ホーム > 機械設備一般 事務所用途の省エネ施策とBEI値の推移 2025.03.012025.03.08 こんにちは。近年、省エネ法の改正により、省エネ基準がより厳格化された。省エネ基準の引き上げに伴い、より省エネに考慮した設備計画を行う必要がある。しかし、どの程度の省エネ化を図ればどの程度BEI(省エネ法上の年間エネルギー消費量基準値に対する、想定される年間のエネルギー消費量の割合)となるのかをイマイチ理解できていない方も多い。今回はBEIの意味ならびに事務所用途における省エネ施策とBEIの推移について紹介する。 コンテンツ BEIとは基準エネルギー消費量は地域により異なる基準エネルギー消費量は地域により異なるエネルギー消費量は室用途により異なる省エネ施策とBEI推移条件設備詳細ケーススタディ各省エネ施策とBEI、一次エネルギー消費量推移一次エネルギー消費量低減割合一次エネルギー消費量割合まとめ BEIとは BEIとは、省エネ法上の年間基準エネルギー消費量に対する、想定される年間のエネルギー消費量の割合を示す。 BEIの算出方法 BEI = 想定されるエネルギー消費量 / 基準エネルギー消費量 基準エネルギー消費量は地域により異なる 基準エネルギー消費量は地域により異なる特徴がある。具体的には左図のとおり、地域により1地域から8地域に大別される。 基準エネルギー消費量は地域により異なる 基準エネルギー消費量は室用途と地域により異なる特徴がある。下図に事務所用途における地域別基準エネルギー消費量を示す。基準エネルギー消費量のうち、主に空調および給湯用途のエネルギー消費量が地域によって異なる。 エネルギー消費量は室用途により異なる エネルギー消費量は室用途によっても異なる。下図に6地域における事務所用途の各室基準エネルギー消費量を示す。室用途によって、大きくエネルギー消費量が異なることが確認できる。 省エネ施策とBEI推移 条件 省エネ施策とBEIの推移を確認するにあたって、今回は事務所用途とし、標準入力法による計算とした。また、規模は約10,000m2で7階建ての以下の室構成とした。 出典:本_H25 省エネルギー基準に準拠した算定判断の方法及び解説_非住宅_第2版 設備詳細 設備詳細 熱源機 吸収式冷温水発生機 2台 冷却能力703kW/台 加熱能力588kW/台 COP 1.09(冷房) 0.83(暖房) 能力:187W/m2(冷房)、156W/m2(暖房) 一次ポンプ 2台 消費電力7.5kW/台 冷却塔 2台 消費電力7.4kW/台 冷却水ポンプ 2台 消費電力15.0kW/台 二次ポンプ 2台 消費電力7.5kW/台 (5℃差) 定流量制御 空調設備 空調機 14台 定風量制御、全熱交換器無 ファンコイルユニット 8台 パッケージエアコン 4台 全熱交換器 4台 熱交換効率:60% 換気設備 給排気ファン 40台 定風量制御 照明設備 各種照明 1,736台 11.5W/m2 給湯設備 ガス給湯器 1台 能力:20kW、効率:0.94 電気温水器 28台 能力:1.1kW/台、効率:0.37 昇降機設備 昇降機 2台 積載量800kg 速度60m/min 太陽光設備 太陽光パネル 1台 12.2kW、南向き、傾斜角30° ケーススタディ 基準のモデルから、以下の条件を変更しケーススタディを行った。 項目 変更内容 変更前 変更後 0_基準 1-1_冷温水発生機高効率化 冷房時COP:1.09 暖房時COP:0.83 冷房時COP:1.35 暖房時COP:0.89 1-2_台数制御 熱源台数制御無、二次ポンプ台数制御無 熱源台数制御有、二次ポンプ台数制御有 1-3_モジュールチラー 冷温水発生機 モジュールチラー 1-4_二次ポンプ変流量 二次ポンプ定風量制御 二次ポンプ変風量制御 1-5_大温度差 温度差5℃、一次ポンプ7.5kW、二次ポンプ7.5kW 温度差7℃、一次ポンプ5.5kW、二次ポンプ5.5kW 2-1_空調機INV 事務室系統空調機_定風量制御 事務室系統空調機_変風量制御 2-2_空調機全熱交換器 事務室系統空調機_全熱交換器無 事務室系統空調機_全熱交換器有 2-3_空調機外気取り入れ停止 事務室系統空調機_外気取り入れ停止無 事務室系統空調機_外気取り入れ停止有 2-4_空調機外気冷房 事務室系統空調機_外気冷房無 事務室系統空調機_外気冷房有 4-1_LED化 – LED化 4-2_在室検知制御 トイレ、給湯室、更衣室_在室検知制御無 トイレ、給湯室、更衣室_在室検知制御有 4-3_明るさ検知制御 事務室_明るさ検知制御無 事務室_明るさ検知制御有 4-4_初期照度補正 初期照度補正無 初期照度補正有 5-1_給湯配管保温高断熱化 保温仕様2 保温仕様1 6-1_昇降機効率 VVVF(電力回生なし) VVVF(電力回生あり、ギアレス) 7-1_太陽光発電 システム容量12.2kW システム容量24.4kW 各省エネ施策とBEI、一次エネルギー消費量推移 省エネ施策別のBEIおよび一次エネルギー消費量の推移を示す。より多くの省エネ施策を建物に導入するほど、BEIおよび一次エネルギー消費量が低下していることが確認できる。 一次エネルギー消費量低減割合 下図に一次エネルギー消費量の低減割合を示す。各省エネ施策を導入することで、空調設備並びに照明設備の一次エネルギー消費量が低減されていることが確認できる。 一次エネルギー消費量割合 一次エネルギー消費量割合を下図に示す。省エネ施策を導入することで、空調設備ならびに照明設備の一次エネルギー消費量割合が低下していることが確認できる。 まとめ 今回はBEIの意味ならびに事務所用途における省エネ施策とBEIの推移について紹介した。今後特にZEB oriented や ZEB ready が求められるケースが増えてくる。そのため、どのような省エネ施策をどの程度導入すれば、これらの基準に到達するかを感覚的に掴むことも大切である。
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