こんにちは。
建築業界においては設計図を基に施工図を起こし、その施工図を基に建物が作られる。
例えばマンションやアパートで物件探しをするとき。
必ずと言っていいほど平面図を目にするはずだ。
平面図とはいわゆる間取り図のことでもある。
部屋の広さや部屋と部屋の位置関係。
トイレとバスルームは同室か別々か。
バルコニーはあるかなど、これらの情報は平面図で読み取ることができる。
ただ建物を建てるためにはこの平面図だけでは情報が不足している。
例えば天井の高さはどのくらいなのか、壁の材料は何を使えばよいのか等平面図以外にも描かなければならない図面がたくさんある。
水廻りはどの位置にどの品番を何個つけるのかといった衛生的な要素もある。
エアコンも同じだ。
施工する人からすれば図面がないとどのように工事したらよいかわからない。
施工側に設計の内容を伝える資料が設計図だ。
今回は機械設備における図面の種類について紹介する。
設計図といえば大きく5種類の図面に大別することができる。
(ここでは一般的な図面を指し、特殊な設備が必要な場合は別途項目が発生する。)
意匠図
主に建物の見た目や大きさなどを記した図面。
部屋の大きさや天井の高さ、各壁や床の材料の仕様等、外観、内観に影響する内容が記される。
部屋の大きさであれば何m x何mの部屋なのか。
床の材料であれば木材を使用するのか、それとも水が浸透しなくてもよい材料を使用するのかなどを記載する。
材料が決まったうえでその材料の厚さ等も記さなければならない。
構造図
建物の構造安全性に関わる図面。
建物の柱や梁、床などの構造体に関わる内容について記されている。
柱であれば柱の太さや柱にどの程度の配筋を見込めばよいか等が記載されている。
例えば意匠図と混同しやすい壁について。
部屋と部屋の間仕切り壁は基本的に建物の構造体には何ら影響はない。
(但しコンクリート等でできた壁であれば構造体に影響する可能性がある。)
そのため構造体に影響のない間仕切り壁は構造図では表現されないことが普通である。
電気設備図
建物の機能性に関わる図面。
例えば照明であれば品番や、数量、位置が記される。
その他にも身近なところだとコンセントも電気設備図に含まれる。
コンセントの数量や位置、形状、配線も記載されるべき内容だ。
よく住宅で見かける火災報知器も数量や位置、配線等も記載される。
機械設備図
電気設備同様に建物の機能性に関わる図面。
細かくは次項以降で紹介するが、主にエアコンや換気、給水、排水等が記される。
エアコンであればエアコンの品番や室内機と室外機の位置関係、配管のルート等だ。
その他水廻りであれば給水、排水の有無や配管のサイズ、給湯が必要なのかどうかといった内容が記されている。
機械設備図の図面構成
続いて機械設備の図面構成について紹介する。
機械設備図では大きく、共通(空調衛生で共通の内容といった意味)、空調設備、衛生設備に大別される。
表紙・図面リスト
表紙は主に工事名称を記載する。
また図面リストは機械設備図全体の図面構成をリスト化されたものが記載される。
特記仕様書
特記仕様書は機械設備図全般に関わる非常に大切な図面だ。
空調設備図、衛生設備に記載をしない仕様を一式文字や表にして表現した図面となる。
例えば公共工事では国交省でよく用いられる機械設備標準仕様書によること。などだ。
標準仕様書とは公共工事において必要な各材料や施工方法の仕様等を数百ページにわたって規定している書籍だ。
その他にもダクトの材料や配管の材料等材料関係についても定義する。
さらには建物完成前の各設備の検査項目を一式記したりもする。
特記仕様書だけで施工の内容や費用が大幅に変わることも少なくないほど重要な図面だ。
機器表
機器表では機器の仕様を一式記載する。
(表形式で記載されることが多い)
例えばエアコンであれば冷房や暖房の能力やその時の消費電力について記載される。
その他にも非常時の運転要否や機器の操作部(スイッチや中央監視等)も記載が必要だ。
(事務所ビルのように管理室等で集中的に管理するのかどうか等)
機器表では上記を整理して記載することとなる。
衛生器具表
衛生器具表とは主に衛生陶器の仕様や数量が示された図面だ。
例えば大便器や小便器の数量や品番を記載する。
他にも水栓や洗面器、洗面器前面に設置される鏡についても使用や数量が記載される。
制気口リスト等
○○リストといえば制気口リストがすぐ思いつくかと思う。
その他にもガラリチャンバーのリストや空調機チャンバーリスト、火気使用に伴う排気量計算リスト等もある。
制気口リストであれば制気口の種類や大きさ、数量を記載する。
加えて制気口ボックスの大きさやグラスウールの有無なども記載される。
系統図
系統図とは各機器と機器のつながりについて示された図面だ。
(特に平面図だけでは読み取りづらい部分について記載されている。)
例えばある室内機はどの室外機とつながっているかが記載されている。
その他にもダクトでいえばどの空調機からどの部屋へ空気が供給されているかがわかる。
平面図
平面図では細かなダクト、配管のルートや大きさ、設置高さ(天井なのか床下なのか)等が記されている。
細かな部分でいえば平面的に制気口やファン、ダンパーの設置位置が記される。
平面図だけで読み取れない機械室等は別途平面詳細図や断面詳細図が描かれることが多い。
まとめ
今回は機械設備における図面の種類について紹介した。
機械設備だけに限ったわけではないが図面の種類は非常に多岐にわたる。
また機械設備図は意匠図、構造図、電気設備図等他の工事と密接につながっている。
各図面がどんな内容を示しているのかとともにこれら他工事の図面の読み方くらいは理解しておくべきだろう。
コメント