電気関係の盤と制御関係の盤の関係

今回は電気関係で使用する盤と制御廻りで使用する盤の関係性について説明する。特に電気担当と調整するために必要な盤関係のみを抜粋した。主には熱源や空調、換気廻りで使用する盤について触れる。 空調側の人間としてはよくわからない部分も大きいが一度理解すれば意外とそんなに難しくはない。

電気の担当者と調整するときは以下の点を基本とするとよい。

①容量も小さく複雑な制御を必要としない場合は単相
②連動が必要な場合や電気容量が大きい場合は三相
③なお家庭用コンセントは100V15Aなので1.5kW
つまり1.5kWを目安に少なくとも三相とする必要がある。
 (基本的に1.5kW以上で単相は通常見かけることはない)
④インバータは機器附属でない限りは電気工事
⑤連動については複雑な連動でない場合は電気工事、
 複雑な場合は自動制御工事。
1.盤の種類

主に電気担当と調整するにあたり主に話に出てくる盤を説明する。大きく分けて4種類(+1種類)
電気側の盤であるP盤(三相用)、L盤(単相用)、M盤(P盤とL盤が混じったもの)、自動制御側の盤としてRS盤(制御の意味ではCP盤が正しいが煩雑になるためRS盤として説明する)、インバータ盤(インバータを結果的に格納するとインバータ盤と呼ばれる)

基本的には以下のイメージ。
P盤・・・大きな動力を使用する場合に使用するもの。
L盤・・・小さな機器を動かす場合。照明、コンセント、単相ファンなど
RS盤・・・中央監視設備からの情報や各機器側からの情報を集約し
     設備機器をコントロールするための盤

原則的な基本的事項として
電気を扱うものは電気工事
制御関係は自動制御工事とすることが多い。
(もちろんどちらでもそれぞれの工事を行うことは可能)

理由としては通常電気工事で行うものを自動制御工事で行う場合、
自動制御メーカーが電気工事を行うこととなる。
自動制御メーカー側は電気用の盤を持ち合わせていないため
盤を他社から取り寄せることとなるため費用が高額となることがあげられる。
また費用縮小のため自動制御盤に抱かせる場合は制御関係の盤に動力関係の盤が格納されることとなる。動力関係の盤は発熱するため自動制御側の装置が壊れることがある。(自動制御関係の機器は耐熱40℃程度)

一方で電気設備工事で自動制御工事を行う場合のケースを考えてみる。
例えばファンとファンの連動程度であれば、ただ単に連動回路を組むだけなので特に難しくない。それがいきなり中央熱源で熱源の発停や熱負荷に応じてポンプ廻りを比例制御したり、差圧をとって2次ポンプを制御したりといった部分や、中央からの設定値の変更に対応すること自体が非常に困難。全くできないこともないようだが、そもそも電気設備的内容しか知らない業者が何も問題なしにこれらの制御を取りまとめること自体が困難。

従ってあくまでも制御は自動制御工事、それ以外は電気工事とすることが望ましい。

2.単相ファンの場合

赤を電気工事、青を自動制御工事として模式化した。
通常単相ファンの場合はファンのみが機械設備工事でそれ以外が全て電気工事となる。
特に制御というわけではないので全て電気工事で十分であり、この程度のみの建物であれば建物に自動制御自体が不要である。

3.単相ファンを連動させる場合

単相を連動させる場合を考えてみる。
通常単相で連動することは推奨されない。(決してできないことはないが)
もしどうしても連動させる場合は三相にすることをお勧めする。
単相の場合通常接点が1点しかない他の機器と連動させてかつ自身のファンを運転させることが通常できないため。
とはいえ簡単に連動させる方法としては手元スイッチ1つに対してファンを2台同時に動かすこと。
特に連動させているわけではないが、結果的に同時に動くためお手軽に組み込み可能。

4.三相ファンを連動させる場合

通常三相ファンを扱う場合は手元のスイッチでは発停しない。
(三相の場合スイッチの形状が異なりかなり大きなものとなるため)
(また三相用のスイッチは壊れやすいこともある)
従って何か他の物をトリガーにファンが動くこととなる。
例えば一例としては電気室だ。電気室内設置の温度によりファンを連動させる場合を考えてみよう。
温度に対してファンの運転を判断させる必要がある。またその温度帯を中央監視側にて変更可能だとした瞬間にその一連の危機に対して制御が必要となる。したがって温度計及びその制御盤については自動制御で施工する必要がある。そのRS盤からのトリガーをもとにP版に設置のブレーカーに発停を働きかける。発停を働きかけた後は電気配線での連動になるため電気設備工事によりファンが連動する。

5.三相ファンをインバータ制御+連動させる場合

基本的には4.と同じ考え方になるが、インバータの工事区分について確認する必要がある。通常インバータは動力を可変させる装置。従って電気配線の延長線上に組み込まれるものとなるため原則として電気工事。(機器附属の盤にインバータ盤が組み込まれている場合を除く)
ここで混同しやすいことがRS盤でインバータが何パーセントで動くか指示を出すためインバータの工事区分は自動制御では?と考えてしまうケース。あくまでもRS盤から吐き出す情報は4mA~20mAの信号線のみでそれ自体では電気配線の送電量を可変することができない。
従ってもしインバータを自動制御工事で行うとすると2ケース考えられるが現実的ではない。
①自動制御工事でインバータ盤を別途設置する。(単純に盤が1面増える)
②RS盤の中にインバータ盤を組み込む。(RS盤が壊れる可能性がある)
 そもそもインバータは電気配線関係の工事なので自動制御メーカーは苦手。

6.まとめ

今回はファンに関連した電気工事と自動制御工事の工事区分や考え方について解説した。一概に本内容の通りとは言えないケースも考えられるが、基本を習得するにあたっては十分だと考えられる。

とにもかくにも制御廻りは自動制御工事、電気配線廻りは電気工事だと覚えておこう。

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