空調用フィルタの種類ー -中性能フィルター、高性能フィルター、MERVの違い-

こんにちは。

普段何気なく設計している空調用フィルター。
そんな空調用フィルターだが最近では外部認証としてLEEDを取得する建物が増加している。
LEEDの各種評価項目はアメリカの基準(ASHRAE)で記載されている。
空調用フィルターもその評価の対象だ。
日本では質量法(重量法)や比色法が用いられるが、LEEDではMERVと呼ばれる規格が使用される。

今回は空調用フィルターの種類として中性能フィルター、高性能フィルター、MERV等について紹介する。

(参考)LEEDについて詳しく知りたい方は以下のリンクよりご確認頂きたい。

以下に各種基準による日本(JIS)とアメリカ(ASHRAE)の対比表と参考該当品を紹介する。
参考該当品に記載の各種フィルターは実際にはメーカーにより幅があるため、あくまでも参考だ。
なお高性能フィルターのさらに上位フィルターとしてHEPAフィルターやULPAフィルターがある。
だがいずれも以下に規定される基準よりもさらに厳しい基準となるためさらに別だしして紹介する。

日本アメリカ参考該当品
JISB9908:2011JISB9908:2001ASHRAE52.2
質量法(重量法)比色法MERV
65%未満 –1 
65% –2 
70% –3 
75% –4 
80% –5 粗塵フィルター
(プレフィルター)
80% –6 
90% 40%7 
90%40%8 
 50%9 
 50%10 
 60%11中性能フィルター 
 75%12 
 90%13 高性能フィルター
塩害対応フィルター
 95%14 
 98%15 
 –16 
出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieiej/39/2/39_87/_pdf/-char/enにアレンジを加えて作成
JIS Z 8122
0.15μmの粒子捕集率0.3μmの粒子捕集率初期圧損該当品
99.97%以上245Pa以下HEPAフィルター
99.9995%以上245Pa以下ULPAフィルター

粗塵フィルター(プレフィルター)

機械設備標準仕様書によれば粗塵フィルター(プレフィルター)は以下で定義される。

JIS B 9908
面風速初期圧損質量法
平均捕集率
該当品
2.5m/s60Pa以下30%以上粗塵フィルター
(プレフィルター)

中性能フィルター

機械設備標準仕様書によれば中性能フィルターは以下で定義される。

JIS B 9908
面風速初期圧損粒子捕集率該当品
0.4μm0.7μm
2.5m/s140Pa40%50%中性能フィルター(標準形)
2.5m/s100Pa40%50%中性能フィルター(薄形)

高性能フィルター

機械設備標準仕様書によれば高性能フィルターは以下で定義される。

JIS B 9908
面風速初期圧損粒子捕集率該当品
0.4μm0.7μm
2.5m/s170Pa70%80%高性能フィルター(標準形)
2.5m/s130Pa70%80%高性能フィルター(薄形)

普段使用されるフィルター

空調機、外調機の場合

空調機を使用する建物においてはよく中性能フィルター + プレフィルターが使用されることが多い。
中性能フィルターだけだとフィルターの目が細かくすぐ根詰まりしてしまう。
そのためプレフィルターである程度大きな粒子を処理したのちに中性能フィルターで細かな粒子を取り除くことが多い。

ファンコイルユニット、パッケージエアコンの場合

ファンコイルユニットやパッケージエアコンの場合はメーカーで標準搭載しているフィルターを使用することがほとんどだ。
基本的にこれらの機器は外部からの空気を取り入れる機器ではなく、室内の空気を循環させることが大きな理由だ。

クリーンルームや実験室、手術室等

クリーン度が要求される室や微生物を扱う室には中性能フィルターよりもさらに高級なHEPAフィルターを使用することが多い。
クリーン度によってはさらに高級なULPAフィルターを使用することもあるだろう。
また微生物についても同様で実験室から危険な粒子を外部へ放出させたくない場合等に用いられる。

まとめ

今回は空調用フィルターの種類として中性能フィルター、高性能フィルター、MERV等について紹介した。
特殊な立地や建物でない限りは高性能フィルターや塩害フィルター、HEPAフィルター、ULPAフィルターを使用することは少ないかもしれない。
だがこれらのフィルターについて覚えておくといつか役に立つはずだ。

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