こんにちは。
建築設備業界に携わっていると、「これは建築工事」「これは機械設備工事」「これは別途工事」といった用語を頻繁に耳にする。
これらの区分に慣れていれば特に問題はないが、初めて聞いた場合には意味が分かりづらいことも多い。
本記事では、建築工事、機械設備工事、別途工事といった工事区分の概要について解説する。
建物の建設には、多くの施工業者が関わる。
一般的に「建物」と聞くと、外装や骨組みといった建築工事を想像する人が多い。
しかし、実際には、照明・コンセントなどの電気設備工事や、空調・換気・給排水などの機械設備工事も含まれている。
これらの工事は、専門分野に応じた業者が担当する。
たとえば、空調設備だけを請け負う業者も存在する。
このように、複数の業者が一つの建物を完成させるため、どの業者がどの部分を担当するかを明確にする必要がある。
これを「工事区分」と呼ぶ。
工事区分の種類
工事区分について、機械設備工事と電気設備工事を中心に紹介する。
建設工事は大きく建築工事、機械設備工事、電気設備工事、昇降機設備工事に分類される。
また、機械設備工事は空気調和設備や換気設備、給水設備、消火設備等に細分化される。
| 工事区分 | |
|---|---|
| 1.建築工事 | |
| 2.機械設備工事 | |
| 空気調和設備 | |
| 換気設備 | |
| 排煙設備 | |
| 自動制御設備 | |
| 衛生器具設備 | |
| 給水設備 | |
| 排水設備 | |
| 給湯設備 | |
| 消火設備 | |
| ガス設備 | |
| 厨房機器設備 | |
| 雨水利用設備 | |
| 工事区分 | |
|---|---|
| 3.電気設備工事 | |
| 電灯設備 | |
| 動力設備 | |
| 電気自動車用充電設備 | |
| 電熱設備 | |
| 雷保護設備 | |
| 受変電設備 | |
| 電力貯蔵設備 | |
| 発電設備 | |
| 機内情報通信網設備 | |
| 構内交換設備 | |
| 情報表示設備 | |
| 映像・音響設備 | |
| 拡声設備 | |
| 誘導支援設備 | |
| テレビ共同受信設備 | |
| 監視カメラ設備 | |
| 駐車場管制設備 | |
| 防犯・入退室管理設備 | |
| 火災報知設備 | |
| 中央監視制御設備 | |
| 4.昇降機設備工事 | |
工事区分の設定方法
設計段階では、建築・電気・機械それぞれの設計担当者が工事区分について協議し、図面に整合性を持たせる必要がある。
出典:TOTOホームページ
たとえば、水廻り設備に関しては、手すりや化粧鏡を建築工事とするか機械設備工事とするかで不整合が起きやすい。
また、システムトイレのように設備が一体化されている場合には、衛生器具類が建築工事に含まれることもある。
出典:東伸電工ホームページ
さらに、空調衛生機器の動力盤まわりでは、機械設備工事と電気設備工事の間で区分の調整が必要となる。
多くの設計事務所や施工業者は、あらかじめ標準的な工事区分を設定し、設計図に添付して対応している。
しかし、建物の仕様や条件によっては、標準の工事区分ではカバーできないケースもある。
そのため、事前に詳細な打ち合わせを行い、関係者間で整合性を図ることが重要である。
別途工事とは
上述した各種工事は、建設工事の一部として計上されることを前提としている。
一方で、「別途工事」とは、これらの建設工事に含まれない工事を指す。
たとえば、消火器やポータブル除湿器などは、建物の備品として扱われ、建設工事とは別に設置される。
また、事務所内のコピー機などの什器も、別途工事として扱われることが一般的である。
まとめ
本記事では、建築工事・機械設備工事・別途工事といった工事区分について解説した。
これらの区分を事前に明確にしておかなければ、現場で工事費が増加するリスクがある。
工事契約後に施主側が予備費を確保していない場合、増額対応が困難となり、他の工事項目を減額しなければならなくなる恐れがある。
このような事態を未然に防ぐためにも、設計段階での工事区分の整理と、関係者間の合意形成が極めて重要である。

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