ホーム > 機械設備一般 LEED -LEED認証の種類から必要な点数、評価項目を紹介- 2023.10.14 こんにちは。近年注目を集めているLEED(リード)。最近ではCASBEEとともにLEED認証を取得する建物が増えている。CASBEEは主に日本で使用され、建物性能や室内環境等を評価する指標だ。LEEDも似たような指標ではあるが、アメリカ発の評価手法で全世界で使用されていることが特徴だ。今回はLEED認証の種類からLEED取得に必要な点数、評価項目を紹介する。 コンテンツ LEEDとはLEEDの種類Building Design and Construction - 建物の設計と建設-Interior Design and Construction -インテリアの設計と建設-Building Operations and Maintenance -建物の運用と管理-Neighborhood Development -開発-Homes -住宅-LEED取得に必要な点数とランクLEEDの評価項目Integrative Process -総合的プロセス-Location and Transportation -立地と交通-Sustainable Sites -持続可能な敷地-Water Efficiency -水資源の保全と節水-Energy and Atmosphere -エネルギーと大気Materials and Resources -材料と資源-Environmental Quality -室内環境品質-Innovation in Design -革新性-Regional Priority -地域特性-まとめ LEEDとは LEEDとはLeadership in Energy & Environmental Designの略だ。環境や省エネに対して積極的にデザインを行うといった意味となる。日本版でいえば似たような指標としてはCASBEEが該当する。なおLEEDの開発機関はUS Green Building Council(USGBC)だ。 LEEDの種類 LEEDは以下の5種類に分類される。 LEEDの種類 略 意味 1. Building Design and Construction BD + C 建物の設計と建設 2. Interior Design and Construction ID + C インテリアの設計と建設 3. Building Operations and Maintenance O + M 建物の運用と管理 4. Neighborhood Development ND 開発 5. Homes – 住宅 Building Design and Construction - 建物の設計と建設- オフィスをはじめ商業施設や学校など様々な建物の新築する場合に該当する。その他大規模な改修を行う場合においても対象となる。 Interior Design and Construction -インテリアの設計と建設- 商業施設のインテリアやテナント設計、宿泊施設が該当する。例えばテナントにおいては基本的にC工事が対象となる。(参考)C工事の詳細については以下のリンクを確認されたい。 【設備設計者必見】A工事(甲工事)、B工事(乙工事)、C工事(丙工事)とは -工事区分の意味から考え方を紹介-こんにちは。店舗を含んだ施設の設計を行っていると工事区分の整理をすることがある。具体的にはA工事(甲工事)、B工事(乙工事)、C工事(丙工事)をそれぞれ整理した上で貸方基準を作成する必要がある。貸方基準とは各工事区分をまとめた書類のことだ。... Building Operations and Maintenance -建物の運用と管理- 既存施設の改修や建物の運用、維持管理の向上によりLEEDを取得する際に対象となる。 Neighborhood Development -開発- 地域一帯で再開発事業を行う場合に対象となる。 Homes -住宅- 主に3階以下の住宅や4~8階の中高層住宅(米国のみ対象)が該当する。 LEED取得に必要な点数とランク LEEDではCASBEEと同じように各評価項目に点数がそれぞれ設定されている。その点数を合計することでLEEDのランクが決定される。LEEDで取得可能な点数は全部で110点だ。そのため最低でも4割を取得できればLEED認証を取得することが可能だ。但しLEEDを取得するために必須の項目が何項目か存在するため注意が必要だ。 LEEDのランク 意味 点数 1. Certified 標準認証 40~49点 2. Silver シルバー 50~59点 3. Gold ゴールド 60~79点 4. Platinum プラチナ 80点~ LEEDの評価項目 本項ではBuilding Design and Construction に限って紹介する。LEEDの評価項目は大きく以下に分類される。また配点は以下の通りで合計で110点となる。 LEEDの評価項目略意味配点1.Integrative ProcessIP総合的プロセス1点1. Location & TransportationLT立地と交通16点2. Sustainable SitesSS持続可能な敷地10点3.Water EfficiencyWE水資源の保全と節水11点4. Energy & AtmosphereEAエネルギーと大気33点5. Materials & ResourcesMR材料と資源13点6.Environmental QualityEQ室内環境品質16点7. Innovation in DesignIN革新性6点8. Regional PriorityRP地域特性4点 Integrative Process -総合的プロセス- 主にプロジェクトの初期段階(基本設計段階)から以下の項目について総合的に検証を行う。具体的には以下の内容を文書化する必要がある。 項目内容敷地条件庇や屋外照明、ランドスケープ、隣地敷地の条件の整理建物形状と方角建物形状や方角に伴う熱源容量やエネルギー消費量の整理外皮熱貫流率や窓面積比、ガラス性能や庇の整理照明照度や室内の内装表面の反射率の整理計画と運用一人当たりの専有面積や運用スケジュール、運用保守について整理 Location and Transportation -立地と交通- 建物を計画する敷地の選定にあたり、環境に対する評価を行う項目。計画敷地の現状の敷地用途、周辺地域の住宅の密度、計画敷地までの交通機関、駐車場面積(車利用をやめさせるように駐車台数を低減させる)、自動車用の電気ステーション等について評価される。 Sustainable Sites -持続可能な敷地- 建物を計画する敷地に対する評価を行う項目。計画敷地内の地盤形状や水害、気候、植樹、屋外スペースの有無、雨水流出抑制、ヒートアイランドの抑制、光害などについて評価される。 Water Efficiency -水資源の保全と節水- 計画敷地内の節水に対する評価を行う項目。潅水量の削減、節水器具、水道メーターによる水使用量の可視化等について評価される。 Energy and Atmosphere -エネルギーと大気 主に省エネについて評価を行う項目。エネルギー消費量の低減(カーボンオフセット)、エネルギー計測による可視化、使用する冷媒の種類、建物の運用レビューおよびコミッショニング、再生可能エネルギー等について評価される。 Materials and Resources -材料と資源- 建設資材の調達やリサイクルについて評価を行う項目。建設廃棄物管理計画、水銀や鉛、カドミウム、銅の排出の削減、ライフサイクル環境負荷低減、家具の使用材料等について評価される。 Environmental Quality -室内環境品質- 室内環境の質の向上について評価を行う項目。必要換気量、喫煙室の管理、騒音、空気質(フィルターの設置)、室内空気管理、温熱環境、室内照明、昼光利用、眺望等について評価される。 Innovation in Design -革新性- 上記の各項目で定められる内容以外の革新的な取組について評価を行う項目。具体的な取組内容については定義されていない。 Regional Priority -地域特性- 計画敷地の用途別に地域特性について評価する項目。 まとめ 今回はLEED認証の種類からLEED取得に必要な点数、評価項目を紹介した。LEEDはまだまだ日本では認知度が低い。そのため日本語で作成されたガイドラインも理解が難しい点が多い。本稿を通じて少しでも理解の手助けになれば幸いだ。
コメント