低温室隣室の結露

こんにちは。

実験施設や研究所、その他厨房の一角などに低温室(冷蔵室や冷凍室)を計画する場合がある。
もしくは建物全体が冷蔵冷凍倉庫のような施設もある。

そんな時に特に気にしなければならないことが結露だ。
結露を通じてカビが発生し健康被害が発生する。

今回は低温室隣室の結露が発生する理由とその対策について紹介する。

例えば厨房用の冷蔵庫、冷凍庫は4℃や-20℃であったりする。
低温室から壁面を通じて冷たい熱が隣室に漏れ出す。
全く断熱がなければ壁面温度が4℃や-20℃となる可能性がある。
断熱を十分に行うことで隣室壁面の表面温度を上昇させることができる。

結露が発生する理由

下図に空気線図を紹介する。
隣室壁面付近の空気が冷やされることで徐々に相対湿度が上昇する。
やがて室内空気が露点温度まで達する。
露点温度以下に空気温度が下がると結露が発生する。

空調室の温湿度

一般諸室の室内温湿度

空調が行われている一般諸室の室内温湿度は通常以下の通りだ。

室内温湿度
夏期26℃,50%
冬期22℃,40%

空調室室内空気の露点温度

空調室室内空気の露点温度は夏期の場合は約15℃、冬期の場合は約8℃だ。
つまり壁面付近の空気温度がこれらの温度を下回るときに結露が発生する。

非空調室の温湿度

非空調室の室内温湿度

非空調室の室内温湿度は外気を直接導入しているかにより大きく変わる。
外気度直接導入している場合は
非空調室内温湿度 ≒ 外気温湿度
となる。
一方で居室の空気を利用して排気等行っている場合は
非空調室内温湿度 ≒ 空調室の室内温湿度
となる。

非空調室室内空気の露点温度

非空調室室内空気温度について外気を直接導入している場合は、外気の温湿度に左右される。
そのため露点温度が25℃程度となるような場合もある。

一方で空調室の空気を利用している場合は前項でも紹介した露点温度(夏期の場合は約15℃、冬期の場合は約8℃)となる。

いずれの場合においても隣室壁面付近の空気温度がこれらの露点温度を下回った場合に結露が発生する。

結露対策

断熱をさらに行う

結局のところ結露する箇所壁面の温度が低いことが一番の原因だ。
断熱をさらに行うことで壁面温度を上げることが可能だ。
壁面温度が上がることで結露を発生しづらい環境を作り上げることが可能だ。

空気を循環させる

空気を循環させることで結露対策を行うことも可能だ。
空気が滞留していると壁面付近の空気温度とその他の場所で温度ムラが発生する。
空気を循環させることで室内の温度ムラを発生させづらくさせる。

但し一切除湿をしているわけではないので結露に対する根本的な解決にはなっていない。
そのため室内全体の空気温度が露点温度を下回った場合は空気を循環させることでより結露を誘発することにもつながる。

空調室の場合は比較的結露が発生しづらい

低温室の隣室が空調室の場合は基本的に結露が発生しづらい。
理由としてはある程度調湿されているうえに室内発熱もある程度発生する。
そのため空調室内の空気が露点温度を下回ることは考えづらい。
(但し夜間など空調が運転されていない時間帯は非空調室と似た条件となってしまい結露が発生する可能性が一気に上昇する。)

生外気を導入しない

例えば梅雨の時期がイメージしやすいかと思う。
湿度がほぼ100%の空気を直接室内へ導入することで結露が発生する可能性が一気に上昇する。
湿度が100%ということは既に露点温度に達している状態だからだ。

非空調室を通じて空調室の空気を排気

空調室で使用した余剰空気を非空調室を通じて排気することで結露対策を行うことが可能だ。
室内の空気は夏期であれば26℃50%、冬期であれば22℃40%だ。
また露点温度は夏期の場合は約15℃、冬期の場合は約8℃だ。
非空調室内空気が露点温度を下回らなければ結露は発生しづらい。

除湿器や外調機を導入

費用がある程度かかるが除湿器や外調機を導入することも考えられる。
これらを導入する案については以下の記事で紹介しているため興味がある方は参考にしていただければと思う。

まとめ

今回は低温室隣室の結露が発生する理由とその対策について紹介した。
結露の対策はどのようにして室内空気を露点温度以下とさせないようにするか、もしくは壁面温度をどのようにして上昇させるかを考えると整理しやすい。
本稿を参考により結露に対する理解を深めていただければと思う。

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