自動制御設備の役割 -自動制御設備でできることやBEMSについて紹介-

こんにちは。

建築学科を卒業してから就職した方は特にだが、自動制御設備が今一つ何だかよくわからないという方が多い。
自動制御設備は主に電気工学科等によった、かなり特殊な分野だ。
しかし、建築設備業界に従事する以上、自動制御設備から逃れることはできない。
自動制御設備がわからないと、建物の省エネ化や自動化ができないからだ。

今回は自動制御設備の役割を紹介する。

自動制御設備は建物内に設置されている設備機器に対して指令を出して制御を行ったり、監視することができる装置だ。
例えばファンに対して、日中の9時から17時まで運転を行うようにスケジュールを組んで、自動的にファンを発停(運転と停止)させることができる。
その他にもエアコンを使用できない時間帯を設定することも可能だ。
機器を自動で動かしたい場合は自動制御設備が必要となる場合が多い。

自動制御設備でできること

自動制御設備でできることは大きく以下の5種類に大別できる。

自動制御設備でできること
機器の操作
機器の状態の監視
機器の故障を監視
室温等の計測・監視
使用水量や電気使用量等の計量

①機器の操作

冒頭でも紹介したが機器を自動的に動かすことが可能だ。
もし自動で動かさない場合は、壁面に設置されるであろうスイッチや機器本体に附属されているスイッチを使用し、手動で機器のON/OFFを行う必要がある。

自動制御設備があれば例えば左図のような制御を行うことも可能だ。
室内に温度計を設置し、室内温度に応じて給気量と還気量をコントロールすることが可能だ。

VAVについてより深く学びたい方は以下の記事を参考にされたい。

VAV廻りの制御は左図のイメージとなる。
室内温度に応じてVAV開度が比例制御される。
冷房運転時であれば、室内温度が高いほど、VAVの開度が大きくなり、風量が増加する。

暖房運転時の場合は先ほどの線が左右逆となる。
室温が低いほどVAVの開度が大きくなり、風量が増加する。

②機器の状態を監視

機器の状態を監視
A機器が運転している
B機器が停止している

機器の状態を監視するとは大きく機器が運転しているか機器が停止しているかを確認することが可能だ。
機器を操作する場合は機器が運転しているか停止しているかがわかるようにする必要がある。

③機器の故障を監視

機器の故障を監視
A機器が異常であることを知らせる

機器の故障を監視するとは機器に異常が発生していないかどうかを監視することだ。
機器の異常は大きく2種類が考えられる。

機器の異常の種類
A機器自体が故障した場合
B制御上上手くいかず
機器が運転できない場合

機器自体が故障した場合は異常を発報する。
この場合は機器を更新する必要があることが多い。
一方で制御上上手くいかず機器が運転できない場合も異常を発報することがある。
あまり聞かないが、複雑な制御を構築した際に、制御に組み込まれていない例外的なエラーが発生する場合等だ。

④室内温度の計測・監視

計測の種類
A室内温湿度
BCO2濃度等

室内温度の計測や監視を行うことも可能だ。
主に室内温湿度やCO2濃度を監視することが多い。
また、PM2.5等外部出力が可能な機器を用いれば、それらの情報も吸い出すことが可能だ。

⑤使用水量や電力使用量等の計量

計量の種類
A使用水量
B電力使用量
C使用熱量等

自動制御により使用水量や電力使用量を把握することができる。
その他にも空調の使用量(熱量)等も計量することが可能だ。
建物内に複数のテナントを抱える場合はこれらの情報より、課金額を容易に集計することも可能だ。

BEMSとは

BEMSとはBuilding and energy management systemの略であり、日本語ではビルエネルギーマネジメントシステムとも呼ばれる。
BEMSは自動制御設備で収集した情報をわかりやすくグラフなどで可視化するための設備をいう。
BEMSがなくてもデータ自体は蓄積されている。
(多くの場合はcsvデータで出力が可能だ。)
そのため、知識さえあればBEMSで表示可能なグラフを精製することが可能だ。
だが、専門的な知識がないとデータの扱いが非常に難しいこともあり、見える化を行いたい場合はBEMSを導入することも多い。
また、常時リアルタイムでグラフを精製できる点もBEMSの大きな特徴だ。

まとめ

今回は自動制御設備の役割を紹介した。
自動制御設備があれば、頭の中で考えていることであれば、ほとんどが実装可能だ。
そのため、自動制御設備をより身近に感じていただければと思う。

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