材厚さも天井裏のおさまりに影響を与える。
但し設計初期段階ではそこまで細かく詰められていないかと思うので余裕をもって最低でも100mm程度は見込んでおきたいところだ。

4.梁下がり
次は梁が上階のFLからどの程度下がっているかを確認する必要がある。
単純にOAフロアがある場合は最低でも100mm以上は梁が下がる。
他にも上階の室用途が特殊だったりすると更に梁が下がる場合があるため留意が必要だ。

5.梁の大きさ
梁せいが大きいほど天井裏の納まりが不利な方向となり、こちらも同様に後からの変更がかなり困難なため設計初期に検討したい部分だ。

6.その他
実際には防煙垂れ壁やスライディングウォールなどその他要件により天井裏が若干いじめられることがあるため注意が必要だ。(今回は省略する)

ダクトのサイズ

納まりを検討する上で最もインパクトが多いダクトの納まり。
ダクトの納まりは階高の納まりに直結するためダクトが納まらないとなると致命的な問題になりやすい。

 

ダクトの種類を以下に紹介する。
①保温が必要なダクト
・給気ダクト、外気ダクト、厨房排気ダクト
②保温が不要なダクト
・還気ダクト、排気ダクト

通常保温が必要なダクトに関してはグラスウール25mmを設けることが多い。
但し厨房排気ダクトについては消防法よりロックウール50mmが必要であるため注意が必要だ。

従ってダクトのサイズ(高さ方向)以下の通りとなる

還気ダクト_ダクトサイズ+0mm
排気ダクト_ダクトサイズ+0mm
外気ダクト_ダクトサイズ+50mm
給気ダクト_ダクトサイズ+50mm
厨房排気ダクト_ダクトサイズ+100mm

配管のサイズ

次は配管のサイズについて

基本的には水を含んでいる配管で常時使用する配管に対しては保温が必要だ。
保温の厚さについては配管の種別や径により異なるため注意が必要だ。

保温を行わない配管の代表例としては消火配管だ。
消火配管については常時使用しない配管であり配管内の水温が外部とだんだんとなじんでくる、また温度が多少変化しても特に用途上支障がないため特に保温が不要だ。

設備ダクトや配管と天井裏の納まり

天井裏の配管イメージを記す。
配管の周囲に保温がありその配管が天井裏の梁下を横断している様子だ。

基本的には梁下に保温を考慮した配管やダクトが物理的に納まっていれば納めることは可能だろう。
とはいえ天井裏懐有効寸法=保温を考慮した配管径だと施工誤差もあるため実際には納まらないため注意が必要だ。
具体的には配管上下含みで天井裏懐有効寸法=保温を考慮した配管径+100mm程度あれば十分だろう。
100mmあればダクトの場合はフランジ(通常周囲に30mm必要)のおさまりも気にする必要がないため十分に納まるだろう。

まとめ

天井裏ふところにダクトや配管を納めるための建築的諸条件や設備的要件について説明した。
建築的な諸条件については天井高さや梁せいのみならず梁下がりや天井厚さについても実際には考慮が必要なことを説明した。
特にダクトや配管には保温が必要なケースがあるためこれらの加味した検討が必要である。
他にも考慮すべき点は多々あるが基本的な考え方をもとに建築や施工者と協議できるようになっていただくことを望む。

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